【総括情報表の見方】金銭的保証とは?役務的保証との違いと積算への影響を解説
公共建築工事の積算において、「一般管理費等」の金額を左右する隠れた重要設定が「契約保証費」です。総括情報表で見かける「金銭的保証」「役務的保証」の違いと、工事価格への影響を解説します。
CONCLUSION|この記事の結論
保証の方法によって、工事原価に乗じる率が変わります。
金銭的保証
0.04%
最も一般的な形態
役務的保証
0.09%
リスク大・率も高め
上記以外(軽微な契約等)
補正なし
(0円計上)
※ いずれも工事原価 × 各率で契約保証費を算出し、一般管理費等に加算します。
契約保証費の計算ロジック
公共工事の契約では、受注者が万が一工事を完成できなくなった場合に備え、発注者は「契約の保証」を求めます。積算では、この保証を受けるために施工会社が支払う手数料や経費を「契約保証費」として計上するルールがあります。
工事原価 × 契約保証費率 = 契約保証費
算出された契約保証費は、一般管理費等の中に加算されます。発注者が求める保証の方法によって掛け合わせる「率」が変わることがポイントです。
「金銭的保証」と「役務的保証」の違い
方法①
金銭的保証
0.04%
受注者が倒産等した場合に、保証会社が発注者へ「お金」を支払う形式。銀行・保険会社・保証事業会社が保証人となる、公共工事で最も一般的な形態です。
方法②
役務的保証
0.09%
受注者が倒産等した場合に、別の業者が「工事の続き」を引き継いで完成させる形式。お金で終わりではなく「最後まで工事をやり遂げる」保証のため、引き受け手のリスクが大きく率も高めです。
設定ミスが積算額に与える影響
「わずか0.05ポイントの差」と思うかもしれませんが、工事規模が大きくなるとその差は無視できません。
| 工事原価 | 金銭的保証(0.04%) | 役務的保証(0.09%) | 差額 |
|---|---|---|---|
| 5,000万円 | 2万円 | 4.5万円 | +2.5万円 |
| 1億円 | 4万円 | 9万円 | +5万円 |
| 2億円 | 8万円 | 18万円 | +10万円 |
一般管理費等の総額が変わり、さらに消費税計算にも波及するため、最終的な工事費(税込)にはより大きな差として現れます。
補正が行われないケース(方法③)
- 予算決算及び会計令に基づき、工事請負契約書の作成を省略できるような軽微な契約である場合
- 設計変更時の積算(原則として対象外)
まとめ
- 金銭的保証は 0.04%、役務的保証は 0.09% を工事原価に乗じて計上する
- 「工事を完成させる保証(役務)」の方がリスクが高いため、率も高く設定されている
- 設定を間違えると、予定価格や見積価格に数万円〜数十万円の誤差が生じる
入札や見積作成の際は、その工事がどちらの保証を求められているのかを確認し、総括情報表に正しく設定されているかを必ずチェックしましょう。

