【完全版】令和8年改定|積算基準(歩掛)と共通費積算基準を完全解説

令和8年改定 公共建築工事標準単価積算基準 完全解説
積算担当の皆様、お疲れ様です!

令和8年3月11日(国営積第15号)に、公共建築工事標準単価積算基準が大改定されました。今回の改定は「名称が少し変わっただけ」ではありません。歩掛り表の根幹となる「その他」の算定方式が全面刷新された、積算実務に直結する重大な改定です。

この記事では370ページ・333ページにわたる改定資料を徹底解読し、積算担当者が知っておくべき変更点をすべてまとめました。これ1本読めば令和8年改定の全体像が把握できます!
令和8年改定 主要変更点まとめ
1
最重要「専門工事業者等の諸経費」の率が「労務費:42〜52%」「材料費等:9〜13%」の2本立てに統一
旧来の工種別3表(建築・電気・機械)が廃止され、費用の性質(労か材料か)で判断するシンプルな統一表に。歩掛り表中の「その他」欄もすべて「諸経費」に変更。
2
最重要歩掛り表の「その他」欄が「諸経費」欄に変更。全行に「労/労以外」区分が明示された
すべての歩掛り表(建築・電気・機械設備)で各材料行・労務行に「率を乗ずる歩掛りの区分」列が新設。旧来の注記「その他の率対象は○○とする」に代わり、表中の区分列で率対象を確認する形になった。
3
共通費一般管理費等率(Gp)の算定式が全工種共通1式に統一。建築・電気・機械・昇降機すべてに適用
Gp = 32.597 − 3.591 × log₁₀(Cp)。工事原価300万円以下は固定値20.11%、30億円超は固定値9.34%。KrとJoの式は工種別を維持。

変更点1:表3「専門工事業者等の諸経費の率」が2本立てに統一

「その他」廃止の背景

旧来の積算基準では、複合単価の構成要素として「その他」という費用区分がありました。この「その他」の中には、製造業者・専門工事業者の諸経費(下請経費)・小器材損耗費・現場労働者に関する法定福利費などが混在しており、さらに工種によって率も率対象(どの費用に掛けるか)もバラバラでした。

令和8年改定では、この曖昧な「その他」概念を廃止し、「専門工事業者等の諸経費」として明確に再定義しました。同時に算定方式を「費用の性質(労務か否か)で判断する2本立て」に統一したのが今回最大の変更です。

新しい表3の内容

新 表3 専門工事業者等の諸経費の率(令和8年改定・建築・電気・機械設備 共通)
率を乗ずる歩掛りの対象 率 歩掛り表中の表記
労務費 42〜52% (労)
材料費、消耗材料費等(労以外) 9〜13% (労以外)
適用上のポイント
標準歩掛り・単位施工単価のベース単価の歩掛り表中では「(労)」「(労以外)」の略称で区分を示す。標準歩掛り・ベース単価と類似の材料等を用いる場合は、表中の「率を乗ずる歩掛りの区分」に準じて率を乗ずる。

また建築・電気設備・機械設備のすべてでこの1表を使う。旧来は工種別に3枚の表を参照していたが、令和8年改定では表3の1枚のみ。

率の採用は中間値を標準とし、地域の特殊性等を考慮のうえ適切に定めるとされている。通常の確認値は労:47%、労以外:11%となる。
材料費等のすべてに一律加算するわけではありません

「材料費、消耗材料費等に9〜13%」が基本ですが、歩掛り表中にない材料費・消耗材料費等については、原則として率の対象外となるものが定められています。主なものは次のとおりです。

・建築新営工事における鉄筋及びコンクリート
・機械設備工事における空気調和機器・衛生器具・衛生設備機器(ボイラー、冷凍機、冷却塔、空気調和機、ポンプ類、送風機、タンク類、厨房器具、湯沸器類等)
・共通仮設費に積上げとなるクレーン

ただし、これらの対象外とされた材料費・消耗材料費等であっても、工事量が少量・僅少の場合や地域の実状等から諸経費を計上することが妥当と判断できる場合は、率を乗ずることができるとされています。

積算の際は、歩掛り表中の「率を乗ずる歩掛りの区分」と、積算基準等資料の対象外規定の両方を必ず確認してください。

廃止された旧工種別率表(建築・電気・機械全掲載)

旧来どのような率表を使っていたのかを確認するために、廃止された表をすべて掲載します。令和8年改定以降は参照不要ですが、旧積算との比較・検証に活用してください。

旧 表3-1-1 建築工事(廃止)

