共通費とは?直接工事費との違いを福島県の積算書で解説【令和7年改定】
福島県の積算基準は国交省発表から半年遅れて適用となります。
そのため令和8年10月15日より前までは、
「令和7年の共通費積算基準」を適用します。
工事価格は4層構造になっている
公共建築工事の工事価格は、下から積み上げる4つの層で構成されています。一番下の「直接工事費」だけが設計図書から拾い上げる実費で、残りの3層(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)をまとめて共通費と呼びます。
「純工事費」は直接工事費と共通仮設費を合計したものです。現場管理費の算定基礎になるため、積算基準では区別して呼ばれています。
直接工事費とは
直接工事費(P)は、工事を施工するために直接かかる費用の合計です。内訳は大きく3つです。
| 費目 | 内容 |
|---|---|
| 材料費 | 鉄骨・コンクリート・電線・配管など、工事に使う材料の費用 |
| 労務費 | 鉄筋工・型枠工・電工など、直接作業する職人の人件費 |
| 機械経費 | クレーン・掘削機など、施工に使う機械の損料・燃料費 |
積算ソフトで各材料・労務の数量に単価を掛けて集計した金額が直接工事費になります。この数字が共通費計算の出発点になるため、直接工事費の精度が共通費の精度に直結します。
共通費の3つの区分
共通仮設費
複数の工種・職種が共通して使う仮設備の費用です。各工種に個別に分けられない性格のものが対象です。
算定は「直接工事費 P」と「工期 T」を使った指数式で計算します。
係数 a・b・c は工種(建築新営・建築改修・電気新営・電気改修・機械新営・機械改修)ごとに異なります。算定した率を直接工事費 P に掛けた金額が共通仮設費(率分)です。これに足場など個別に積み上げる金額を加えた合計が共通仮設費の計上額になります。
現場管理費
現場の運営・監理のために必要な費用です。
算定の基礎は「純工事費 Np」と「工期 T」です。
係数は共通仮設費と同様に工種ごとに異なります。福島県の「完全週休2日促進工事」に指定された場合は、この率に補正係数 1.01 を乗じます。
一般管理費等
施工会社の本社・支社レベルの管理費と適正利潤の相当分です。工事原価(Cp)に率を乗じて算定します。
令和7年改定では、建築工事・電気設備工事・機械設備工事の3種類の式があります。新営か改修かで式は変わりません。複合工事(例:建築改修+電気改修)の場合は「主たる工事の式」を工事原価合計に1回だけ適用します。
福島県の実際の積算書で確認する
以下は福島県〇〇市が発注した工事の共通費算定結果です(令和7年改定基準・建築改修+電気設備改修の複合工事)。
| 項目 | 金額(円) | 備考 |
|---|---|---|
| 建築改修 | ||
| 直接工事費 P | 477,346 | |
| 共通仮設費率 Kr | 7.53% | 補正係数 0.90(監理事務所なし)適用後 |
| 共通仮設費 | 32,349 | P × Kr × 0.90 |
| 純工事費 Np | 509,695 | P+共通仮設費 |
| 現場管理費率 Jo | 41.48% | Np<3,000千円のため高率 |
| 現場管理費 | 211,421 | |
| 建築改修 工事原価 | 721,116 | |
| 電気設備改修 | ||
| 直接工事費 P | 18,927,425 | |
| 共通仮設費率 Kr | 2.75% | |
| 共通仮設費 | 520,504 | |
| 純工事費 Np | 19,447,929 | |
| 現場管理費率 Jo | 13.33% | |
| 現場管理費 | 2,592,408 | |
| 電気設備改修 工事原価 | 22,040,337 | |
| 一般管理費等(主たる工事:電気設備工事) | ||
| 工事原価合計 Cp | 22,741,533 | 処分費除外後の率算定用 |
| 一般管理費等率 Gp | 14.55% | 29.102 − 3.34 × log10(22,741千円) |
| 一般管理費等 | 3,308,893 | |
| 契約保証費 | 9,096 | 工事原価 × 0.04% |
| 端数調整 | ▲9,522 | |
| 工事価格 | 26,050,000 | |
いくつか注目すべき点があります。
まず建築改修の現場管理費率が 41.48% と非常に高くなっています。直接工事費が47万円と小規模なため、指数式の特性上、Pが小さいほど率が高くなります。少額の改修工事では共通費が直接工事費を上回ることもめずらしくありません。
また一般管理費等は、建築・電気の2工種の合計工事原価(約2,274万円)に対して電気設備工事の式を1回だけ適用しています。これが「主たる工事の式を全体に適用する」という複合工事の処理方法です。
積算実務で押さえておきたいポイント
処分費は率算定から除外する
撤去工事などで発生する処分費(産業廃棄物の収集運搬・処分費用)は、共通仮設費率・現場管理費率の算定基礎から除外します。処分費は直接工事費の合計には含めたまま、率計算の入力値(P・Np)からだけ差し引くという処理です。スクラップ有価物(鉄くず等の売却収入)も同様にネットで差し引きます。
産業廃棄物税は別枠で扱う
産業廃棄物税(福島県の法定外目的税)は処分費本体とは別に「率対象外」として扱います。共通仮設費率・現場管理費率・一般管理費等率の3つすべての算定基礎から除外し、工事価格にそのまま上乗せします。処分費欄には処分の実費、産業廃棄物税欄には税額のみを分けて入力してください。
工期 T は工種ごとに入力する
複合工事でも、工期は工種ごとに別々に入力します。建築と電気で工程が異なる場合は、それぞれの実際の施工期間を使います。工期が0のまま計算すると率が0になるため注意してください。
- 工事価格は「直接工事費+共通仮設費+現場管理費+一般管理費等」の4層構造
- 共通仮設費率(Kr)・現場管理費率(Jo)は工種別の指数式で、直接工事費 P と工期 T から算定する
- 一般管理費等率(Gp)は建築・電気設備・機械設備の3種類の式があり、新営・改修で式は変わらない
- 複合工事では主たる工事の Gp 式を工事原価合計に1回適用する
- 処分費・スクラップ有価物は率算定の基礎から除外する(金額合計からは除外しない)
- 産業廃棄物税は率対象外として3つの率すべての算定基礎から除外する

