単位施工単価と市場単価の違いとは?積算担当者向け解説

積算担当の皆様、お疲れ様です!SEKISAN-PROです。
令和7〜8年の改定で「単位施工単価」という言葉が積算基準書に増えてきました。「市場単価と何が違うの?」「どの工種で使えばいいの?」という疑問をお持ちの方に向けて、今回は両者の違いを徹底解説します。

結論
  • 市場単価=取引調査をもとにした完成品の1本値。内訳は非公開で、専門工事業者の諸経費も単価に込み
  • 単位施工単価=取引調査+積み上げ方式の組み合わせ。材料費・労務費の内訳が見える単価
  • 近年は内訳の見える化を目的に、単位施工単価へ移行する工種が順次増えている(令和7年:鉄筋・型枠 令和8年:電気設備の絶縁ケーブル)

市場単価とは何か

市場単価とは、元請業者と下請の専門工事業者間の取引についての調査結果に基づく、単位施工当たりの価格です(公共建築工事標準単価積算基準 令和8年改定 第1編総則より)。材料費・労務費・機械器具費・専門工事業者の諸経費がすべて一体となった「完成品の単価」として設定されています。

市場単価のイメージ

「この工種を1㎡仕上げると、いくら?」という問いに対して、
材料・労務・経費をまとめて1本の単価で答えるのが市場単価です。

どんな工種に使われているか

公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)で市場単価が適用されている代表的な工種は以下のとおりです。

分野 市場単価が適用される主な工種
建築工事 土工・コンクリート・防水・左官・建具・塗装・内外装・金属工事 など
電気設備工事 共通工事(一部)・給排水衛生設備工事(一部) など
機械設備工事 配管工事・保温工事(一部) など

市場単価のメリット・デメリット

メリット

  • 工種ごとに1本の数字で使えるため積算が速い
  • 材料・労務の調達を専門工事業者に任せる実態に合っている
  • 市場の取引実態を反映した単価が設定されている

デメリット

  • 内訳(材料費・労務費の割合)が見えない
  • 共通費算定などで内訳が必要な場面で使いにくい
  • 「単価がなぜこの額か」の説明がしにくい
市場単価は「込み単価」であることに注意

市場単価には専門工事業者の諸経費がすでに含まれています。そのため、複合単価や単位施工単価で別途計上する「専門工事業者等の諸経費(表3の率)」を重ねて計上しないよう注意が必要です。

単位施工単価とは何か

単位施工単価とは、複合単価の算定方法と、元請業者と下請の専門工事業者間の取引調査結果を組み合わせることにより求められる価格です(同基準 第1編総則より)。市場における取引実態を反映しつつも、単位施工当たりに必要とされる標準的な材料費・労務費等の内訳を把握できることが最大の特徴です。

単位施工単価のイメージ

「この工種を1㎡仕上げると、いくら?」という問いに対して、
材料費いくら・労務費いくら・諸経費いくらという内訳がわかる形で答えるのが単位施工単価です。

市場単価との最大の違いは「内訳の見える化」

市場単価は内訳が1本値に込みになっているのに対し、単位施工単価では歩掛り表の中で各要素に(労)・(労以外)という区分が明示されます。令和8年改定で整理された専門工事業者等の諸経費率(労:42〜52%、労以外:9〜13%)は、この単位施工単価のベース単価算定にも連動して反映されます。

ベース単価とシフト単価の2層構造

単位施工単価は「ベース単価」と「シフト単価」の2種類で構成されています。

種別 内容 算定方法
ベース単価 細目工種を代表する規格・仕様の単価 材料単価・労務単価を積み上げて算定(複合単価方式)
シフト単価 ベース単価以外の規格・仕様の単価 ベース単価に取引調査結果の比率を乗じて算定
シフト単価の算定式(PDF原文より)

シフト単価 = ベース単価 ×(シフト単価の細目工種の取引調査結果に基づく単位施工当たりの価格 ÷ ベース単価の細目工種の取引調査結果に基づく単位施工当たりの価格)