工種 「その他」の率 率対象 備考
仮設20〜30%労、雑
土工20〜30%労、雑
地業20〜30%労、雑
鉄筋20〜30%労、雑
コンクリート20〜30%労、雑
型枠18〜26%材、労、雑
鉄骨20〜30%労、雑
既製コンクリート15〜23%材、労材にセメント・細骨材・鉄筋を含まない
防水15〜23%材、労、雑
石16〜24%労
タイル16〜24%材、労材にセメント・細骨材を含まない
木20〜30%労
屋根及びとい15〜23%材、労、雑
金属16〜24%材、労
左官19〜27%労
建具(建具取付)16〜24%労
建具(ガラス)15〜23%材、労
塗装18〜26%材、労、雑
内外装15〜23%材、労、雑材にセメント・細骨材を含まない
仕上ユニット20〜30%労
排水18〜26%材、労、雑材に普通コンクリート・砂利・セメント・細骨材を含まない
構内舗装18〜26%材、労、雑
植栽(樹木費以外)18〜26%材、労、雑材に芝を含む
植栽(樹木費)上記決定率×0.7材材に地被類を含む
撤去20〜30%労、雑
外壁改修20〜30%労
とりこわし20〜30%労、雑

※ 表中の材は「材料費」、労は「労務費」、雑は「運搬費及び消耗材料費等」を示す。植栽のその他率には枯補償・枯損処置を含む。

旧 表3-1-2 電気設備工事(廃止)

工種 「その他」の率 率対象 備考
配管工事20〜30%労
配線工事20〜30%労
接地工事20〜30%労
塗装工事18〜26%材、労、雑
機器搬入20〜30%労、雑
電灯設備20〜30%労
動力設備19〜27%労
雷保護設備20〜30%労
受変電設備19〜27%労
電力貯蔵設備19〜27%労
架空線路20〜30%労
地中線路20〜30%労
構内交換設備19〜27%労
情報表示・拡声設備19〜27%労
誘導支援設備19〜27%労
テレビ共同受信設備19〜27%労
監視カメラ設備19〜27%労
火災報知設備19〜27%労
撤去20〜30%労
機器搬出20〜30%労、雑
はつり工事20〜30%労

旧 表3-1-3 機械設備工事(廃止)

工種 「その他」の率 率対象 備考
各種配管工事20〜30%労労務費にははつり補修費を含む
配管附属品19〜27%労弁、伸縮継手、蒸気トラップ、水栓、排水金具、計器類等
保温工事18〜26%材、労、雑
塗装工事18〜26%材、労、雑
機器搬入20〜30%労、雑
総合調整20〜30%労
空気調和機器19〜27%労ボイラー、冷凍機、空調機、ポンプ、送風機等
ダクト工事16〜24%材、労、雑
ダクト附属品19〜27%労吹出口、吸込口、ダンパー類等
ダクト附属品(たわみ継手)18〜26%材、労
自動制御設備19〜27%労自動制御機器調整費を含む
衛生器具20〜30%労
衛生機器19〜27%労タンク、ポンプ、厨房器具、湯沸器、消火器具類等
桝19〜27%労ため桝、インバート桝、弁桝類等
撤去20〜30%労
配管分岐・切断20〜30%労複合単価分は対象外
機器搬出20〜30%労、雑
はつり工事20〜30%労
ダクト端部閉塞16〜24%材、労
インバート改修19〜27%労

新旧の計算方法の違いと影響額イメージ

「概念はわかったけど計算がどう変わるの?」という疑問に具体的にお答えします。建築工事の枠組本足場(掛面積1㎡当たり)を例に比較します。

項目 旧方式(令和7年以前) 新方式(令和8年改定)
参照する率表 表3-1-1(建築)仮設工種
率対象:とび工(労務費のみ)
表3(統一)
労→42〜52%、材料等→9〜13%
とび工費への率 20〜30% 42〜52%(大幅増)
材料費への率 対象外(0%) 9〜13%(新たに加算)
率対象の確認 注記「その他の率対象は、とび工とする」を毎回確認 歩掛り表の区分列で確認(施工範囲等の注記は引き続き確認)
計算比較例(仮想数値):枠組本足場 1㎡当たり
共通条件
 とび工 0.049人 × 25,000円/人 = 1,225円
 仮設材料費(材料費等) = 3,200円

旧方式(令和7年以前)
 その他 = とび工費のみ × 25% = 1,225 × 0.25 = 306円
 合計 = 1,225 + 3,200 + 306 = 4,731円

