【完全版】公共建築工事共通費積算基準を徹底解説|共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の計算方法【令和8年版】

公共建築工事 共通費積算基準 完全解説(全10章収録)|3区分・算定式・補正・令和8年改定まで

積算担当の皆様、お疲れ様です。公共建築工事の共通費積算基準について、全10本の記事をまるごと1本にまとめた完全版です。共通費の基本構造から算定式の読み方、各種補正、令和8年改定の変更点まで、通しで確認できます。金入設計書の読み込みや予定価格の推定の参考にしてください。

第1章 共通費とは何か?3区分と工事費の構成

積算担当の皆様、お疲れ様です。公共建築工事の工事費を構成する「共通費」について、基本から整理します。金入設計書を読む際に共通費の構造を理解しておくと、予定価格の推定精度が上がります。

この章のポイント:工事費は直接工事費・共通費・消費税等相当額で構成される。共通費は「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の3つに区分される。

工事費の構成を確認する

公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)によると、工事費は次の構成になっています。

直接工事費
共通仮設費
現場管理費
一般管理費等
工事価格(税抜)
消費税等相当額
工事費

この構成の中で、「共通仮設費」「現場管理費」「一般管理費等」の3つをまとめて共通費と呼びます。

共通費の3区分と計算の順序

共通費は3段階で積み上がります。それぞれ計算の基礎となる費目が異なることが重要なポイントです。

区分 計算の基礎 計算方法
共通仮設費 直接工事費(P) 共通仮設費率(Kr)による算定+必要に応じ積み上げ
現場管理費 純工事費(Np)
※直接工事費+共通仮設費
現場管理費率(Jo)による算定+必要に応じ積み上げ
一般管理費等 工事原価(Cp)
※純工事費+現場管理費
一般管理費等率(Gp)による算定

計算の基礎となる費目が段階的に変わることに注目してください。直接工事費が増えると、それに連動して共通仮設費も増え、純工事費も増え、さらに現場管理費・一般管理費等も増えるという連鎖構造になっています。

各区分に含まれる費用の内容

共通仮設費とは

工事全体に共通して必要な仮設工事の費用です。基準の表-1では、準備費・仮設建物費・工事施設費・環境安全費・動力用水光熱費・屋外整理清掃費・機械器具費・情報システム費などが列挙されています。

仮設建物費には「監理事務所、現場事務所、倉庫、下小屋、宿舎、作業員施設等に要する費用」が含まれます。なお、共通仮設費率に含まれない費用(揚重機械器具など)は、別途積み上げにより算定して加算します。

現場管理費とは

現場の施工管理に要する費用です。基準の表-2では、労務管理費・租税公課・保険料・従業員給料手当・施工図等作成費・法定福利費・補償費などが含まれます。

一般管理費等とは

企業の本社・支店の運営に要する費用と付加利益等です。基準の表-3(一般管理費)と表-4(付加利益等)の内容を一式として計上します。役員報酬・従業員給料手当・修繕維持費・調査研究費・法人税等が含まれます。

共通費算定の際の重要な注意点

注意:共通費を算定する場合の直接工事費には、本設のための電力・水道等の各種負担金は含まないものとされています(基準 第1編)。また、共通仮設費率・現場管理費率を算定する場合の直接工事費・純工事費には、処分費を含まないものとされています。

金入設計書に記載されている共通費の額は、この構造に基づいて算定されています。各費目の数値と基礎となる費目の関係を理解することで、設計書の読み方が変わります。


第2章 共通仮設費率の算定式を読む(建築新営編)

積算担当の皆様、お疲れ様です。今回は共通仮設費率の中でも最も使用頻度が高い、新営建築工事の算定式を取り上げます。式の読み方とExcelでの入力方法を整理します。

この章のポイント:新営建築工事の共通仮設費率はKr=Exp(3.346-0.282×logeP+0.625×logeT)で算定する。PとTの単位・処理方法に注意が必要。

算定式の全体像

公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)別表-1に定められた新営建築工事の共通仮設費率の算定式は次のとおりです。

Kr = Exp( 3.346 - 0.282 × loge P + 0.625 × loge T )
Kr:共通仮設費率(%) / P:直接工事費(千円) / T:工期(か月)

Exp( )は指数関数e( )を表し、eはネイピア数(自然対数の底)です。logeは自然対数を意味します。

Pの入力方法:単位は「千円」

算定式に代入するP(直接工事費)は千円単位です。

例:直接工事費が165,520,850円の場合

算定式に代入するP = 165,520.850(千円単位、小数点以下3桁)

