【EM-EEF】電気設備の単位施工単価を分かりやすく解説【令和8年基準】

令和8年基準の電気設備工事の積算で、これまで市場単価として扱っていたEM-EEFの欄に「ベース単価」「シフト単価」という見慣れない区分が出てきた。単価の決め方が変わったようだが、何がどう変わったのかがつかめない。このようなお悩みはありませんか。

結論からお伝えすると、従来は材工共の市場単価で扱っていた一部のEM-EEFについて、令和8年基準で歩掛りによる積み上げを取り入れ、労務費等の内訳を見える化したものが、単位施工単価です。

ざっくり言えば、材工共だった単価を、歩掛りのように材料費・労務費・諸経費等の中身を捉えて決めるようにした、というイメージです。ただし、従来の市場単価をそのまま分解したものではありません。代表的な規格は歩掛りから積み上げ、その他の規格は市場の取引調査結果を使って調整します。

労務費だけの単価になったという意味ではなく、材料費・労務費・機械器具費・下請経費等を含む施工単価である点は、市場単価と変わりません。

この記事を読むメリット

  • 市場単価と単位施工単価の違いを、一つの表で把握できます
  • 対象となるEM-EEFの規格・施工条件を特定できます
  • 代価表の実例で、1m当たりの単価に労務費がいくら含まれるかを確認できます
  • 設計書と積算結果が合わないときの確認順序が分かります

1.市場単価との違いは「内訳が見えるかどうか」

市場単価は、元請業者と下請の専門工事業者間の取引調査を基に設定される、材料費・労務費・機械器具費・下請経費等が一式となった単価です。実勢価格を反映できる一方で、そのうち労務費がいくらかを把握しにくいという課題がありました。

単位施工単価は、複合単価の手法と市場取引の調査結果を組み合わせた新しい積算単価です。代表的な規格・仕様は歩掛りから積み上げ、その他の規格・仕様は取引調査結果を使って算定します。

比較する点市場単価単位施工単価
単価の決め方取引調査を基に設定歩掛りによる積み上げと取引調査を組み合わせる
労務費等の内訳単価だけでは把握しにくい内訳を把握できる
押さえる区分材工共ベース単価・シフト単価
単位施工単価は、鉄筋(ガス圧接含む)と型枠に令和7年12月に導入され、令和8年3月に絶縁ケーブルが追加されたものです。他の市場単価の工種についても、導入に向けて順次調査・分析が進められています。

2.基準に載っているのはEM-EEFの4区分

電気設備工事の市場単価がすべて切り替わったわけではありません。今回設定されたのは、600Vポリエチレン絶縁耐燃性ポリエチレンシースケーブル平形(EM-EEF)の、次の4区分です。施工条件はいずれも二重天井内、二重床内、ピット内及びトラフ内配線です。

種別規格
シフト単価1.6mm-2C
シフト単価2.0mm-2C
シフト単価1.6mm-3C
ベース単価2.0mm-3C

同じEM-EEFでも、太さ・心数・配線方法が異なれば扱いが変わります。名称だけで判断せず、施工条件まで合わせて確認してください。

それ以外の施工条件は「補正単位施工単価」

上の4区分のほかにも、木造ステープル・木造サドル、コンクリートサドル、ラック、管内といった施工条件や、2.6mmの規格が単位施工単価として細分化されています。

基準の細目工種は4区分だけなのに数が合わない、と感じる場面です。これらは「補正単位施工単価」だと考えられます。

単価基準では、規格・仕様が各編に記載された細目工種の摘要と一部異なる場合に、類似の単位施工単価を適切に補正して単価を算出できることとされています。ベース単価とシフト単価を出発点に、施工条件や規格の違いを補正して算出した単価、という位置づけです。

整理すると、ベース単価は歩掛りから積み上げる代表規格の単価、シフト単価は取引調査の価格比でベース単価を調整した同一施工条件の他規格の単価、補正単位施工単価は細目工種と施工条件・規格が一部異なる場合に補正して算出する単価です。いずれも単位施工単価の体系に含まれます。

なお、600V耐燃性ポリエチレン絶縁電線(EM-IE)やビニル絶縁電線(IV)は、引き続き市場単価の区分です。配線工事のすべてが単位施工単価に移ったわけではありません。

3.ベース単価は歩掛りで積み上げる

ベース単価は、工種を代表する規格・仕様について、複合単価の手法で算定する基準となる単価です。EM-EEFでは2.0mm-3Cが該当し、施工1m当たりの歩掛りが次のとおり定められています。