新方式(令和8年改定)
 諸経費(労) = とび工費 × 47% = 1,225 × 0.47 = 576円
 諸経費(労以外)= 材料費等 × 11% = 3,200 × 0.11 = 352円
 諸経費合計 = 576 + 352 = 928円
 合計 = 1,225 + 3,200 + 928 = 5,353円
影響額のポイント

上記の例では諸経費が306円→928円と約3倍になっています。これは労務費への率が大幅に上がる(25%→47%)だけでなく、これまで対象外だった材料費にも率が加わるためです。労務費の割合が高い工種(とび工・左官・配管工主体)ほど諸経費増加の影響が大きくなります。積算額全体への影響を確認してください。

なお、同じ工事でも使っている積算ソフトがこの新方式をどう計算しているかによって、積算額は変わります。確認の方法は積算ソフトは対応済みなのに予定価格と差が出る理由で解説しています。

変更点2:歩掛り表の「その他」→「諸経費」と区分列の新設

具体的な変更内容

変更点1の「率の統一」と連動して、すべての歩掛り表の見た目も変わりました。積算実務で毎日見る歩掛り表が、令和8年改定でどう変わったかを確認しましょう。

変更箇所 改定前(令和7年以前) 改定後(令和8年)
費用欄の名称 「そ の 他」 「諸 経 費」
各材料・労務行 区分表記なし 「率を乗ずる歩掛りの区分」列が追加され、各行に「労」または「労以外」が明記される
諸経費行の区分 (表記なし) 「―」(諸経費行自体には区分なし)
注記 (注)「その他」の率対象は、○○及び○○とする。 という注記が必ず存在した 注記が削除された(表中の区分列で一目瞭然になったため)

建築・電気・機械設備での実例

建築工事:仮囲い(表A1-1-1)の変更

名称 改定前 改定後
仮囲鉄板(材料)区分なし労以外
丸パイプ(材料)区分なし労以外
修理費(材料)区分なし労以外
普通作業員(労務)区分なし労
雑費(消耗材料等)区分なし労以外
費用欄名「そ の 他」「諸 経 費」
注記その他の率対象は、普通作業員及び雑費とする。(削除)

電気設備工事:二種金属製可とう電線管(表E1-1-1)の変更

名称 改定前 改定後
二種金属製可とう電線管(材料)区分なし労以外
附属品(材料)区分なし労以外
雑材料(材料)区分なし労以外
電工(労務)区分なし労
費用欄名「その他」「諸経費」
注記その他の率対象は、電工とする。(削除)

機械設備工事:SGP-PA配管(表M1-1-1)の変更

名称 改定前 改定後
管(材料)区分なし労以外
継手・接合材等・支持金物(材料)区分なし労以外
配管工(労務)区分なし労
はつり補修区分なし(その他の率対象に含まれていた)労(はつり補修は労務費扱い)
費用欄名「そ の 他」「諸 経 費」
注記その他の率対象は、配管工及びはつり補修とする。(削除)
変更点2のポイント整理

・建築・電気・機械設備のすべての歩掛り表で一律に変更された
・諸経費の率対象は、表中の「率を乗ずる歩掛りの区分」で確認する形になった
・ただし施工範囲・含む作業・別途計上などの注記は引き続き残っているため、各表の注記・適用条件の確認は必要
・機械設備の「はつり補修」のように、旧来は注記でしかわからなかった扱いが表中に明示されるようになった

変更点3:一般管理費等率(Gp)が全工種共通1式に統一

単価積算基準の変更と並んで、公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)の一般管理費等率(Gp)の算定式も大きく変わりました。これは複合単価の「諸経費」の話ではなく、工事費全体の積み上げに関わる共通費の話です。積算担当者にとって直接影響が大きい変更ですので、しっかり確認しましょう。

一般管理費等率(Gp)の算定式が全工種共通1式に統一

令和7年以前は建築・電気設備・機械設備で工種ごとに別々のGp算定式が使われていましたが、令和8年改定の共通費基準(別表-15)ですべての工種に共通する1本の式に統一されました。改定前後の式の比較や、工事原価を入力してGpを確認できる計算ツールは一般管理費等率の算定式を解説|令和8年改定で全工種共通に統一にまとめています。

