【総括情報表の見方】監理事務所を設けない設定とは?工事価格への影響を解説

総括情報表の中には「監理事務所設置」という項目があります。普段は何気なく設定している項目ですが、実はこの設定ひとつで工事価格が数万円から数十万円変わることがあります。なぜなら監理事務所を設けない場合、共通仮設費率に減額補正が適用され、その影響が工事価格全体へ連鎖するためです。

CONCLUSION|この記事の結論

監理事務所を設けない場合、共通仮設費率に減額補正が入り、以下の順で工事価格が押し下げられます。

監理事務所を設けない → 共通仮設費率に減額補正(係数 0.887?0.988)
共通仮設費が減少
純工事費が減少
現場管理費が減少
一般管理費等が減少
工事価格が減少

数千万円規模で10万円単位、1億円超では50万円以上の差が生じるケースがあります。

減額される仕組み:共通仮設費率への「補正」

積算基準では、監理事務所を設けない場合、共通仮設費率(Kr)に対して0.887から0.988程度の補正係数(減額補正)を乗じるルールがあります。減額はここで終わらず、「掛け算の連鎖」により増幅されます。

?監理事務所を設けない補正(係数 0.887から0.988)が共通仮設費率に適用
共通仮設費が減少
純工事費(直接工事費+共通仮設費)が減少
純工事費を元に計算する現場管理費も連動して減少
工事原価(純工事費+現場管理費)が減少
?工事原価に掛ける一般管理費等まで減少 → 工事価格が下がる

金額規模別のインパクト比較

直接工事費の規模に応じた工事価格(税抜)の試算です。
※ 新営建築工事・工期10か月程度の標準的な定数を使用して試算。

直接工事費 監理事務所あり 監理事務所なし 差額(減額)
2,000万円 約 2,630万円 約 2,623万円 約 ▲7万円
3,000万円 約 3,910万円 約 3,900万円 約 ▲10万円
4,000万円 約 5,180万円 約 5,166万円 約 ▲14万円

なぜこれほど差が出るのか

国交省の工事価格1億円超の公開算定例では、監理事務所を設けない補正(係数 0.933)を掛けることで、共通仮設費率が 4.12% → 3.84% へと 0.28ポイント低下しています。
「たった0.28%の差」に見えますが、純工事費・現場管理費・一般管理費等へと連鎖した結果、最終的な工事価格では約53万円もの差として現れます。直接工事費の額が大きくなるほど、この「率」がもたらす金額インパクトは大きくなります。

福島県の公共工事における実態

福島県の公共工事では、監理事務所を設ける工事はほぼ見られません。そのため、「監理事務所を設けない」が基本の設定となります。

この項目は設定を忘れると必ず金額がずれます。積算の最終チェックで見落とさないよう必ず確認するようにしましょう。

まとめ

  • 監理事務所を設けない補正は共通仮設費率に直撃し、純工事費→現場管理費→一般管理費等へと連鎖減額される
  • 数千万円規模の工事でも10万円単位、1億円を超えれば50万円以上の差が出る
  • 設計図書や特記仕様書で「事務所不要」の記載を見落とすと、予定価格と見積価格に致命的な乖離が生じる
入札や見積作成の際は、監理事務所の有無が共通仮設費率の補正に正しく反映されているかを必ず確認しましょう。