執務並行改修の割増し|する・しない工種を一覧表で解説【全国対応】

執務並行改修の割増し判定|工種別に「する・しない」を徹底整理【令和8年改定】

積算担当の皆様、お疲れ様です!
改修工事の積算で「この工種、執務並行の割増しって要るんだっけ?」と迷った経験はありませんか?
今回は 令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」をもとに、工種別に割増しをするかしないかを表で一気に整理しました。さらに週休2日工事を適用する場合の補正率の違いについても解説しています。建築・電気・機械設備それぞれの表をまとめて確認できるので、ぜひブックマークして活用してください!

まず「執務並行改修」とは何か

改修工事は、工事期間中の建物内の執務状況によって積算上2つに区分されます。

全館無人改修

仮庁舎等が準備されているなど、改修する建物の全館が無人(執務者がいない)の状態で行う改修工事。

執務並行改修

建物に執務者がいる状態で行う改修工事。施工場所と執務中の場所が区画されている場合も含まれる。また、増築工事においても既存建物と取り合う部分の改修工事については、既存建物の執務者の有無の状態により分類する。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.17

全館無人改修との違い

ここが積算上の最大のポイントです。

全館無人改修の場合

単価基準の複合単価・市場単価・単位施工単価等をそのまま使用します。改修を理由とした労務の所要量の割増しや単価の補正は行いません。

執務並行改修の場合

施工業者が執務者に配慮しながら施工することを前提として、工種に応じた割増し・補正が必要になります。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.17〜18

割増しの基本ルール(単価種類ごとの考え方)

執務並行改修での割増しは、単価の種類によって方法が異なります。混乱しやすい部分なのでまず整理しましょう。

複合単価・単位施工単価(ベース単価)・補正単位施工単価

労務の所要量を割増しする(例:15%増し、20%増し)

市場単価・補正市場単価

改修補正率を乗じる(例:×1.07、×1.14など)

単位施工単価(シフト単価)

→ ベース単価は複合単価の方法で算定(労務を割増し)し、シフト単価は物価資料掲載価格をもとに以下の式で算定する。

【工事場所が物価資料の掲載都市の場合】

改修割増し後のシフト単価 = 労務の所要量を割増しの上、算定したベース単価 × (工事場所の都市のシフト単価 ÷ 工事場所の都市のベース単価)

【工事場所が物価資料の掲載都市ではない場合】

改修割増し後のシフト単価 = 労務の所要量を割増しの上、算定したベース単価 × (地区代表都市のシフト単価 ÷ 地区代表都市のベース単価)

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.18

この記事の表(表A-1・表E-1・表M-1)の改修補正率について

以下の表に掲載している改修補正率(防水:1.07、電線管:1.18 など)は、週休2日補正を適用しない場合の数値です。週休2日促進工事として発注される場合は、これらの補正率は使わず、別途定められた「週休2日用の改修補正率」に乗り換えます。詳しくはセクション7「週休2日工事の場合は補正率が変わる」を必ず確認してください。

建築工事(表A-1)※週休2日補正なし

建築工事の各工種について、割増し・補正の有無を整理した表です。「15%増し」または改修補正率が設定されているものが割増し対象で、「-」が割増しなし(補正不要)です。

工種 複合単価等
労務割増し
市場単価等
改修補正率
仮設
土工
地業
鉄筋
コンクリート
型枠
鉄骨
既製コンクリート15%増し
防水15%増し防水:1.07
防水(シーリング):1.13
15%増し
タイル15%増し
15%増し
屋根及びとい15%増し
金属15%増し金属:1.08
左官(仕上塗材仕上)
左官(仕上塗材仕上以外)15%増し左官(仕上塗材仕上以外):1.14
建具15%増し建具(ガラス):1.09
建具(シーリング):1.14
塗装(改修標仕仕様)15%増し塗装(改修標仕仕様):1.14
内外装15%増し内外装:1.11
内外装(ビニル床材):1.08
仕上げユニット15%増し
排水
構内舗装
植栽
仮設(改修)
撤去
外壁改修
とりこわし

注)「-」は該当する種類の単価がない、または割増し・補正は行わないことを示す。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.19 表A-1