別表-15 一般管理費等率(令和8年改定・建築・電気設備・機械設備・昇降機設備 共通)
Gp = 32.597 − 3.591 × log₁₀(Cp)
 Gp:一般管理費等率(%)  Cp:工事原価(千円)
工事原価(Cp)≦ 300万円(3,000千円)→ 固定値 20.11%
工事原価(Cp)> 30億円(3,000,000千円)→ 固定値 9.34%
注:Gpの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めとする。
Gpはlog₁₀(常用対数)を使用
KrやJoが自然対数(logeまたはLN関数)を使うのに対し、Gpは常用対数(log₁₀/Excel ではLOG10関数)を使います。Excelで計算する際は関数を間違えないよう注意してください。

Excel式(A1に工事原価を千円単位で入力する場合):
=ROUND(IFS(A1<=3000,20.11,A1>3000000,9.34,TRUE,32.597-3.591*LOG10(A1)),2)

基準ではGpの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止めと定められているため、ROUNDで丸めた値を計算に使用してください。セルの表示形式だけを小数2桁にしても、計算に使われる内部値は丸められません。

Gp算定値の参考(工事原価別)

工事原価(Cp) 一般管理費等率(Gp) 備考
300万円以下20.11%(固定)下限固定値
1,000万円(10,000千円)18.23%算定式による
3,000万円(30,000千円)16.52%算定式による
5,000万円(50,000千円)15.72%算定式による
1億円(100,000千円)14.64%算定式による
3億円(300,000千円)12.93%算定式による
30億円超9.34%(固定)上限固定値

※各値はGp = 32.597 − 3.591 × log₁₀(Cp)で算出。Gpの値は小数点以下第3位を四捨五入して2位止め。

Gp計算例:工事原価 193,634千円(約1億9,363万円)の新営建築工事
Cp = 193,634.750千円(共通費基準の算定例より)
log₁₀(193,634.750) = 5.2870

Gp = 32.597 − 3.591 × 5.2870 = 32.597 − 18.985 = 13.61%
一般管理費等 = 193,634千円 × 13.61% = 約26,353千円

※ この計算例は共通費基準の算定例[イ](令和8年版)に記載された実例と一致します。

Kr・Jo(共通仮設費率・現場管理費率)の算定式

共通仮設費率(Kr)と現場管理費率(Jo)は工種別に算定式があります。代表的な新営工事の式を掲載します。

工種 共通仮設費率(Kr) 現場管理費率(Jo)
新営建築工事 Exp(3.346 − 0.282×logeP + 0.625×logeT) Exp(5.899 − 0.447×logeNp + 0.831×logeT)
新営電気設備工事 Exp(3.086 − 0.283×logeP + 0.673×logeT) Exp(5.961 − 0.387×logeNp + 0.629×logeT)
新営機械設備工事 Exp(2.173 − 0.178×logeP + 0.481×logeT) Exp(4.723 − 0.252×logeNp + 0.428×logeT)
昇降機設備工事 Exp(4.577 − 0.323×logeP) Exp(7.438 − 0.448×logeNp)

P:直接工事費(千円)、Np:純工事費(千円)、T:工期(か月)。改修工事はそれぞれ別の別表による(別表-2・4・6・9・11・13)。出典:公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)別表-1〜14。

Kr・Joの注意点
KrとJoの算定式はKr・Jo共に自然対数(loge・LN関数)を使用します。Gpの常用対数(LOG10関数)と混同しないようにしてください。また昇降機設備工事のKr・JoはT(工期)を含まない式になっています。

Kr・Jo・Gpを順番に計算する手順と、直接工事費と工期を入力するだけで工事価格まで自動計算できる無料ツールは公共建築工事の共通費計算ツール【無料】令和8年改定対応で紹介しています。
目次:令和8年共通費基準の別表一覧

別表-1〜7:共通仮設費率(新営建築・改修建築・新営電気・改修電気・新営機械・改修機械・昇降機)
別表-8〜14:現場管理費率(同上の工種順)
別表-15:一般管理費等率(全工種共通・1式)

各別表の読み方・算定例に加え、監理事務所を設けない場合の補正や前払金補正まで通しで確認したい場合は【完全版】公共建築工事共通費積算基準を徹底解説をご覧ください。
主要変更点 中間まとめ
  • 変更点1【表3】:旧工種別3表(建築・電気・機械)が廃止。新統一表では「労務費:42〜52%」「材料費等:9〜13%」の2本立てに。諸経費額は増加傾向、特に労務費比率が高い工種は要注意。
  • 変更点2【歩掛り表記】:全歩掛り表の「その他」欄が「諸経費」欄に変更。各行に「労/労以外」区分が明示され、注記「その他の率対象は○○とする」が削除された。
  • 変更点3【Gp統一】:一般管理費等率の算定式が全工種共通「Gp = 32.597 − 3.591 × log₁₀(Cp)」に統一(別表-15)。工事原価300万円以下は20.11%固定、30億円超は9.34%固定。Kr・Joは工種別の別表を引き続き参照。