円をそのまま入力するのではなく、1,000で割った値を使います。この点はミスが起きやすいので注意してください。

Tの入力方法:工期(か月)の求め方

Tは工期(か月)ですが、積算時点では工期が未確定のため、次の方法で算定します。

T(か月)=「開札予定日から工期末の期間」-「開札予定日から契約締結までの準備期間7日」を月換算したもの

Tの値は小数点以下第2位を四捨五入して1位止めとします。

注意:工期は「契約締結の翌日から工期末まで」ですが、積算時点では工期が未確定のため、上記の方法で月換算した値を使います。Tの丸め処理(1位止め)はKrの丸め処理(2位止め)と異なります。混同しないよう注意してください。

Krの丸め処理

算定式で求めたKrの値は、小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとします。

例:計算結果が4.124…→ Kr = 4.12(%)

Excelでの計算方法

Excel入力式:

Kr = EXP(3.346-0.282*LN(P)+0.625*LN(T))

※P・Tにはそれぞれのセルやかの数値を直接入力します。EXP関数(指数関数)とLN関数(自然対数)を使います。

Pの適用範囲に注意

別表-1の注3には、直接工事費(P)が以下の範囲を外れる場合は共通仮設費を別途定めることができると記載されています。

工種 Pの適用範囲
新営建築工事 10,000千円 ≦ P ≦ 5,000,000千円
(1,000万円以上50億円以下)

福島県の公共営繕工事で一般的に扱う規模(1億〜3億円程度)はこの範囲内に収まります。範囲外の工事では別途定めることができます。

算定例で確認する

国土交通省官庁営繕部の算定例(令和8年)をもとに確認します。

直接工事費:165,520,850円(P=165,520.850千円) / 工期:10.3か月

Kr = Exp(3.346 - 0.282 × loge(165,520.850) + 0.625 × loge(10.3))

4.12(%)

算定式・単位・丸め処理の3点を正確に押さえれば、Excelで確実に再現できます。


第3章 工種別・新営改修別で算定式が変わる理由

積算担当の皆様、お疲れ様です。公共建築工事の共通仮設費率は、工種と新営・改修の区別によって算定式が異なります。今回は全7種類の式を一覧で整理し、どの式をどの工事に使うかを確認します。

この章のポイント:共通仮設費率の算定式は建築・電気・機械・昇降機の工種別、さらに新営・改修の別で別表-1〜7の7種類が定められている。昇降機設備工事のみ工期Tを使わない。

7種類の算定式一覧

公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)別表-1〜別表-7に定められた算定式を工種別に整理します。

別表 工種区分 算定式(Excel形式) Pの適用範囲(千円)
別表-1 新営建築工事 EXP(3.346-0.282*LN(P)+0.625*LN(T)) 10,000〜5,000,000
別表-2 改修建築工事 EXP(3.962-0.315*LN(P)+0.531*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-3 新営電気設備工事 EXP(3.086-0.283*LN(P)+0.673*LN(T)) 10,000〜1,000,000
別表-4 改修電気設備工事 EXP(1.751-0.119*LN(P)+0.393*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-5 新営機械設備工事 EXP(2.173-0.178*LN(P)+0.481*LN(T)) 10,000〜1,000,000
別表-6 改修機械設備工事 EXP(2.478-0.173*LN(P)+0.383*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-7 昇降機設備工事 EXP(4.577-0.323*LN(P)) 5,000〜500,000

すべての式でKrの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとします。

昇降機設備工事の特殊な取り扱い

別表-7の昇降機設備工事の算定式には、他の工種と異なる重要な点が2つあります。

昇降機設備工事の特徴:

① 算定式にT(工期)が含まれない。Pのみで算定する。

② Pの適用範囲が5,000〜500,000千円(5,000万円〜5億円)と他の工種より狭い。

改修工事は別の式を使う

建築・電気・機械の各工種において、新営工事と改修工事では別の算定式を使います。定数(a・b・c)がそれぞれ異なります。

例:建築工事の場合

新営:EXP(3.346-0.282*LN(P)+0.625*LN(T))

改修:EXP(3.962-0.315*LN(P)+0.531*LN(T))

