市場単価・補正市場単価の執務並行の改修補正率一覧|建築・電気・機械設備を総まとめ

積算基準|令和8年改定

積算担当の皆様、お疲れ様です!

執務並行改修の積算で、「この市場単価って改修補正率を掛けるんだっけ?」と毎回資料をめくって確認していませんか?

市場単価・補正市場単価は、複合単価のように労務の所要量を割増しするのではなく、単価そのものに改修補正率を乗じるという、算定方法そのものが違う単価です。しかも工種や部材ごとに率がバラバラで、率が設定されていない項目も混在しているため、一律で「15%増し」や「20%増し」を当てはめてしまうと積算ミスに直結します。

そこで今回は、令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)をもとに、建築・電気設備・機械設備の3工事から、市場単価等に改修補正率が設定されている項目だけを抜き出して一覧にまとめました。積算中にサッと確認できるチェックリストとして、ぜひご活用ください!

01 建築工事:改修補正率が設定されている項目一覧

表A-1のうち、市場単価等に改修補正率が設定されている工種は以下の7工種のみです。仮設・土工・地業・鉄筋・コンクリート・型枠・鉄骨・既製コンクリート・石・タイル・木・屋根及びとい・仕上げユニット等は、市場単価等の改修補正率の設定がありません。

工種改修補正率
防水1.07
防水(シーリング)1.13
金属1.08
左官(仕上塗材仕上以外)1.14
建具(ガラス)1.09
建具(シーリング)1.14
塗装(改修標仕仕様)1.14
内外装1.11
内外装(ビニル床材)1.08

ポイント:同じ「建具」でもガラス回りとシーリング回りで率が異なります(1.09と1.14)。積算時にどちらの区分に該当するか取り違えないよう注意しましょう!

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.19 表A-1

02 電気設備工事:改修補正率が設定されている項目一覧

電気設備工事は建築に比べて対象項目が多く、特に配管工事で細かく率が分かれているのが特徴です。

工種対象項目改修補正率
配管工事電線管・2種金属線ぴ及び同ボックス1.18
ケーブルラック1.14
位置ボックス及び位置ボックス用ボンディング1.17
プルボックス1.12
プルボックス用接地端子1.00(補正なし扱い)
防火区画貫通処理 ケーブルラック用(壁・床)1.13
防火区画貫通処理 金属管・丸型用1.05
配管工事電動機その他接続材工事1.14
配線工事600V絶縁電線及び600V絶縁ケーブル1.16

ポイント:配管工事は同じ工種名の中に9項目もの改修補正率が個別設定されています。「配管工事だから一律1.18」と決め打ちすると誤りやすいので、部材ごとに率を確認しましょう。なお、金属製可とう電線管や接地工事(屋外)などは市場単価等の改修補正率の設定がありません。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.20 表E-1

03 機械設備工事:改修補正率が設定されている項目一覧

機械設備工事で改修補正率が設定されているのは、次の4項目のみです。それ以外の多くの工種(配管工事、機器搬入、衛生器具設備の器具費部分など)は複合単価等の労務割増しのみで対応し、市場単価等の改修補正率は設定されていません。

工種対象項目改修補正率
保温工事配管用・ダクト用及び消音内貼1.14
ダクト設備低圧ダクト・排煙ダクト及び低圧チャンバー類1.14
ダクト附属品既製品ボックス・制気口・ダンパー等の取付手間のみ1.20
衛生器具設備(ユニット除く)取付手間のみ1.20

要チェック:ダクト附属品と衛生器具設備は「取付手間のみ」に改修補正率がかかります。器具本体の価格部分にまで一律で1.20を掛けてしまうと過大計上になるので気をつけましょう。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.21 表M-1

04 なぜ「割増し」ではなく「改修補正率」なのか

積算基準上、単価は複合単価・単位施工単価(ベース単価)・補正単位施工単価・市場単価・補正市場単価に分かれます。このうち市場単価・補正市場単価は、物価資料等に掲載された実勢価格をベースに設定されている単価で、労務の歩掛りを積み上げて算定する複合単価等とは性質が異なります。そのため、執務並行改修における補正方法も別立てで定められています。