なぜ国交省は単位施工単価へ移行しているのか

背景には3つの理由があります。

  • 1
    市場単価のブラックボックス化への対応
    市場単価は「完成品の1本値」であるため、内訳が見えません。専門工事業者の諸経費がいくら含まれているかも不明で、発注者・受注者ともに内訳の説明が難しいという課題がありました。
  • 2
    労務費・材料費の内訳の見える化
    令和7〜8年改定の大きなテーマのひとつが「雇用に伴う必要経費の確保」です。専門工事業者の労務費・材料費の内訳を明示することで、下請業者の適正な報酬確保につながる仕組みを整備するねらいがあります。
  • 3
    専門工事業者等の諸経費算定との整合
    令和8年改定で「専門工事業者等の諸経費」が全工種共通の率(労:42〜52%/労以外:9〜13%)に統一されましたが、この率を正しく適用するには内訳の把握が前提になります。単位施工単価はその内訳を担保する仕組みとして整合的です。
将来的な拡大の見込み

令和7年12月に鉄筋・型枠、令和8年3月に電気設備の絶縁ケーブルと、対象工種は順次拡大しています。他の市場単価工種についても調査・分析が進められており、今後さらに対象が広がる見込みです。

3方式の比較表で整理する

積算で使われる単価方式は「標準歩掛り」「市場単価」「単位施工単価」の3つです。まず結論を押さえておきましょう。

結論(再掲)
  • 市場単価=完成品の単価(内訳込み・諸経費込み)
  • 単位施工単価=内訳が見える単価(諸経費を歩掛り内に計上)
  • 近年は単位施工単価へ移行する工種が増えている
項目 標準歩掛り
(複合単価)
市場単価 単位施工単価
単価の性質 材料・労務・機械の積み上げ 取引調査による完成品1本値 積み上げ+取引調査の組み合わせ
内訳の可視性 高い(各要素が明示) 低い(内訳が一体) 高い(材料費・労務費を把握可能)
専門工事業者等の諸経費 歩掛り表の(労)(労以外)区分で別途計上 単価に含む(別途計上しない) ベース単価の歩掛り表内に(労)(労以外)で計上
代表的な対象工種 一般的な工種全般 防水・左官・塗装・建具・コンクリート等 鉄筋・型枠(R7.12〜)、絶縁ケーブルEM-EEF(R8.3〜)
今後の方向性 維持 一部工種で単位施工単価へ移行 対象工種が順次拡大予定
市場単価の諸経費の二重計上に注意

市場単価には専門工事業者の諸経費がすでに含まれています。標準歩掛り・単位施工単価のベース単価のように「諸経費を別途加算する」処理は不要です。工種ごとに適用する単価の種別を必ず確認しましょう。

福島県の積算担当者が注意すべきポイント

令和8年改定は国交省では令和8年3月11日から適用されていますが、福島県では例年どおり約半年遅れの2026年10月15日から適用される見込みです。それまでの工事は、原則として令和7年改定版の基準で積算します。

確認事項 内容
適用開始日 2026年10月15日(目安)。発注機関の通知で最終確認
単位施工単価の対象 鉄筋・型枠・絶縁ケーブル(EM-EEF)の3工種のみ。他の市場単価工種は従来どおり
諸経費率 令和8年改定適用後は全工種共通で労42〜52%・労以外9〜13%
市場単価との混在 同一工事内で市場単価工種と単位施工単価工種が混在する。工種ごとに単価種別を確認
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令和8年改定の適用日・その他率の変更・Gp一本化については「福島県 積算基準改定|適用は2026年10月15日から」で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

まとめ|「内訳の見える化」が令和8年改定の本質

この記事のポイント
  1. 市場単価は完成品の1本値。内訳は見えず、諸経費は単価に込み
  2. 単位施工単価は積み上げ+取引調査の組み合わせ。材料費・労務費の内訳が把握できる
  3. 単位施工単価への移行は「労務費の見える化」「適正報酬確保」「諸経費算定との整合」が背景にある
  4. 現時点での対象は鉄筋・型枠・電気設備の絶縁ケーブルのみ。全面移行ではない
  5. 福島県での令和8年改定適用は2026年10月15日が目安

「どの工種がどの単価方式か」を整理しておくことが、令和8年改定をスムーズに乗り越えるための第一歩です。対象工種は今後さらに拡大する見込みですので、基準書の改定情報をこまめにチェックしていきましょう!

もっと詳しく知りたい方はこちら(参考リンク)

本記事は2026年8月時点の公表情報および国土交通省公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)をもとに作成しています。実際の適用日・基準内容は発注機関の最新通知で必ずご確認ください。

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