定数が異なるため、同じP・Tを代入しても結果が変わります。

注意:改修工事の場合は新営用の式を使わないよう注意してください。特に複合工事(建築+電気設備など)では、工種ごとに別の算定式を適用します。

共通仮設費率に含まれない内容は別途積み上げ

基準では、共通仮設費率に含まれない内容については、必要に応じ別途積み上げにより算定して加算するとされています。

建築工事の共通仮設費率に含まれる内容(表-5)には、測量機器・雑機械器具は含まれますが、揚重機械器具は含まれません。躯体・仕上工事用の揚重機が必要な場合は、別途積み上げで算定して加算します。

また、共通仮設費率に含まれない費用として、基準では以下の3項目が明示されています。

・現場環境改善費

・工事場所以外の屋外整理清掃費

・新たな施策等の試行による特別な費用

工種の選択を誤ると共通費全体の計算が狂います。工事内容と工種の対応を確認した上で正しい別表を選択しましょう。


第4章 現場管理費率の算定式を読む

積算担当の皆様、お疲れ様です。今回は現場管理費率の算定式を解説します。共通仮設費率との最大の違いは、計算の基礎が「直接工事費(P)」ではなく「純工事費(Np)」である点です。

この章のポイント:現場管理費率Jo は純工事費Np(直接工事費+共通仮設費)を基礎として算定する。共通仮設費を求めてからでないとNpが確定しない点に注意。

新営建築工事の算定式

公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)別表-8に定められた新営建築工事の現場管理費率の算定式は次のとおりです。

Jo = Exp( 5.899 - 0.447 × loge Np + 0.831 × loge T )
Jo:現場管理費率(%) / Np:純工事費(千円) / T:工期(か月)

Excel入力式:

Jo = EXP(5.899-0.447*LN(Np)+0.831*LN(T))

純工事費Npとは

現場管理費率の算定に使うNp(純工事費)は、直接工事費に共通仮設費を加算した金額です。

純工事費(Np)= 直接工事費 + 共通仮設費

※Npも千円単位で算定式に代入します。

注意:現場管理費率の算定には、共通仮設費(率による分+積み上げ分の合計)を確定させてからNpを計算する必要があります。共通仮設費の積み上げ分がある場合は忘れずに加算してください。また、現場管理費率を算定する場合の純工事費には処分費を含まないものとされています。

全7種類の算定式一覧

別表 工種区分 算定式(Excel形式) Npの適用範囲(千円)
別表-8 新営建築工事 EXP(5.899-0.447*LN(Np)+0.831*LN(T)) 10,000〜5,000,000
別表-9 改修建築工事 EXP(7.079-0.538*LN(Np)+0.773*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-10 新営電気設備工事 EXP(5.961-0.387*LN(Np)+0.629*LN(T)) 10,000〜1,000,000
別表-11 改修電気設備工事 EXP(6.038-0.431*LN(Np)+0.736*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-12 新営機械設備工事 EXP(4.723-0.252*LN(Np)+0.428*LN(T)) 10,000〜1,000,000
別表-13 改修機械設備工事 EXP(6.221-0.461*LN(Np)+0.800*LN(T)) 3,000〜1,000,000
別表-14 昇降機設備工事 EXP(7.438-0.448*LN(Np)) 5,000〜500,000

Joの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとします。

昇降機設備工事の取り扱い

共通仮設費率と同様、現場管理費率においても昇降機設備工事(別表-14)は工期Tを含まない式です。NpのみでJoを算定します。

昇降機設備工事の現場管理費率:

Jo = EXP(7.438 - 0.448*LN(Np))

Npの適用範囲:5,000〜500,000千円(5,000万円〜5億円)

算定例で確認する

国土交通省の算定例(令和8年・新営建築工事)で確認します。

直接工事費:165,520,850円 / 共通仮設費(率分):6,819,459円 / 積み上げ分:1,292,000円

純工事費 Np = 165,520.850 + 6,819.459 + 1,292.000 = 173,632.309(千円)

Jo = Exp(5.899 - 0.447 × loge(173,632.309) + 0.831 × loge(10.3)) = 11.52(%)

共通仮設費の積み上げ分を忘れずにNpに含める点が実務上のポイントです。


第5章 積み上げと率の使い分け・揚重機を例に

積算担当の皆様、お疲れ様です。共通費の算定では「率による算定」と「積み上げによる算定」の2つの方法があります。どちらを使うかは費目によって決まっており、混在させる場合もあります。今回は共通仮設費を例に整理します。