電気設備工事(表E-1)※週休2日補正なし

電気設備工事は建築工事と比べて割増し対象が幅広く、多くの工種で20%増しが設定されています。一方、接地工事(屋外)・架空線路・地中線路・撤去は割増しなしです。また屋外・共同溝等は原則として割増しなしという点も要注意です。

工種 複合単価等
労務割増し
市場単価等 改修補正率
配管工事 20%増し 電線管・2種金属線ぴ及び同ボックス:1.18
ケーブルラック:1.14
位置ボックス及び位置ボックス用ボンディング:1.17
プルボックス:1.12
プルボックス用接地端子:1.00
防火区画貫通処理 ケーブルラック用(壁・床):1.13
防火区画貫通処理 金属管・丸型用:1.05
(電動機その他接続材工事)金属製可とう電線管:1.14
配線工事20%増し600V絶縁電線及び600V絶縁ケーブル:1.16
接地工事(屋内)20%増し
接地工事(屋外)(接地極工事)銅板式・銅覆鋼棒・接地極埋設票(金属製):-
塗装工事20%増し
機器搬入20%増し
電灯設備20%増し
動力設備20%増し
雷保護設備20%増し
受変電設備20%増し
電力貯蔵設備20%増し
架空線路
地中線路
構内交換設備20%増し
情報表示・拡声設備20%増し
誘導支援設備20%増し
テレビ共同受信設備20%増し
監視カメラ設備20%増し
火災報知設備20%増し
撤去(再使用しない)
撤去(再使用する)
再取付け20%増し
機器搬出20%増し
はつり工事20%増し

注)「-」は該当する種類の単価がない、または割増し・補正は行わないことを示す。

注)屋外・共同溝等においては原則として労務の所要量割増し・単価の補正は行わない。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.20 表E-1

機械設備工事(表M-1)※週休2日補正なし

機械設備工事も電気同様多くの工種で20%増しが基本です。ただし屋外・共同溝の配管工事・地中配管工事・土工事・桝類・インバート改修・撤去は割増しなしです。また屋外・共同溝等は原則として割増しなしとなっています。

工種 複合単価等
労務割増し
市場単価等
改修補正率
備考
配管工事(屋内一般・機械室・便所)20%増し屋上・外壁施工含む
配管工事(屋外・共同溝)
配管工事(地中)
配管附属品20%増し
保温工事20%増し配管用・ダクト用及び消音内貼:1.14
塗装及び防錆工事20%増し
機器搬入20%増し
総合調整20%増し
土工事
コンクリート工事20%増し屋内基礎等
機器類の据付20%増し
ダクト設備20%増し低圧ダクト・排煙ダクト及び低圧チャンバー類:1.14
ダクト附属品20%増し既製品ボックス・制気口・ダンパー等の取付手間のみ:1.20
自動制御設備20%増し歩掛りによる場合
衛生器具設備(ユニット除く)20%増し取付手間のみ:1.20
桝類
消火設備(特殊消火を除く)20%増し歩掛りによる場合
配管分岐・切断20%増し
機器搬出20%増し
はつり工事20%増し
ダクト端部閉塞20%増し
インバート改修
撤去(再使用する)
撤去(再使用しない)
再取付け20%増し

注)「-」は該当する種類の単価がない、または割増し・補正は行わないことを示す。

注)屋外・共同溝等においては原則として労務の所要量割増しは行わない。

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.21 表M-1

週休2日工事の場合は補正率が変わる

現在の営繕工事では「月単位の週休2日(4週8休以上)」がほぼ標準です。週休2日促進工事として発注される場合、単価の種類によって補正方法が異なります。

複合単価・単位施工単価・補正単位施工単価の場合

労務単価に補正率×1.02を乗じます(建築・電気・機械とも全工種共通)。

執務並行改修の場合は、労務単価に×1.02を乗じたうえで、さらに改修割増(15%増し or 20%増し)を乗じます。

【新営・全館無人改修】 労務単価 × 1.02

【執務並行改修】 労務単価 × 1.02 × 改修割増(1.15 or 1.20)