  • 600V絶縁ケーブル:1.15m(労以外)
  • 雑材料:1式(材料価格×0.03)(労以外)
  • 電工:0.017人(労)
  • 諸経費:1式

労務費は、工事場所に対応する公共工事設計労務単価に所要量を乗じて算定します。どの材料をどれだけ使い、どれだけの労務が必要かを基に組み立てるため、単価に含まれる労務費が明確になります。

労務費 = 電工の設計労務単価 × 0.017人

専門工事業者等の諸経費も、同じ改定で率が見直されています。労務費に乗ずる率は42〜52%、材料費・消耗材料費等に乗ずる率は9〜13%で、これらを合計して算出します。

4.市場単価と単位施工単価を数字で比べる

EM-EEF 2.0mm-3C(二重天井内、二重床内、ピット内及びトラフ内配線)の1m当たりで、従来と令和8年基準を並べてみます。

BEFORE|市場単価令和7年積算基準

EM-EEF 2.0mm-3C 配線 1m = 材工共で1本の金額

内訳金額
材料費?
労務費?
専門工事業者等の諸経費?

取引調査を基に設定された一本の金額のため、このうち労務費がいくらかは単価だけでは追えませんでした。

AFTER|単位施工単価(ベース単価)令和8年積算基準

歩掛りに単価を当てはめて積み上げるため、各費目の金額が代価表の上に並びます。

名称/規格数量単位乗率単価金額
600V絶縁ケーブル(EM-EEF)3心 2.0mm1.15m1337387.55
電工0.017人1.229,600603.84
雑材料3%1387.5511.62
諸経費(労務)1式0.47603.84283.80
諸経費(労務以外)1式0.11399.1743.90
合計1,330.71

※単価・業率・諸経費率は積算ソフト上の設定値による試算例です。工事場所や発注者の取扱いにより金額は異なります。市場単価と単位施工単価が同じ金額になるとは限りません。

労務費がいくら含まれているかが分かる

電工の所要量0.017人に設計労務単価を乗じた603.84円が労務費である、と代価表の上で確認できます。これが、今回の改定でいう労務費等の見える化です。

労務費 603.84円 ÷ 単価 1,330.71円 = 約45%

諸経費も、労務に乗せる分(0.47)と労務以外に乗せる分(0.11)に分かれて計上されています。今回の改定で、専門工事業者等の諸経費の率が工種ごとの率から「労務費」と「材料費、消耗材料費等」の全工種共通の率に改められたことが、代価表の形にも表れています。

諸経費(労務以外)の対象となる399.17円は、材料費387.55円と雑材料11.62円の合計です。どの金額にどの率が乗っているかを押さえておくと、金額が合わないときの確認が早くなります。

5.シフト単価は取引調査の価格比で調整する

すべての規格で歩掛り調査を行うには多くの時間と労力がかかります。そこで、ベース単価以外の規格・仕様は、元請業者と下請の専門工事業者間の取引調査結果を使い、ベース単価を調整して算定します。

シフト単価 = ベース単価 × (シフト単価の対象規格の取引調査価格 ÷ ベース単価の対象規格の取引調査価格)

実務では、シフト単価は物価資料の掲載価格によることが基本とされています。物価資料にはベース単価の価格も掲載されます。

また、シフト単価に含まれる労務費相当額は、ベース単価の労務比率から算出できます。これにより、歩掛りを個別に定めていない規格でも労務費を把握できる仕組みです。

6.まとめ

単位施工単価は、材工共で一本だった市場単価に歩掛りによる積み上げを取り入れ、労務費等の内訳を見える化した単価です。EM-EEF 2.0mm-3Cのベース単価では、1m当たり1,330.71円のうち労務費が603.84円であることが、代価表の上で確認できます。

基準に細目工種として掲げられているのは4区分で、2.0mm-3Cがベース単価、残る3区分がシフト単価です。それ以外の施工条件や規格は、類似の単位施工単価を補正して算出することとされています。

単価の決め方が変わるため、従来の市場単価と同じ金額になるとは限りません。積算ソフトを使う場合は、基準データの更新状況と採用している単価の種別を確認しておくと、設計書との差を切り分けやすくなります。

ひとこと
令和8年基準のEM-EEFにおいて、代表規格(4区分)以外の単位施工単価については補正計算が非常に複雑です。そのため、令和8年基準への変更に伴い、積算ソフトごとの対応力や計算精度の差が顕著になると考えられます。積算担当者は要注意です。

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