この章のポイント:共通仮設費率に含まれない費用は別途積み上げにより算定して加算する。建築工事では揚重機械器具が率に含まれない代表例。積み上げ分は純工事費(Np)の計算にも影響する。

率による算定と積み上げの基本的な考え方

共通費基準では、共通費を算定する方法として2つが定められています。一般的には、まず率(共通仮設費率)で算定し、率に含まれない内容については必要に応じ別途積み上げにより算定して加算します。

共通仮設費の計算式:

共通仮設費 = 直接工事費 × Kr + 積み上げ分

建築工事の共通仮設費率に含まれる内容(表-5)

基準の表-5では、建築工事の共通仮設費率に含まれる内容が列挙されています。

項目 状態 主な内容
準備費 含む 敷地整理(新営)、道路占有準備・現状復旧等
仮設建物費 含む 監理事務所(敷地内)、現場事務所(敷地内)、倉庫、下小屋等
工事施設費 含む 場内通信設備等の工事用施設
環境安全費 含む 安全標識、消火設備、安全用品(フルハーネス型含む)、隣接物等の養生・補償復旧、台風等一般的な災害防止費用
動力用水光熱費 含む 工事用電気設備・給排水設備、工事用電気・水道料金等
屋外整理清掃費 含む 屋外・敷地周辺の跡片付け、発生材処分、端材処分
機械器具費のうち測量機器・雑機械器具 含む 測量機器、雑機械器具
機械器具費のうち揚重機械器具 含まない 躯体・仕上工事用揚重機など

揚重機は率に含まれない=別途積み上げが必要

建築工事において、共通的に使用する揚重機械器具に要する費用は共通仮設費率に含まれていません。そのため、必要な場合は別途積み上げにより算定して加算します。

算定例(令和8年・国交省):

躯体・仕上工事用揚重機 一式 = 1,292,000円

この金額を共通仮設費率による算定額に加算する。

注意:積み上げ分は純工事費Npの計算に影響します。Np = 直接工事費 + 共通仮設費率による額 + 積み上げ分、となります。積み上げ分を忘れるとNpが過少になり、現場管理費・一般管理費等も連動して過少計上になります。

率に含まれないその他の費用

基準では、共通仮設費率に含まれないものとして設計図書に基づく以下の費用が明示されています。

・現場環境改善費

・工事場所以外の屋外整理清掃費

・新たな施策等の試行による特別な費用

設計変更における共通仮設費の取り扱い

基準では、設計変更における共通仮設費について次のように定めています。積み上げにより算定した場合は設計変更においても積み上げにより算定し、率により算定した場合は設計変更においても率により算定します。設計変更時に算定方法を変えることはできません。

また、設計変更時の共通仮設費は「変更内容を当初発注工事内に含めた場合の共通仮設費を求め、当初発注工事の共通仮設費を控除した額」とします。

率と積み上げの役割を正確に理解することが、共通費全体を正確に算定するための土台になります。しっかり押さえておきましょう。


第6章 一般管理費等率の算定式(令和8年統一化)

積算担当の皆様、お疲れ様です。今回は一般管理費等率の算定式を解説します。令和8年改定で算定式が大きく整理されましたので、令和7年版を使ってきた方は特に確認が必要です。

この章のポイント:令和8年改定で一般管理費等率は建築・電気・機械・昇降機の全工種で共通の1本(別表-15)に統一された。算定式はGp=32.597-3.591×log10(Cp)。共通仮設費・現場管理費率とは異なり常用対数(log10)を使う点に注意。

令和8年改定:全工種共通の算定式に統一

令和7年版では一般管理費等率が工種別に別表-15(建築)・別表-16(電気)・別表-17(機械・昇降機)の3本に分かれていましたが、令和8年改定では別表-15の1本に統一されました。

改定前(令和7年) 改定後(令和8年)
別表-15(建築):Gp=28.978-3.173×log10(Cp)
別表-16(電気):Gp=29.102-3.340×log10(Cp)
別表-17(機械・昇降機):Gp=27.283-3.049×log10(Cp)
別表-15(全工種共通):
Gp=32.597-3.591×log10(Cp)

令和8年の算定式

Gp = 32.597 - 3.591 × log10(Cp)
Gp:一般管理費等率(%) / Cp:工事原価(千円)

Excel入力式(IFS関数で範囲別に対応):

Gp = IFS((Cp)<=3000, 20.11, (Cp)>3000000, 9.34, TRUE, (32.597-3.591*LOG(Cp)))

