石綿(アスベスト)事前調査とは?
石綿事前調査とは何か
建築物や工作物の解体・改修工事を行う際、大気汚染防止法および石綿障害予防規則に基づき、工事着手前に石綿(アスベスト)含有建材の有無を調査することが義務づけられています。これを「石綿事前調査」と呼びます。対象は工事の規模にかかわらず、解体・改修作業に係る部分のすべての材料です。公共工事の入札に参加する事業者は、対象工事に該当するか、誰が調査を行うべきかを正しく理解しておく必要があります。
・大気汚染防止法の改正により、令和3年4月1日から解体・改修工事前の石綿事前調査が義務化されています。
・令和5年10月1日以降、建築物・船舶の事前調査は有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)が行うことが義務化されました。工作物については令和8年1月1日から同様に義務化されています。
・建築物解体は床面積合計80平方メートル以上、建築物改修・工作物の解体改修は請負代金合計100万円以上(税込)の工事は、調査結果を電子システムで都道府県等に報告する義務があります(令和4年4月1日開始)。
・元請業者は工事着手前に、調査結果を書面で発注者に説明する義務も負っています。
大気汚染防止法による事前調査の義務化
令和2年に大気汚染防止法が改正され、令和3年4月1日から段階的に施行されています。この改正により、解体・改修等工事の着手前に、設計図書等による書面調査と目視調査によって石綿含有建材の有無を調査することが義務づけられました。平成18年9月1日以降に設置された建築物など、目視調査を省略できる場合もあります。
報告が必要な工事の規模
調査を行うこと自体はすべての解体・改修工事で必要ですが、そのうち一定規模以上の工事については、調査結果を「石綿事前調査結果報告システム」という電子システムを通じて都道府県等へ報告することが義務づけられています。この報告義務は令和4年4月1日から始まっており、対象となるのは次のいずれかに該当する工事です。
- 建築物の解体工事:解体部分の床面積の合計が80平方メートル以上
- 建築物の改修工事:請負代金の合計が100万円以上(税込)
- 工作物の解体・改修工事:請負代金の合計が100万円以上(税込)
報告は石綿の有無にかかわらず必要であり、報告義務を負うのは施工業者(元請業者等)です。福島市が公表している情報でも、この全国共通の基準に基づいて対応するよう案内されています。
この規模基準は、建設リサイクル法(建築物解体80平方メートル以上等)の届出対象基準とは別の制度です。両方の基準に該当する工事では、それぞれの法令に基づく手続きを別々に確認する必要があります。
有資格者による調査の義務化
石綿障害予防規則の改正により、事前調査を行う者にも要件が設けられました。建築物および船舶については令和5年10月1日から、調査に必要な知識を有する有資格者(一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者、一戸建て等石綿含有建材調査者のいずれか)が調査を行うことが義務化されています。一方、工作物(土木構造物等)については、これより遅れて令和8年1月1日から、工作物石綿事前調査者等の有資格者による調査が義務化されました。本記事執筆時点(令和8年9月)では、この工作物に関する義務化もすでに施行されています。
発注者への説明義務
大気汚染防止法第18条の15第1項に基づき、解体等工事の元請業者は、工事の発注者に対して、事前調査の結果や調査終了年月日、調査方法、調査を行った者の氏名・資格などを記載した書面を交付し、工事開始前に説明することが義務づけられています。あわせて同条第5項により、元請業者または自主施工者は、事前調査の結果を工事現場において公衆に見やすいように掲示する義務も負います(掲示物はA3サイズ以上)。公共工事においても、この説明・掲示義務は民間工事と同様に適用されます。
届出対象となる特定工事(吹付け石綿等を含む工事)に該当する場合は、これらの義務に加えて、作業開始日の14日前までに特定粉じん排出等作業の実施届出が別途必要です。
積算を学ぶ事業者が押さえておきたいこと
積算とは、発注者側が積算基準に基づいて予定価格を再現・推定する作業であり、自社の施工費を計算する見積りとは異なります。石綿事前調査は法令上の義務であり、対象工事に該当する場合には有資格者による調査や、必要に応じた分析調査、報告システムへの登録といった手続きが工事の進行に組み込まれます。具体的な費用計上の方法は個別の発注図書・特記仕様書等で示されるため、入札を検討する際は、まず自社が請け負う工事がこれらの義務化基準に該当するかを一次資料に基づいて確認することが出発点になります。
SEKISAN-PRO|福島県公共営繕積算情報プラットフォーム

