監理事務所を設けない場合の補正計算|共通仮設費率Krへの補正値を解説【令和8年版】
積算担当の皆様、お疲れ様です。公共建築工事では監理事務所を設けない設定が一般的なケースがあります。この場合、共通仮設費率に補正値を乗じる処理が必要です。今回はその計算方法を整理します。
この記事のポイント:監理事務所を設けない場合は共通仮設費率Krに補正値を乗じて減額する。補正値は直接工事費Pの範囲によって異なり、1,000万円以上50億円以下の場合は0.738+0.0162×loge(P)の式で求める。
補正の根拠と補正値の区分
監理事務所を設けない場合の補正値は、公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)第3編第2章2(1)イ(ロ)に定められています。補正値はPの範囲によって3区分に分かれます。
| 直接工事費(P)の区分 | 補正値 |
|---|---|
| 1,000万円未満 | 0.887 |
| 1,000万円以上50億円以下 | 0.738+0.0162×loge(P) (Pは千円単位) |
| 50億円を超える | 0.988 |
補正式による値は小数点以下第4位を四捨五入して3位止めとします。また、設計変更においては変更後のPに対応した値を変更後のKrに乗じます。
補正値の算定式(1,000万円以上50億円以下の場合)
算定の手順
STEP1:通常どおりKr(共通仮設費率)を算定する
STEP2:Pの値に応じた補正値を算定する
STEP3:共通仮設費 = 直接工事費 × Kr × 補正値(+積み上げ分)
算定例で確認する
国土交通省の算定例(令和8年)をもとに確認します。
直接工事費:165,520,850円(P=165,520.850千円) / Kr=4.12%
補正値 = 0.738 + 0.0162 × loge(165,520.850)
= 0.738 + 0.0162 × 11.917… = 0.933
共通仮設費(率分)= 165,520,850 × 4.12% × 0.933 = 約6,363,000円
補正なしとの比較(同条件):
補正なし:165,520,850 × 4.12% = 約6,819,000円
補正あり:165,520,850 × 4.12% × 0.933 = 約6,363,000円
差額:約456,000円の減額(この例の場合)
補正後の現場管理費・一般管理費等への連鎖影響
共通仮設費が減額されると、純工事費Npも減少します。その結果、現場管理費率Joの算定に使うNpが変わるため、現場管理費・工事原価Cp・一般管理費等も連動して変化します。
注意:算定例(令和8年)では、補正ありの場合のJo(11.53%)が補正なし(11.52%)と若干異なります。Npの変化によってJoが変わり、それがCpにも影響します。監理事務所補正は共通仮設費だけでなく共通費全体に影響します。
福島県の公共営繕工事では監理事務所を設けない設定が一般的と言われていますが、個別の工事仕様書の確認が必要です。補正値の算出とその連鎖的な影響を正確に把握して積算に臨みましょう。