※LOG関数はExcelでは常用対数(log10)です。LN関数(自然対数)とは異なります。

工事原価Cpとは

一般管理費等率の算定に使うCp(工事原価)は、純工事費に現場管理費を加算した金額です。

工事原価(Cp)= 純工事費 + 現場管理費

= 直接工事費 + 共通仮設費 + 現場管理費

※Cpも千円単位で算定式に代入します。

工事原価の範囲別の取り扱い

工事原価(Cp) 一般管理費等率
3百万円以下 固定値 20.11%
3百万円を超え30億円以下 算定式 Gp=32.597-3.591×log10(Cp)
30億円を超える 固定値 9.34%

Gpの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとします。

常用対数と自然対数の違いに注意

重要:共通仮設費率・現場管理費率の算定式では自然対数(loge、ExcelではLN関数)を使いますが、一般管理費等率では常用対数(log10、ExcelではLOG関数)を使います。同じ積算作業の中でExcel関数を使い分ける必要があります。混同するとGpの計算が大きく狂うので注意してください。

算定例で確認する

国土交通省の算定例(令和8年・新営建築工事)で確認します。

工事原価 Cp = 193,634,750円 → 193,634.750(千円)

Gp = 32.597 - 3.591 × log10(193,634.750) = 13.61(%)

令和7年から令和8年への改定で算定式が1本に統一されたことで、工種ごとに式を使い分ける手間がなくなりました。ただし以前の式と結果が変わります。令和8年の式を確実に使うようにしましょう。


第7章 監理事務所を設けない場合の補正計算

積算担当の皆様、お疲れ様です。公共建築工事では監理事務所を設けない設定が一般的なケースがあります。この場合、共通仮設費率に補正値を乗じる処理が必要です。今回はその計算方法を整理します。

この章のポイント:監理事務所を設けない場合は共通仮設費率Krに補正値を乗じて減額する。補正値は直接工事費Pの範囲によって異なり、1,000万円以上50億円以下の場合は0.738+0.0162×loge(P)の式で求める。

補正の根拠と補正値の区分

監理事務所を設けない場合の補正値は、公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)第3編第2章2(1)イ(ロ)に定められています。補正値はPの範囲によって3区分に分かれます。

直接工事費(P)の区分 補正値
1,000万円未満 0.887
1,000万円以上50億円以下 0.738+0.0162×loge(P)
(Pは千円単位)
50億円を超える 0.988

補正式による値は小数点以下第4位を四捨五入して3位止めとします。また、設計変更においては変更後のPに対応した値を変更後のKrに乗じます。

補正値の算定式(1,000万円以上50億円以下の場合)

補正値 = 0.738 + 0.0162 × loge(P)
P:直接工事費(千円) / 補正式による値は小数点以下第4位を四捨五入して3位止め

算定の手順

STEP1:通常どおりKr(共通仮設費率)を算定する

STEP2:Pの値に応じた補正値を算定する

STEP3:共通仮設費 = 直接工事費 × Kr × 補正値(+積み上げ分)

算定例で確認する

国土交通省の算定例(令和8年)をもとに確認します。

直接工事費:165,520,850円(P=165,520.850千円) / Kr=4.12%

補正値 = 0.738 + 0.0162 × loge(165,520.850)

= 0.738 + 0.0162 × 11.917… = 0.933

共通仮設費(率分)= 165,520,850 × 4.12% × 0.933 = 約6,363,000円

補正なしとの比較(同条件):

補正なし:165,520,850 × 4.12% = 約6,819,000円

補正あり:165,520,850 × 4.12% × 0.933 = 約6,363,000円

差額:約456,000円の減額(この例の場合)

補正後の現場管理費・一般管理費等への連鎖影響

共通仮設費が減額されると、純工事費Npも減少します。その結果、現場管理費率Joの算定に使うNpが変わるため、現場管理費・工事原価Cp・一般管理費等も連動して変化します。

注意:算定例(令和8年)では、補正ありの場合のJo(11.53%)が補正なし(11.52%)と若干異なります。Npの変化によってJoが変わり、それがCpにも影響します。監理事務所補正は共通仮設費だけでなく共通費全体に影響します。

福島県の公共営繕工事では監理事務所を設けない設定が一般的と言われていますが、個別の工事仕様書の確認が必要です。補正値の算出とその連鎖的な影響を正確に把握して積算に臨みましょう。


