ChatGPT・Claudeに公共積算の質問をぶつけてみた 使える?使えない?正直レビュー
「AIって積算の実務でも使えるの?」そんな疑問に答えるべく、ChatGPTとClaudeに福島県の公共営繕積算の実務的な質問を実際にぶつけてみました。良い面も悪い面も包み隠さず、現場目線で正直にレポートします。
この記事はこんな方向けです
- 積算業務にAIを活用できるか気になっている方
- ChatGPTやClaudeを試したが公共積算に使えるか判断できない方
- AIに頼りすぎることのリスクを理解しておきたい方
目次
1 検証の前提:AIに積算を「全部やらせる」のは無理
まず大前提として、AIは「積算ソフト」の代わりにはなりません。数量拾いをやらせたり、共通費を自動計算させたりすることは現時点では不可能です。
今回の検証は「積算に関する知識・判断の補助ツール」としてAIがどこまで使えるかという観点で行いました。
| 検証ツール | 特徴 | 使用バージョン |
|---|---|---|
| ChatGPT | OpenAI製。広く普及しており知名度が高い | GPT-4o |
| Claude | Anthropic製。長文処理と論理的な回答が得意 | Claude Sonnet |
検証方針:同じ質問を両AIにぶつけ、回答の正確さ・実用性・注意点を評価します。正解は令和8年度改定後の公共建築工事積算基準・福島県ルールに基づきます。
2 検証① RIBCコードの読み方を聞いてみた
福島県の設計書に頻繁に登場するRIBCコード。「B0-132511」という具体的なコードを例に、読み方を両AIに聞いてみました。
質問内容
先頭文字の意味(B=建築、E=電気、M=機械)は正しく、基本的な構造の説明はできていた。
回答は正確で、かつ「基準書を確認するように」と正直に限界を示した点が好印象。
注意点:両AIともコードの大まかな構造は理解していますが、具体的な歩掛コード番号と工種名の対応(例:132511が何の工事か)については正確に答えられません。この部分は積算基準書や積算ソフトで確認する必要があります。
3 検証② 単価年月日「241115A+8」の意味を聞いてみた
設計書の細目別内訳に記載される単価年月日等「241115A+8」。これを読み解けるかを検証しました。
質問内容
| 記号 | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| 24 | 年 | 2024年 |
| 1115 | 月日 | 11月15日 |
| A | 設置区分 | 設置(B=取外・再取付) |
| +8 | 週休2日補正 | 月単位4週8休以上の補正あり(+2=週休2日) |
年月日は正しく読めたが「A」と「+8」の意味(設置区分・週休2日補正)を答えられなかった。福島県特有のRIBC2記法の知識が不足。
「A=設置」「+8=週休2日補正」まで概ね正しく回答。ただし「月単位4週8休」という令和7年度改定後の詳細までは把握していなかった。
4 AIが「使える」場面
検証を通じて、以下の場面ではAIが実務の助けになると感じました。
「共通仮設費率とは何か」「一般管理費の考え方」など概念の説明は正確でわかりやすい。基準書を読む前の予習として活用できる。
「監督職員への設計変更の協議文を書いて」という使い方は非常に有効。文章の体裁を整える作業を大幅に短縮できる。
長文の仕様書をAIに貼り付けて「積算上のポイントを箇条書きで教えて」と指示すると、素早く要点を整理してくれる。
「この数量計算のExcel数式を作って」「見積り一覧表を自動集計したい」といったExcel作業の補助は得意分野。
5 AIが「使えない」場面
一方で、以下の場面ではAIを信用しすぎると危険です。
令和8年度の「専門工事業者等の諸経費の率」への変更など、直近の改定情報はAIの学習データに含まれていないケースがある。古い基準で回答される危険性がある。
「とりこわし工事の共通費は一般工事に含めても見積りにより計上」など福島県独自のルールはAIが知らない場合がほとんど。国交省の一般的な基準で答えてくる。
「この工事の共通仮設費率を計算して」という依頼には答えられない。単価データや率表を持っていないため、数値の算出は積算ソフトに委ねるべき。
AIは誤った情報でも自信満々に答えることがある(ハルシネーション)。積算の判断に使う場合は必ず基準書や積算ソフトで裏付け確認を行うこと。
重要:AIの回答はあくまで「参考情報」です。積算金額の根拠として使用する場合は必ず公共建築工事積算基準・福島県の積算基準で確認してください。AIの誤回答による積算ミスの責任はAIが負いません。
まとめ:AIは「補助ツール」として割り切って使う
RIBCコードの基本的な読み方など汎用的な知識はAIでも十分に調べられる。基準書を読む前の「予習」として有効。
令和8年度改定・福島県独自ルールなどの最新・地域固有の情報はAIが誤る可能性が高い。必ず基準書で裏付けを。
質疑文・協議文書の下書き・Excel作業の補助などはAIが得意な領域。積算の「周辺業務」効率化に積極的に活用したい。
ChatGPTとClaudeを比較するとClaudeのほうが「わからないことはわからない」と正直に答える傾向があり、積算実務での利用には安心感がある。

