【福島県】補正市場単価を徹底分析|算出方法から積算ソフトの違いまで解説

積算実務コラム

補正市場単価を徹底分析

こんな方におすすめの記事です

  • 補正市場単価の仕組みを正確に理解したい方
  • 備考欄の「補市」「市加」の違いが気になっている方
  • 積算ソフト間で単価がずれる理由を知りたい方
  • 積算精度を向上させたい方

目次

  1. 1.結論:補正市場単価は「市場単価×算定式」で求める単価
  2. 2.補正市場単価の算出方法(一次資料ベース)
  3. 3.実際の計算例で確認する
  4. 4.実際の補正市場単価の一覧で確認する
  5. 5.「市加」は積算単価がずれやすい
  6. 6.積算ソフトによって単価が大きくずれることがある
  7. 7.まとめ

1結論:補正市場単価は「市場単価×算定式」で求める単価

公共建築工事の積算では、工事内容や施工条件が市場単価の掲載条件と一部異なる場合、類似の市場単価を補正して算定することがあります。これが補正市場単価(補市)です。

補正市場単価の算出方法は、国土交通省「公共建築工事積算基準等資料」第4編第1章5市場単価に定められており、補正市場単価=市場単価×算定式という構造になっています。算定式は工種ごとに附表1として詳細に定められています。

2補正市場単価の算出方法(一次資料ベース)

国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル(令和8年3月31日最終改訂)では、補正市場単価の基本算定式が次のように示されています。

基本算定式
補正市場単価 = 類似の市場単価 × 補正係数
補正係数 = 求めたい仕様の基準仕様単価(標準条件) ÷ 類似仕様の基準仕様単価(標準条件)
出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.19

「公共建築工事積算基準等資料」の附表1にも、工種ごとに具体的な算定式が定められています。例えば根切り工事では、次のような算定式が示されています。

根切り(山留め内 切梁あり)の算定式
補正市場単価D’= 市場単価D ×((3d+2c)÷5)÷d
(d・cは参考歩掛りの表番号ごとの歩掛り記号)
出典:公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)附表1

このように、補正市場単価は市場単価に歩掛り比率をベースにした係数を掛けて算定するという構造が、コンクリート・防水・金属・左官・建具・塗装・内外装など各工種で細かく定義されています。

3実際の計算例で確認する

活用マニュアルには、コンクリート打設手間を例にした具体的な計算例が掲載されています。

STEP 1 類似の市場単価と補正係数を確認する
類似の市場単価(施工規模100㎥/回以上)= 990円/㎥
補正係数 = 3,640円/㎥ ÷ 2,620円/㎥
STEP 2 補正市場単価を求める
補正市場単価 = 990円/㎥ ×(3,640円/㎥ ÷ 2,620円/㎥)
= 1,380円/㎥
出典:国土交通省『営繕積算方式』活用マニュアル P.21「コンクリート打設手間 躯体コンクリート ポンプ打設 施工規模50〜100㎥/回程度」の算出例

「求めたい仕様の単価がそのまま掲載されていない」場合でも、標準条件における2つの仕様の単価比(補正係数)を、類似の市場単価にスライドさせることで、合理的な単価を導き出す仕組みになっています。