第8章 一般管理費等の前払金補正と契約保証費

積算担当の皆様、お疲れ様です。一般管理費等には、基本の率による算定のほかに「前払金支出割合による補正」と「契約保証費の加算」という2つの処理が関わります。金入設計書を読む際に関係してくる部分なので、今回まとめて整理します。

この章のポイント:前払金支出割合が35%以下の場合は一般管理費等率に補正係数を乗じて増額する。契約保証費は保証の方法によって工事原価に0.04%または0.09%を乗じて加算する。

前払金支出割合による補正

公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)第4章1(1)イ(イ)によると、前払金支出割合が35%以下の場合の一般管理費等率は、補正係数を一般管理費等率に乗じて得た率とされています。

前払金支出割合区分(%) 補正係数
0から5以下 1.05
5を超え15以下 1.04
15を超え25以下 1.03
25を超え35以下 1.01

注意:前払金の保証がない工事は、この補正の対象外とされています。また、前払金支出割合が35%を超える場合も補正の対象外です。

契約保証費の加算

基準等資料では、契約保証費は工事原価に契約保証費率を乗じて算出した金額を一般管理費等に加算するとされています。

保証の方法 契約保証費率
保証の方法1:発注者が金銭的保証を必要とする場合(工事請負契約書第4条を採用する場合) 0.04%
保証の方法2:発注者が役務的保証を必要とする場合 0.09%
保証の方法3:上記以外の場合 補正しない

保証の方法3の具体例として、基準等資料では「予算決算及び会計令第100条の2第1項第1号の規定により、工事請負契約書の作成を省略できる工事請負契約である場合」が挙げられています。

金入設計書での確認ポイント

金入設計書の統括情報表には前払率の記載があります。この前払率が前払金支出割合の判定に使われます。

前払率の記載がある工事 → 前払金支出割合区分を確認し、補正係数を適用

前払金の保証がない工事 → 補正の対象外

確認の手順:

① 金入設計書の統括情報表で前払率を確認する

② 前払金支出割合区分に対応する補正係数を選ぶ

③ 算定式で求めたGpに補正係数を乗じる

④ 保証の方法に応じて契約保証費を工事原価に乗じて加算する

設計変更における契約保証費の扱い

基準等資料では、設計変更については契約保証費にかかる補正を行わないと定めています。当初積算時に計上した契約保証費率は、設計変更では変更しません。

前払金補正と契約保証費は、基本の一般管理費等率に加えて確認が必要な処理です。金入設計書の読み込みの際に、これらの補正が適切に反映されているかを確認する習慣をつけましょう。


第9章 福島県の最低制限価格と共通費の関係

積算担当の皆様、お疲れ様です。予定価格の推定だけでなく、最低制限価格の水準を把握することも入札参加の実務では重要です。福島県の最低制限価格等の算定式では共通費の各費目が直接使われています。今回はその仕組みを整理します。

この章のポイント:福島県の最低制限価格等は「中央公契連モデル式 × A(県独自係数)」で算定される。モデル式は直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費に各係数を乗じた合計。最終的な範囲は予定価格の87%〜92%。

福島県の最低制限価格等の算定式

福島県入札監理課が令和6年11月18日に公表した算定式によると、工事の最低制限価格等(税抜き)は次のとおりです。

最低制限価格等 = 中央公契連モデル式 × A(県独自係数)

(100円未満切り捨て)

中央公契連モデル式の内容

中央公契連モデル式は、工事費の各費目に係数を乗じた合計額です。

費目 係数 端数処理
直接工事費 × 0.97 1円未満切り捨て
共通仮設費 × 0.90 1円未満切り捨て
現場管理費 × 0.90 1円未満切り捨て
一般管理費 × 0.68 1円未満切り捨て

ただし、この合計額が工事価格に0.92を乗じた額を上回る場合は工事価格×0.92を計上し、0.87を乗じた額を下回る場合は工事価格×0.87を計上します。

A(県独自係数)の算定式

A = −0.02 × log(工事価格) + 1.3765

※ logは自然対数(loge)

※ Aの丸めは行わない

適用:令和4年4月1日以降に起工する工事から適用

最低制限価格等の範囲

最低制限価格等の範囲:予定価格の87%〜92%

算定額がこの範囲を上回った場合 → 上限値(92%)を採用

算定額がこの範囲を下回った場合 → 下限値(87%)を採用

共通費の精度が最低制限価格の推定に影響する

最低制限価格等の算定式には、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費が独立した要素として使われています。共通費の各費目を正確に推定することが、最低制限価格等の水準を把握するうえでも重要です。

