令和8年度 公共建築工事積算基準の改定ポイント歩掛・共通費計算はここが変わる【福島県版】

令和8年度 公共建築工事積算基準の改定ポイント|歩掛・共通費計算はここが変わる【福島県版】
重要改定情報 積算基準シリーズ #2

令和8年10月15日以降、福島県発注の公共営繕工事では歩掛内「その他率」の廃止共通費計算の大幅改定が適用されます。過去の金入り設計書はそのまま使えなくなる可能性があり、早めの理解と対応が必要です。積算担当者が押さえておくべき変更点を整理しました。

執筆:公共営繕積算情報プラットフォーム SEKISAN-PRO

この記事はこんな方向けです

  • 福島県発注の公共営繕積算を担当している方
  • 令和8年度の積算基準改定で何が変わるか知りたい方
  • 過去の積算データが新基準で使えるか確認したい方

1 令和8年度改定の全体像——いつから?何が変わる?

国土交通省は令和8年度に公共建築工事積算基準の大幅な改定を行いました。福島県内においては例年どおりであれば令和8年10月15日以降に新基準が適用される見通しです。

⚠️ 注意:令和8年10月15日より前(5月現在など)は令和7年度の積算基準に基づいて積算されています。新基準の内容を先取りして使用しないよう注意してください。

適用開始時期
令和8年10月15日以降
(福島県発注工事に適用予定)
主な改定内容
①歩掛内「その他率」廃止
②共通費計算の見直し(3年ぶり)
改定区分 主な内容 適用時期
歩掛改定 「その他率」廃止→「専門工事業者等の諸経費の率」に変更 R8.10.15以降(福島県)
共通費改定 一般管理費の算定方式統一(工事種別問わず同一式) R8.10.15以降(福島県)
標準単価改定 市場単価の算定方式変更(シフト単価概念の導入) R7.12月度版より適用
週休2日補正 月単位4週8休以上の場合のみ補正に変更 R7.10.15以降(福島県)

2 最大の変更点:「その他率」廃止と「専門工事業者等の諸経費の率」新設

今回の改定で積算金額に最も大きく影響するのが歩掛内「その他率」の廃止です。

旧基準(〜R8.9まで)
  • 工事種別ごとに「その他率」が設定
  • 率の範囲が工種によって異なる(例:20〜30%など)
  • 率の対象も工種によって異なる(労・雑など)
  • 建築・土工・コンクリートなど種別ごとに個別管理が必要
新基準(R8.10.15以降)
  • 「専門工事業者等の諸経費の率」に一本化
  • 労務費(労):42〜52%
  • 材料費・消耗材料費等(労以外):9〜13%
  • 労務費か否かの2区分でシンプル化

⚠️ 金額への影響:同一の歩掛で旧基準・新基準を比較した試算では、仮設鉄板数の例で㎡あたり180円の差異が生じました(旧:1,250円/㎡ → 新:1,430円/㎡)。過去の金入り設計書の単価はそのまま流用できなくなります。

🔑 ポイント:新基準では歩掛内部で「労務費部分」と「労務費以外」を分けて、それぞれに異なる率をかける仕組みに変わりました。積算システムがこの区分に対応しているか確認が必要です。

3 3年ぶりの共通費改定——一般管理費の考え方が変わった

令和8年度は3年ぶりに共通費(一般管理費等)の算定方式にも改定が入りました。

一般管理費率の統一

旧基準では建築工事・電気設備工事・機械設備工事・昇降機設備工事でそれぞれ異なる率が採用されていました。一括発注の場合は主たる工事の率を使うとされていましたが、新基準では工事内容によらず一般管理費が統一されました。

区分 旧基準(建築工事の例) 新基準(R8以降)
一般管理費率 工事種別ごとに異なる率
(建築・電気・機械・昇降機で別々)
工事種別によらず統一
(新算定式:Gp=32.597-3.591×logo(Cp))
一括発注の場合 主たる工事の率を採用 工事内容によらず同一式で算定