4実際の補正市場単価の一覧で確認する

実際の設計書の備考欄で「補市」と記載されている項目を見ると、電気設備工事・建築工事の様々な工種にまたがっていることが分かります。

名称摘要単価(円)区分
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF2.0㎜-3C FEP内(PF・CD)830補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF1.6㎜-2C FEP内(PF・CD)480補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF1.6㎜-2C 管内530補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF1.6㎜-3C FEP内(PF・CD)660補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF1.6㎜-3C 管内710補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF2.0㎜-2C FEP内(PF・CD)650補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF2.0㎜-2C 管内710補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF2.0㎜-3C 管内890補市
耐衝撃性硬質ビニル管(HIVE)露出配管 22㎜1,560補市
600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE)3.5mm2390補市
天井化粧せっこうボード張り(GB-D)厚9.5 準不燃 トラバーチン 突付け1,650補市
600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE)2.0㎜ 既設PF管内410補市
600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形 EM-EEF1.6㎜-2C 既設MM1内540補市
鉄筋加工組立小型構造物131,000補市
600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE)2.6㎜500補市
コンクリート打設手間小型構造物 人力打設 工作物の基礎等 S15〜S1816,400補市
型枠小型構造物用型枠 擁壁、囲障の基礎等6,860補市
コンクリート打設手間基礎部 ポンプ打設 50m3/回未満 S15〜S18(圧送費・基本料別途)1,610補市
ボーダーモルタル塗り金ごて 幅150 平部4,660補市
ビニル床シートマーブル 厚さ2.0 複層ビニル床シートFS 多湿部 熱溶接工法2,680補市
床モルタル塗り金ごて モルタル仕上げ 厚303,250補市
床モルタル塗り木ごて ユニットタイル下地 厚222,110補市
壁けい酸カルシウム板張りタイプ2(ノンアス)0.8FK 厚6 鋼製・木・ボード下地 下地張り2,110補市
天井けい酸カルシウム板張りタイプ2(ノンアス)0.8FK 厚6 下地張り2,040補市
給湯管保温ロックウール 暗渠内 着色アルミガラスクロス 65A2,830補市
給湯管保温ロックウール 暗渠内 着色アルミガラスクロス 32A2,180補市
給湯管保温ロックウール 暗渠内 着色アルミガラスクロス 150A6,100補市
給湯管保温ロックウール 暗渠内 着色アルミガラスクロス 80A3,180補市

電気設備の配管・配線・ケーブル類から、建築工事のコンクリート打設・型枠・左官・内装・保温工事まで、幅広い工種で補正市場単価が使われていることが分かります。

注意点:上記のうち600V系統の絶縁電線・絶縁ケーブルは、現時点では市場単価(補正市場単価)の区分ですが、令和8年改定基準では単位施工単価への移行対象になっています。基準改定後は、これらの項目が補正市場単価ではなく補正単位施工単価に区分される可能性がある点に注意が必要です。

5「市加」は積算単価がずれやすい

福島県の設計書の備考欄には、「補市」と並んで「市加」という表示が使われている案件があります。この「市加」について、国土交通省の以下の一次資料を確認しました。

  • 『営繕積算方式』活用マニュアル(令和8年3月31日最終改訂)
  • 公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)
いずれの資料にも「市加」という用語・算定式は確認できませんでした。国の正式な単価区分は「材料価格・複合単価・市場単価・単位施工単価・見積単価」と、その補正である「補正市場単価」「補正単位施工単価」のみです。

そのため、「市加」が具体的にどのような計算式で算出されているのかは、SEKISAN-PROとしても現時点で確認が取れていません。福島県のRIBC備考欄で使われている表示であることは分かっていますが、算定根拠については今後も継続して調査が必要な項目と考えています。算定根拠が公に定まっていないこともあり、次の章で紹介するとおり、積算ソフトによって単価が大きくずれやすい区分になっています。

6積算ソフトによって単価が大きくずれることがある

補正市場単価・市加はいずれも計算式が絡む単価のため、同じ条件を入力しても、使用する積算ソフトによって算出結果が異なることがあります。

SEKISAN-PROが実際に検証した範囲では、同一条件の「市加」300円程度のズレが生じていたケースもありました。すべてのソフトが同じ精度で計算を再現できているわけではなく、ソフトによって算出結果に差が出やすい単価区分と言えます。

一方で、補正計算の精度が高く、発注者積算に近い結果を出しやすい積算ソフトも存在します。どのソフトを使っているかによって、補正市場単価・市加の信頼性が変わってくるという点は、積算担当者として意識しておきたいポイントです。

7まとめ

  • 補正市場単価は「市場単価×算定式(補正係数)」で求める単価で、算定方法は国交省の一次資料に明記されている
  • 算定式は工種ごとに細かく定められており、標準条件における単価比をスライドさせる仕組みになっている
  • 電気設備の配線・ケーブル類から建築工事の左官・内装・保温工事まで、幅広い工種に補正市場単価が使われている
  • 600V系統の絶縁電線・絶縁ケーブルは、令和8年改定基準で単位施工単価への移行対象になっている
  • 「市加」は国の一次資料には確認できず、算定根拠は今後の調査課題
  • 「市加」は積算ソフトによって算出結果がずれやすく、300円程度の差が出たケースもある

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