【統括情報表の見方】金抜設計書の"労務費の比率:普通"って何?

金抜設計書に「労務費の比率:普通」と書いてあれば、何も気にしなくてOKです。共通費の計算は通常どおり行われます。
公共工事の金抜設計書(設計書条件欄など)を確認していると、「労務費の比率:普通」という記載を見かけることがあります。
「これって何?何か特別な処理が必要?」と気になった方もいるかもしれませんが、「普通」と書いてある工事であれば積算上の特別な対応は一切不要です。
以下では、この表示の意味と、「普通」以外になるケースについて補足します。気になる方だけ読んでください。
- 「労務費の比率」欄はそもそも何のための記載か
- 「普通」以外になる工事とはどんな工事か
- 「著しく少ない」と判定されると何が変わるか
- まとめ:現場代理人は何もしなくてOK
1. 「労務費の比率」欄はそもそも何のための記載か
公共建築工事の共通費(共通仮設費・現場管理費)は、直接工事費や純工事費に一定の率(%)を掛けて算出します。
この率は「その工事に職人さんがどれだけ入るか」を前提に設定されています。つまり、人が大勢入る工事ほど、共通費が多くかかるという考え方です。
ところが、工事の中には職人の手間がほとんどなく、機器や材料の購入費がほとんどを占めるようなケースがあります。そうした工事に通常の率をそのまま使うのは実態に合わないため、「労務費の割合が著しく少ない工事」には別途補正をかけるという規定があります。
金抜設計書の「労務費の比率」欄は、その工事が補正対象かどうかを示すフラグです。
2. 「普通」以外になる工事とはどんな工事か
「労務費の比率が著しく少ない」と判断されるのは、直接工事費に占める労務費の割合がおおむね10%以下の工事です(千葉県基準の例。各都道府県の基準による)。
具体的には次のような工事が該当しやすいです。
- 大型の空調機器・受変電設備など、機器本体の価格が工事費の大半を占める設備工事
- 材料費がほぼすべてで、取付け手間がごくわずかな工事
- メーカー一式納入に近い形の特殊設備工事
1,000万円の工事のうち、職人さんの手間(労務費)が50万円しかない(5%)ようなケースです。大型の機械設備や受変電盤の設置工事などで起こりやすいです。一般的な建築工事や電気・機械の配管・配線工事では「普通」になります。
3. 「著しく少ない」と判定されると何が変わるか
「労務費の比率:著しく少ない」と判定された場合、共通仮設費率・現場管理費率にそれぞれ補正係数が掛けられ、通常より低い率で共通費が計算されます。
受注者(施工会社)にとっては共通費が下がることを意味します。ただし、これは発注側の積算段階で判断・設定されるもので、受注者が自分で判断して率を変えるものではありません。
| 金抜設計書の表示 | 共通費の計算 | 受注者の対応 |
|---|---|---|
| 労務費の比率:普通 | 通常の率で計算 | 何もしなくてOK |
| 労務費の比率:著しく少ない | 補正された低い率で計算 | 発注者が積算時に設定済み 受注者側の対応は不要 |
「著しく少ない」と書かれていたとしても、それはすでに積算に反映された結果として金抜設計書に記載されているものです。受注者がそれを見て何か計算し直す必要はありません。
4. まとめ:現場代理人は何もしなくてOK
- 「労務費の比率:普通」→ 完全にスルーしてOK
- 「著しく少ない」と書いてある場合も、受注者側で何か対応する必要はない(発注側が積算時にすでに処理済み)
- この欄は、発注者の積算担当者が共通費率を補正するかどうかを確認するための記載
金抜設計書を読み込む際、この欄が気になって時間を取られる必要はありません。「普通」であれ「著しく少ない」であれ、その表示はすでに設計書の金額に織り込まれています。積算ソフトで設計書通りに入力していれば問題ありません。
※本記事は公共建築工事積算における共通費の考え方を解説するものです。具体的な率・補正係数は各都道府県・発注機関の積算基準によって異なります。実際の積算にあたっては発注者の指示・設計図書をご確認ください。