共通費計算で押さえておくべきその他のポイント

01
経費率は工事工種毎に異なる

新営建築・改修建築・新営電気設備・改修電気設備・新営機械設備・改修機械設備・昇降機設備でそれぞれ率が異なります。建築工事では「監理事務所を設けるか否か」によっても計算が変わります。

02
処分費は共通費・現場管理費の対象外

発生材処分費(廃棄物処理費)は共通費・現場管理費の算定対象外です。設計書内で別途処理が必要です。

03
スクラップは率対象外

設計書内にスクラップ等の項目が出てきた場合は共通費の計算から控除する必要があります。システム上では「率対象外」の設定が必要です。

04
見積内訳書の記載方法が変わる(R8.6.1〜)

令和8年6月1日以降に入札公告を行う工事から、見積内訳書に労務費・材料費・法定福利費・安全衛生費・建設業退職金共済契約に係る掛金の5項目記載が義務化されます。

4 福島県独自のルール——国交省基準と何が違う?

福島県の積算基準は「準拠する基準よりも優先して適用する」独自ルールが存在します。国交省の基準と異なる点を必ず確認してください。

とりこわし工事の共通費

国交省基準では「他工事に含めて発注の場合は新営建築工事の率を採用」となりましたが、福島県基準では一般工事に含める場合でも単独発注でも見積もりにより計上することになっています。

区分国交省福島県
他工事に含めて新営建築工事の率見積もりにより
単独発注見積もりにより見積もりにより

補正市場単価の地域注意点

福島県内でも新潟県に近い地域は補正市場単価の算定に注意が必要です。物価資料の掲載地域が「都市別」の場合、最寄りの県内都市→仙台市または新潟市→東京都の順で採用されます。

採用順位地域
第1順位最寄りの県内都市
第2順位仙台市 または 新潟市
第3順位東京都

🔑 ポイント:福島県がRIBC2を採用したことにより、設計書にはこれまで以上に詳細な積算情報が記載されます。RIBCに対応したシステムを利用している企業とそうでない企業の間で、精度の格差が広がっているのが現状です。

⚠️ 機械損料の注意:福島県は豪雪地域補正(10%加算)があります。会津若松市・喜多方市・西会津町・南会津郡など会津地域の多くがB地区(豪雪地域)に指定されています。また損料単価の更新時期は非公表のため注意が必要です。

5 システム対応の確認ポイント

今回の改定は複雑で、手計算やExcel・民間用見積ソフトでは対応が困難です。使用中のシステムが以下の要件を満たしているか確認してください。

必須
新「専門工事業者等の諸経費の率」に対応しているか

歩掛内で労務費と労務費以外を分けて率をかける新方式に対応していないと、金額が正確に計算されません。

必須
RBIC特有の階層構造(5階層)に対応しているか

工事費内訳→種目別→科目別→中科目別→細目別内訳の5階層構造に対応している必要があります。

必須
建築・電気・機械が混在した工事の経費計算ができるか

工事種別ごとに経費率が異なるため、複合工事での共通費計算に対応したシステムが必要です。

推奨
RIBCコードでの入力・歩掛検索ができるか

「根切り」一つとっても64件以上の歩掛が存在します。RIBCコード対応がないと正確な歩掛選択が困難です。

推奨
PDF設計書の自動取り込みができるか

RIBC2形式のPDF設計書を自動取り込みできるシステムでは見積作業を大幅に短縮できます。

まとめ:10月15日までに準備しておくこと

01

「その他率」が廃止され「専門工事業者等の諸経費の率(労務費:42〜52%、労以外:9〜13%)」に変わる。直接工事費の金額が大きく変化するため、過去の金入り設計書はそのまま流用不可。

02

一般管理費が工事種別によらず統一された。一括発注で「主たる工事の率を使う」という従来の考え方は不要になる。

03

福島県独自のルール(とりこわし工事の共通費は見積もりによる計上など)は国交省基準より優先して適用されるため別途確認が必要。

04

これだけ複雑な計算は新基準対応の積算システムなしでは対応困難。使用中のシステムが令和8年度基準に対応しているか今すぐ確認を。

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