単価の種類補正方法
複合単価・単位施工単価(ベース単価)・補正単位施工単価労務の所要量を割増し(例:15%増し、20%増し)
市場単価・補正市場単価改修補正率を乗じる(例:×1.07、×1.14 など)
単位施工単価(シフト単価)ベース単価は労務割増しで算定し、シフト単価は物価資料掲載価格をもとに別式で算定

市場単価・補正市場単価は歩掛りの積み上げではないため、「労務を割増す」という概念がそもそも成立しません。そのため、単価そのものに改修補正率を乗じることで、執務並行による効率低下分を反映させる仕組みになっています。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.17〜18

05 「率がない=補正しない」わけではない点に注意

上記の一覧で改修補正率が設定されていない工種でも、複合単価・単位施工単価・補正単位施工単価としては15%増し・20%増しの対象になっているケースが多くあります。

  • 建築:仮設、既製コンクリート、石、タイル、木、屋根及びとい等は労務割増しのみ(市場単価等の改修補正率なし)
  • 電気:電灯設備、動力設備、火災報知設備等の多くは労務割増しのみ
  • 機械:配管工事(屋内一般)、機器搬入、機器類の据付等は労務割増しのみ

つまり「市場単価等の改修補正率が設定されていない=執務並行改修による補正が一切不要」という意味ではありません。単価の種類(複合単価か市場単価か)を必ず確認したうえで、それぞれの補正方法を適用しましょう。

06 単位施工単価(シフト単価)の場合はどうなるか

単位施工単価のうちシフト単価が設定されている工種(型枠・鉄筋など)は、市場単価とも複合単価とも異なる独自の算定式が使われます。

ベース単価:複合単価の方法で算定(労務の所要量を割増し)

シフト単価:物価資料掲載価格をもとに以下の式で算定

【工事場所が物価資料の掲載都市の場合】

改修割増し後のシフト単価 = 労務の所要量を割増しの上、算定したベース単価 ×(工事場所の都市のシフト単価 ÷ 工事場所の都市のベース単価)

【工事場所が物価資料の掲載都市ではない場合】

改修割増し後のシフト単価 = 労務の所要量を割増しの上、算定したベース単価 ×(地区代表都市のシフト単価 ÷ 地区代表都市のベース単価)

市場単価の改修補正率とは全く別の計算方法になるため、混同しないようにしましょう!

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.18

07 著しく作業効率が悪い場合の特例

ここで挙げた改修補正率は、あくまで標準的な数値です。現場の状況によって著しく作業効率が悪いと判断される場合は、表の率によらず実状を考慮した補正を行うことができます。

実務上のポイント

  • 設計図書に施工条件(作業時間制限、動線制約など)が明示されているか確認する
  • 標準の改修補正率では対応しきれないと判断した場合は、その根拠を記録に残す
  • 施工業者へのヒアリング結果を参考に、実状に応じた率を検討する

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)p.18

08 まとめ

  • 市場単価・補正市場単価は「労務割増し」ではなく「改修補正率を乗じる」方式で補正する
  • 建築工事は防水・金属・左官(仕上塗材仕上以外)・建具・塗装・内外装の7区分に改修補正率あり(1.07〜1.14)
  • 電気設備工事は配管工事・配線工事に集中して改修補正率あり、配管工事だけで9区分と細かい(1.00〜1.18)
  • 機械設備工事は保温工事・ダクト設備・ダクト附属品・衛生器具設備の4区分のみ、いずれも1.14または1.20
  • 「取付手間のみ」など、率を乗じる対象範囲が限定されている項目があるので要注意
  • 改修補正率が設定されていない工種でも、複合単価等の労務割増しは別途必要な場合がある
  • 著しく作業効率が悪い場合は、標準の率によらず実状を考慮した補正が可能

複合単価等の割増しと違い、市場単価・補正市場単価の改修補正率は工種・部材ごとに数値も対象範囲もバラバラです。積算時はこの記事の一覧表を手元に置いて、単価の種類を取り違えないよう確認しながら進めましょう!

出典:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)|本記事は同資料の記載内容に基づき作成しています。

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