令和8年積算改定とは?変更点を新人向けにわかりやすく解説
この記事の登場人物
みらい
みらいちゃん:今年から公共営繕部門に配属された新人職員。積算の経験はほぼゼロで、素朴な疑問をどんどん誠さんにぶつけます。
誠さん
誠さん:公共営繕歴20年以上のベテラン。難しい制度もかみ砕いて教えてくれる頼れる先輩。
令和8年に公共建築工事の積算基準が改定されたのじゃ、って聞いたけど、実際何が変わったの?というみらいちゃんの疑問に、誠さんが答えていきます。
令和8年改定って結局なに?
みらいちゃん
「令和8年改定」ってよく聞くんですけど、そもそも何が変わったんですか?基準そのものが全部変わったとか…?
誠さん
全部変わったわけではないのじゃ。国交省が令和8年3月11日に「雇用に伴う必要経費の確保」というテーマで、公共建築工事の積算基準類を改定したのじゃよ。ポイントは大きく3つじゃな。
令和8年改定の3つのポイント
①専門工事業者等の諸経費の率の見直し
②新たな単位施工単価の設定(絶縁ケーブル)
③一般管理費等率の見直し(工種共通化)
みらいちゃん
なるほど…全体像は分かったんですけど、それぞれ何のためにやったんですか?
誠さん
共通しているのは「雇用に伴う必要経費」、つまり働く人の適正な労務費をきちんと確保する、という狙いなのじゃ。令和7年12月に中央建設業審議会が「労務費に関する基準」を勧告したのが背景にあるのじゃよ。
①専門工事業者等の諸経費の率
みらいちゃん
「専門工事業者等の諸経費」って、前からある項目ですよね?何が変わったんですか?
誠さん
率の決め方が変わったのじゃ。改定前は工種ごとに「中間値+1%」という決め方だったが、改定後は全工種共通で「労務費」と「材料費、消耗材料費等」に分けて率を設定するようになったのじゃよ。
| 率を乗ずる対象 | 率 |
|---|---|
| 労務費(労) | 42〜52% |
| 材料費、消耗材料費等(労以外) | 9〜13% |
みらいちゃん
「労務費」と「材料費」で分けて率を決めるようになったんですね。それでどうなるんですか?
誠さん
労務費相当額をきちんと確保する、という国の姿勢が積算上ハッキリ見えるようになったのじゃ。設計労務単価×歩掛りの所要量×(労)の率、で労務分の諸経費を計算するのじゃよ。
②単位施工単価(絶縁ケーブル)
みらいちゃん
「単位施工単価」って初めて聞きました。市場単価とは違うんですか?
誠さん
いい質問じゃな。市場単価は材工一式で、労務費がいくら含まれているか見えなかったのじゃ。単位施工単価は、その労務費の内訳が見えるようにした新しい単価でな。令和7年12月に鉄筋・型枠で導入され、今回令和8年3月に絶縁ケーブル(EM-EEF)にも追加されたのじゃよ。
単位施工単価のしくみ
ベース単価:代表規格を歩掛りから積み上げて算定した基準の単価
シフト単価:ベース単価 × 係数で求める、他の規格・施工方法の単価
みらいちゃん
ベース単価に係数を掛けるだけでいいんですか?楽ですね!
誠さん
そうなのじゃ。元請と下請の実際の取引調査結果をもとに係数が決められているから、積み上げ計算をやり直す必要はないのじゃよ。ベース単価・シフト単価の詳しい計算方法は別記事でもっと詳しく解説しておるから、気になったら読んでみるとよいのじゃ。
③一般管理費等率の統一
みらいちゃん
一般管理費等率も変わったんですよね?これも工種ごとに違ったんですか?
誠さん
その通りじゃ。改定前は建築工事、電気設備工事、機械設備工事等で算定式が分かれておったが、改定後は全工種共通の算定式に一本化されたのじゃよ。
| 工事原価 | 一般管理費等率 |
|---|---|
| 3百万円以下 | 20.11% |
| 3百万円超〜30億円以下 | 算定式(Gp=32.597-3.591×log₁₀(Cp))で算定 |
| 30億円超 | 9.34% |
みらいちゃん
ということは、建築工事でも電気設備工事でも、同じ金額帯なら同じ率になるってことですか?
誠さん
その通りじゃ。ただし建築+電気設備のように複数工種を一括発注する場合の計算手順(主たる工事の考え方)は今までどおり残っておるから、そこは混同しないよう注意なのじゃよ。
いつから適用されるの?
みらいちゃん
この改定、いつから使えばいいんですか?
誠さん
国の基準は令和8年4月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事から適用じゃ。ただし福島県への反映時期は別に確認が必要でな、県の技術管理課の「公表図書について」ページで、起工日基準の個別確認をするのがよいのじゃよ。
注意
国の改定と、福島県での適用開始時期は必ずしも同じタイミングではありません。県の基準への反映状況は都度確認してください。
まとめ
みらいちゃん
今日は令和8年改定の全体像がよく分かりました!最後にまとめてもらえますか?
誠さん
よかろう。今回の改定は3つとも「雇用に伴う必要経費」をきちんと確保するという同じ目的でつながっておるのじゃ。
この記事のまとめ
①専門工事業者等の諸経費:労務費42〜52%・材料費等9〜13%の全工種共通の率に
②単位施工単価:絶縁ケーブル(EM-EEF)に追加導入。ベース単価×係数でシフト単価を算定
③一般管理費等率:建築・電気設備・機械設備・昇降機設備で算定式を統一
適用時期:令和8年4月以降に入札手続きを開始する官庁営繕工事から(福島県は別途確認)
それぞれのテーマについて、もっと詳しく知りたい人向けの記事も用意しておるから、気になったところから読んでみるとよいのじゃよ。