市場単価・補正市場単価・物価資料の掲載単価の場合

改修割増と週休2日補正があらかじめ合算された専用の補正率を1回だけ乗じます。上の表A-1等の改修補正率(防水:1.07など)は使いません。

【新営・全館無人改修】 市場単価 × 新営補正率

【執務並行改修】 市場単価 × 改修補正率(改修割増+週休2日が合算済み)

※全館無人改修は積算基準等資料の規定により改修割増を行わないため(p.17〜18)、新営補正率を適用します。

複合単価と市場単価で仕組みが違う点に注意:複合単価は「改修割増」と「週休2日補正(×1.02)」を別々に掛けるのに対し、市場単価は両方が合算された補正率を1回だけ掛ける仕組みです。市場単価で通常の改修補正率(例:防水1.07)を掛けたあとにさらに×1.02を重ね掛けするのは二重計上になるためNGです。

市場単価の改修補正率 対比表(通常 vs 週休2日)

市場単価に改修補正率がある工種のみ抜粋しています。週休2日適用時は右列の数値を使います。

建築工事

工種・細目 通常
(週休2日なし)
週休2日
(改修補正率)
防水1.071.08
防水(シーリング)1.131.14
金属1.081.09
左官(仕上塗材仕上以外)1.141.16
建具(ガラス)1.091.10
建具(シーリング)1.141.16
塗装(改修標仕仕様)1.141.15
内外装1.111.13
内外装(ビニル床材)1.081.08変動なし

電気設備工事

工種・細目 通常
(週休2日なし)
週休2日
(改修補正率)
電線管・2種金属線ぴ等1.181.19
ケーブルラック1.141.15
位置ボックス・ボンディング1.171.18
プルボックス1.121.13
プルボックス用接地端子1.001.00変動なし
防火区画貫通(ラック用)1.131.14
防火区画貫通(金属管用)1.051.05変動なし
(電動機その他接続材)金属製可とう電線管1.141.15
600V絶縁電線・ケーブル1.161.17

機械設備工事

工種・細目 通常
(週休2日なし)
週休2日
(改修補正率)
保温(配管用・ダクト用等)1.141.15
ダクト(低圧・排煙等)1.141.15
ダクト付属品(取付手間のみ)1.201.22
衛生器具設備(取付手間のみ)1.201.22

「通常」列の数値は令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省)表A-1・E-1・M-1による。

「週休2日」列の数値は国土交通省「営繕工事における週休2日促進工事の実施に係る積算方法等の運用について(改定)」に基づく補正率(各都道府県準用)。複合単価の補正率(×1.02)も同運用による。

著しく作業効率が悪い場合の特例

表A-1・表E-1・表M-1はあくまで標準的な割増し率です。著しく作業効率が悪い場合は、表によらず実状を考慮して割増し・補正を行うことができます。

実務上のポイント

  • 設計図書に施工条件が明示されているか確認する
  • 著しく効率が悪いと判断する場合は、根拠を記録に残しておく
  • 施工業者からのヒアリング結果を参考に実状に応じた率を検討する

参照:令和8年改定「公共建築工事積算基準等資料」(国土交通省) p.18

まとめ

今回のポイント整理

  • 全館無人改修は割増しなし。執務並行改修のみ割増し・補正が必要。
  • 建築工事は対象工種で15%増し(複合単価等)または改修補正率(市場単価等)を適用。
  • 電気・機械設備は対象工種で20%増し(複合単価等)または改修補正率(市場単価等)を適用。
  • 撤去・とりこわし・外壁改修・屋外工事など割増しなしの工種も多い。左官(仕上塗材仕上)も割増しなし。
  • 単価の種類(複合単価 vs 市場単価)によって対応方法が異なる点に注意。
  • 週休2日工事の場合:複合単価は労務単価に×1.02(改修割増を適用する場合はさらにそのうえで×1.02)。市場単価は通常の改修補正率を使わず、週休2日用の合算済み改修補正率に乗り換えて1回だけ乗じる。
  • 著しく作業効率が悪い場合は表によらず実状を考慮して対応可能。

割増しを正確に判断することは、適正な積算と発注者への説明責任にも直結します。今回の表を手元に置いて、迷ったときにすぐ確認できるようにしておきましょう!

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