NotebookLMに積算基準の歩掛を聞いてみた|質問の仕方で精度が劇的に変わる【福島県営繕検証】

結論:回答精度が想像以上に高い。実務に使えるレベル。

NotebookLMに積算基準の歩掛を聞いてみた|正しい質問の仕方で精度が劇的に変わる【福島県営繕検証】
AI活用検証シリーズ #2 実証レポート

GoogleのAIメモツール「NotebookLM」に公共建築工事標準単価積算基準(令和6年)のPDFを直接読み込ませ、歩掛を質問してみました。数百ページの基準書から正確に答えられるのか? そして質問の仕方で精度はどう変わるのか? 実際の検証結果をそのまま報告します。

執筆:公共営繕積算情報プラットフォーム SEKISAN-PRO

この記事はこんな方向けです

  • NotebookLMを積算実務に使えるか試してみたい方
  • AIが積算基準書から正確に歩掛を読み取れるか気になる方
  • AIツールの使い方・質問の仕方で精度が変わることを知りたい方

1 NotebookLMとは?積算に使える理由

NotebookLMはGoogleが提供する無料のAIツールです。PDFや文書を「ソース」として読み込ませると、その文書の内容に基づいて質問に答えてくれます。

ChatGPTやClaudeと大きく異なる点は、自分でアップロードしたPDFの中だけを参照して回答するという点です。積算基準書をそのまま読み込ませれば、AIが基準書の内容に忠実に答えてくれる可能性があります。

ChatGPT・Claude

学習データ全体から回答。最新の改定情報や地域固有ルールは知らない場合がある。

NotebookLM

アップロードしたPDFの中だけを参照。最新の基準書を読み込ませれば最新情報で回答できる。

今回の検証:「公共建築工事標準単価積算基準(令和6年)」のPDFをNotebookLMに読み込ませ、具体的な工種・規格を指定して歩掛を質問しました。

2 検証① EM-CEケーブルの歩掛を聞いてみた(正解)

まず電気設備工事の定番工種であるEM-CEケーブルの歩掛から試しました。

質問

EM-CEケーブル 5.5mm2-4C 管内 の歩掛を教えて

NotebookLMの回答(要約)

EM-CEケーブル 5.5mm2-4C の歩掛(管内配線)

・電工:0.030 人/m
・材料:600Vポリエチレンケーブル 1.10m(1mあたり)
・雑材料:1式(材料価格の5%)
・その他:1式(率対象は電工。電気設備工事「配線工事」の率は20〜30%)
項目 NotebookLMの回答 基準書の正解 判定
電工 0.030人/m 0.030人/m 正解
材料 1.10m 1.10m 正解
雑材料 材料価格×0.05 材料価格×0.05 正解
評価:完全正解
数百ページのPDFから該当する表(表E1-1-6)を正確に読み取り、電工・材料・雑材料すべての数値を正しく回答した。出典の表番号まで示す丁寧さも好印象。

3 検証② 内部仕上足場の歩掛を聞いてみた(不正解)

次に建築改修工事の定番である内部仕上足場を質問しました。

質問

内部仕上足場(改修) 一般 階高4.0m以下 脚立足場 の歩掛は?

NotebookLMの回答(要約)

内部仕上足場(改修)一般 階高4.0m以下 脚立足場の歩掛

・普通作業員:0.012 人/m²

※ご提示の出典資料の抜粋は主に機械設備工事(M)に関するデータであり、足場に関する数値は含まれていません。そのため以下の回答は出典資料の抜粋範囲外である「建築工事(改修工事)」編に基づいた標準的な数値となります。
項目 NotebookLMの回答 基準書の正解(表A2-1-11) 判定
普通作業員 0.012人/m² 0.028人/m² 不正解
評価:不正解
正解の0.028に対して0.012と大きくズレた回答が返ってきた。しかもNotebookLM自身が「出典資料の抜粋範囲外」と断りを入れており、PDFに該当データがあるにもかかわらず正しく参照できなかった。

4 検証③ 質問を変えたら正解した

同じ工種に対して、「エビデンスとPDF番号も示しなさい」という一言を加えて再質問しました。

再質問

内部仕上足場(改修) 一般 階高4.0m以下 脚立足場 の歩掛は? エビデンスとPDF番号も添えなさい

NotebookLMの回答(要約)

内部仕上足場(改修)一般 階高4.0m以下 脚立足場の歩掛(単位:1m²あたり)

・普通作業員:0.028 人

エビデンス(出典資料の該当箇所)
・PDFページ番号:103ページ
・該当箇所:「建築工事(改修工事)」の項目内にある「脚立足場」の構成表。摘要「一般」の列において、普通作業員の所要量が0.028と明記されています。
評価:正解に変わった
「エビデンスとPDF番号を示しなさい」という指示を加えただけで、正しい数値0.028人/m²を回答。PDFの103ページという具体的な出典まで示した。

重要:NotebookLMはPDFに答えがあっても、漠然とした質問では正しく参照できない場合があります。出典の明示を求めることで、AIが「どこを見て答えているか」を自己チェックするよう促せます。

5 正しい質問の仕方:この一言で精度が劇的に変わる

今回の検証から、NotebookLMを積算実務で使う際の質問テンプレートが見えてきました。

推奨質問テンプレート

〇〇(工種名) 〇〇(規格・仕様) 〇〇(施工方法) の歩掛は?
エビデンスとPDF番号も添えなさい

ポイント1
工種・規格・施工方法を具体的に指定する

「EM-CEケーブル 5.5mm2-4C 管内」のように規格と施工方法まで明示すると、該当する表を正確に特定できる。

ポイント2
「エビデンスとPDF番号を添えなさい」を必ず付ける

この一言がAIに「根拠を示せ」というプレッシャーをかけ、PDFをより丁寧に検索するよう促す効果がある。

ポイント3
示されたPDFページ番号で必ず裏付け確認する

回答に記載されたPDFページを実際に開いて数値を目視確認する。これで積算ミスをほぼ防げる。

まとめ:NotebookLMは「使い方次第」で精度が大きく変わる

01

積算基準書PDFを読み込ませれば、数百ページの中から該当する歩掛を正確に見つけられる場合がある(EM-CEケーブルで実証)。

02

漠然とした質問では、PDFに答えがあっても間違えることがある(内部仕上足場で実証)。AIが自信満々に誤った数値を返すケースも。

03

エビデンスとPDF番号を添えなさい」という一言を付けるだけで、同じ質問でも正解に変わった。質問の仕方が精度を左右する。

04

回答に示されたPDFページ番号で必ず実物確認すること。NotebookLMはあくまで「検索補助ツール」であり、最終判断は人間が行う。

次回予告:歩掛の数値を調べるなら積算ソフト+基準書が鉄板。ではNotebookLMが本当に輝く使い方とは?「共通費計算の考え方を口語で聞く」など、AIが得意な使い方を次回まとめます。

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