注意:この算定式は「予定価格の算定に使用する共通費基準の費目」と同じ費目ベースで計算されます。共通費基準に基づいて算定した共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)の数値を使って最低制限価格等も推定できます。

「最低制限価格等」とは

この算定式が適用されるのは、価格競争における最低制限価格と、総合評価方式における調査基準価格・評価基準価格の3種類です。入札公告の「入札に付する事項」に適用の有無が記載されます。

共通費の各費目を正確に把握しておくことは、予定価格の推定だけでなく、入札価格の検討にも直接役立ちます。今回解説した算定式の仕組みを理解した上で、金入設計書の読み込みに活用してください。


第10章 令和8年改定の変更点まとめ

積算担当の皆様、お疲れ様です。令和8年3月11日付けで公共建築工事共通費積算基準が改定されました。令和7年版からの変更点を新旧表をもとに整理します。令和7年版を使ってきた方は確認しておきましょう。

この章のポイント:令和8年改定の主な変更点は2点。①一般管理費等率が工種別3本から全工種共通1本に統一、②表の記載内容の整理(建設業退職金共済の記載位置変更・試験研究償却費の削除等)。共通仮設費率・現場管理費率の算定式と係数の変更はない。

変更点1:一般管理費等率の統一

令和8年改定で最も大きな変更は、一般管理費等率の算定式が全工種で共通化されたことです。

項目 令和7年(改定前) 令和8年(改定後)
算定式の数 3本(別表15・16・17) 1本(別表15)
建築工事の算定式 Gp=28.978-3.173×log10(Cp)
(工事原価500万円以下は17.24%、30億円超は8.43%)
Gp=32.597-3.591×log10(Cp)
(工事原価300万円以下は20.11%、30億円超は9.34%)
電気設備工事の算定式 Gp=29.102-3.340×log10(Cp) 全工種共通式に統一
機械・昇降機設備工事の算定式 Gp=27.283-3.049×log10(Cp) 全工種共通式に統一

注意:令和8年の算定式は令和7年とは係数が異なります。同じ工事原価Cpを代入しても、令和7年と令和8年では一般管理費等率Gpの計算結果が変わります。令和8年以降の積算には必ず新しい式を使用してください。

変更点2:表の記載内容の整理

新旧表(令和8年改定内容)を確認すると、費目の記載内容にも変更があります。

表-2(現場管理費)の変更

令和7年:法定福利費の中に「建設業退職金共済制度に基づく証紙購入代金」が含まれていた

令和8年:「建設業退職金共済 契約に係る掛金」として独立した項目に変更された

表-3(一般管理費)の変更

令和7年:「試験研究償却費」(新製品又は新技術の研究のための特別に支出した費用の償却額)が独立項目として記載されていた

令和8年:「試験研究償却費」の項目が削除された

表-5(建築工事の共通仮設費率に含む内容)の変更

令和7年(環境安全費):「安全標識、消火設備等の施設の設置、隣接物等の養生及び補償復旧に要する費用」

令和8年(環境安全費):「安全標識、消火設備等の施設の設置、安全用品等(墜落制止用器具(フルハーネス型)を含む)、隣接物等の養生及び補償復旧に要する費用」

→ 安全用品等(フルハーネス型含む)の記載が明示的に追加された

変更がなかった点

以下の点は令和7年から変更なし:

・共通仮設費率(Kr)の算定式(別表1〜7)および係数

・現場管理費率(Jo)の算定式(別表8〜14)および係数

・共通費の3区分の基本構造

・共通費算定の基本的な考え方(率による算定+積み上げ)

福島県での適用時期

福島県の公共営繕工事では、国交省基準の改定後に時間差を置いて適用されるのが一般的です。令和8年改定版の適用開始時期については、福島県の発注機関の通知を確認してください。

令和8年改定では一般管理費等率の算定式が大きく変わっています。積算ソフトの設定や手計算のシートが令和7年のままになっていないか確認しておきましょう。

出典:公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)・公共建築工事共通費積算基準の改定内容(新旧表)令和8年・公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)・公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例・福島県最低制限価格等の算定式について(令和6年11月18日) 国土交通省大臣官房官庁営繕部・福島県入札監理課

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