補正市場単価の積算根拠とは?算定方法と歩掛積算との違いを解説

補正市場単価(補市)の算定式とは?歩掛積算との使い分けを解説
「条件がちょっと違うだけなのに、ぴったりの市場単価が物価資料にない…」 「そういうとき、すぐ歩掛積算に走っていませんか?」

実は、条件が一部だけ違う場合は「補正市場単価(補市)」という方法で合理的に単価を算定できます。国土交通省の活用マニュアルをもとに、算定式と使い分けのポイントをわかりやすく解説します!

こんな方に読んでほしい記事です
  • 物価資料にぴったりの市場単価がなくて困っている方
  • 補正市場単価(補市)の計算の仕組みを知りたい方
  • 補市と歩掛積算のどちらを使えばいいか迷っている方
  • 型枠工事の補市算定例を確認したい方

積算担当の皆様、お疲れ様です! 今回は「補正市場単価(補市)」の算定式について、国土交通省の『営繕積算方式』活用マニュアル(令和6年3月27日最終改訂)をもとに解説します。

1. 補正市場単価(補市)とは

工事内容や施工条件が、物価資料に掲載されている市場単価の条件と一部異なる場合、類似の市場単価を適切に補正して算定することができます。これが「補正市場単価(補市)」です。

出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

補正市場単価の算出方法は「公共建築工事積算基準等資料」第4編 第1章 5 市場単価及び附表によります。

出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

補正市場単価は、国土交通省の「営繕積算方式」を構成する重要な取組の一つとして位置づけられています。

2. 基本算定式

補正市場単価の計算は、以下の2つの式で求めます。

補正市場単価 = 類似の市場単価 × 補正係数
補正係数 = 求めたい仕様の基準仕様単価(標準条件) ÷ 類似仕様の基準仕様単価(標準条件)

出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

ポイントは「標準条件(地上など)における2つの仕様の単価比」から補正係数を求める点です。地下条件など直接の掲載がない条件でも、標準条件の比率をスライドさせることで合理的な単価を導けます。

3. 計算例:型枠工事でシミュレーション

活用マニュアルに掲載されている型枠工事の具体例をもとに、実際の計算の流れを確認しましょう。

以下の単価はマニュアル記載の参考単価です。実際の積算においては最新の単価をご利用ください。

設定条件

区分 仕様 単価
求めたい単価 打放し合板型枠B種・ラーメン構造・地下軸部・階高5m程度(物価資料に掲載なし)
類似の市場単価(地下) 普通合板型枠・ラーメン構造・地下軸部・階高5m程度 6,780円/㎡
標準条件の打放し単価 打放し合板型枠B種・ラーメン構造・地上軸部・階高3.5〜4m程度 6,400円/㎡
標準条件の普通合板単価 普通合板型枠・ラーメン構造・地上軸部・階高3.5〜4m程度 6,180円/㎡

出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

算定プロセス

STEP 1 補正係数を求める
補正係数 = 6,400円 ÷ 6,180円 ≒ 1.0356
STEP 2 補正市場単価を求める
補正市場単価 = 6,780円/㎡ × 1.0356
= 7,020円/㎡
出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

「打放し」と「普通合板」の仕様の差(コスト比)を標準条件で把握し、それを地下条件の単価にスライドさせることで、掲載のない条件の単価を合理的に算出できます。

4. 補市と歩掛積算の使い分け

実務で迷いやすいのが「補市を使うべきか、歩掛積算(複合単価)で組み立てるべきか」という判断です。活用マニュアルでは以下のように整理されています。

項目 補正市場単価(補市) 歩掛積算(複合単価)
使う場面 施工条件の一部が市場単価と異なるが、類似の市場単価が物価資料に載っているとき 市場単価が全く設定されていない特殊条件や、特記仕様書で指定された場合
ベース資料 物価資料(建設物価・積算資料等)掲載の市場単価 公共建築工事標準単価積算基準・参考歩掛り等
内訳の確認 材料費・労務費への分解はできない(材工共) 材料費・労務費・機械器具費を個別に積み上げ

出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.9・P.19

まず物価資料を開き、「条件が近い類似の市場単価があるか」を確認しましょう。あれば補市で対応、なければ歩掛積算というのが基本的な判断の流れです。

5. 積算の答え合わせは金入設計書で

補正計算を行った後、自分の算定した単価が適切かどうか確認したい場合は、行政が実際に積算した「金入設計書」との照合が最も実用的な方法です。

福島県いわき市では金入設計書がホームページ上で公開されており、備考欄にRIBCコードや施工条件まで記載されています。自分が算定した補市の単価と比較することで、積算精度を確認することができます。

まとめ
  1. 施工条件が市場単価と一部異なる場合は、類似の市場単価を補正する「補正市場単価(補市)」が使える(出典:活用マニュアルP.19)
  2. 算定式は 「類似の市場単価 × 補正係数」。補正係数は標準条件での2仕様の単価比から算出
  3. 掲載されている数値はあくまで参考単価。実際の積算では最新の単価を使用する
  4. 補正市場単価の詳細な算出方法は「公共建築工事積算基準等資料」第4編第1章5による
  5. 類似単価がない・特記で別施工が指定されている場合のみ、歩掛積算(複合単価)で対応

「ぴったりの単価がない」場面でも、補正市場単価の仕組みを知っておけば、合理的かつスピーディーに単価を算定できます。まずは物価資料で類似単価を探すところから始めてみてください!

SEKISAN-PRO | 公共営繕積算情報プラットフォーム

どの積算ソフトを選べばいいか迷っていませんか?

公共建築・公共土木・設備工事など、工事内容に合わせた積算ソフト選びをお手伝いします。
匿名OK・会社名不要です。

よろず相談箱はこちら →