その他の変更点(総則・建築・電気・機械設備)

総則の変更

複合単価の構成要素名の変更(第1編 第2条第2項)

複合単価の構成要素の表現が変わりました。「材料、労務、機械器具、その他等の各要素」→「材料、労務、機械器具、専門工事業者等の諸経費等の各要素」。計算構造は同じですが定義が明確になりました。

(5)上記以外の単価及び価格の変更

改定前改定後
上記以外の単価・価格の算定 物価資料等(下請経費を含む)を参考に定める 専門工事業者等の諸経費を考慮のうえ、物価資料等を参考として定める

歩掛り(第3条)の冒頭記載変更

改定後は「複合単価、単位施工単価の算定に用いる歩掛りの構成については次による」と明記され、単位施工単価にも同様に適用されることが明示されました。

表2(専門工事業者等の諸経費の内容)の変更

費目改定前の表2改定後の表2
表の名称 製造業者・専門工事業者の諸経費(下請経費) 専門工事業者等の諸経費
現場管理費の内訳 労務管理費、租税公課、保険料、従業員給料手当、退職金、法定福利費、福利厚生費、事務用品費、通信交通費、その他の現場管理に要する費用 (左記に加え)「小器材の損耗費」が明示追加された。また「労務管理費(安全・衛生に要する費用を含む)」と括弧書きが追加。

見積書の構成に関する規定(第1編 総則 4(8))

令和8年版でも確認しておきたい規定(単価基準 第1編 総則 4(8))

「製造業者又は専門工事業者から見積価格を得るために使用する見積書の構成及び見積りの内容は、『公共建築工事見積標準書式』によることとし、現場労働者に関する法定福利費を記載する。」

下請け業者へ見積書を依頼する際は、見積標準書式によること、法定福利費を記載することが求められます。なお、この規定は令和8年改定で新設されたものではありません。令和7年12月改定版にも同趣旨の規定が置かれており、令和8年版でも引き続き適用される規定として押さえておいてください。

第2編 建築工事の変更点

建築工事(第2編)の変更は、上述した変更点1・2の適用が中心です。第1節仮設から第2章改修工事まで、すべての標準歩掛り表(表A1-1-1〜)で「その他→諸経費」「区分列の追加」「注記の削除」が行われています。

植栽工事については、旧来注記にあった「その他の率には枯補償・枯損処置を含む」という記載が、改定後は適用条件の本文(「ロ.専門工事業者等の諸経費の率には、枯補償、枯損処置を含むものとする。」)に格上げされました。

第3編 電気設備工事の変更点

電気設備工事(第3編)も同様に、第1章新営工事(配管・配線・接地・機器搬入・電灯・動力・受変電・通信情報設備等)・第2章改修工事(撤去・機器搬出・はつり工事)のすべての歩掛り表で変更が行われています。

電気設備担当者向けポイント
これまで「電工費×20〜30%」で計算していた「その他」が、令和8年では「電工費×42〜52%」になります。さらに電線管・ケーブル等の材料費にも「9〜13%」が加わります。積算ソフトのマスタ設定を確認してください。

第4編 機械設備工事の変更点

機械設備工事(第4編)も同様です。配管工事・保温・ダクト・衛生機器・自動制御等すべての歩掛り表で変更が行われています。なお機械設備では「はつり補修」が「労」区分として明示された点が特に重要です。旧来は注記でしかわからなかったはつり補修の扱いが、表中で確認できるようになりました。

なお改修工事では、建築・電気・機械のいずれも、諸経費の計算とは別に執務並行改修による労務の所要量割増し・改修補正率の判定が必要です。工種ごとの「する・しない」は執務並行改修の割増し|する・しない工種を一覧表で解説に一覧表で整理しています。

福島県への適用時期

福島県の適用開始日

令和8年3月11日 国土交通省が令和8年改定を公示
令和8年10月1日以降、起工のものから適用 福島県(建築関係工事積算基準)

福島県は建築関係工事積算基準を改定し、令和8年10月1日以降に起工するものから適用すると公表しています。令和8年9月30日までに起工するものは旧基準(令和8年4月1日改定版)が適用されます。

区切りとなるのは「起工日」です。積算を行った日や単価の適用日で区切るものではありませんので、該当案件の起工日を確認してください。
市町村発注工事は別途確認を
上記は福島県(県発注)の建築関係工事積算基準に関する適用です。各市町村が発注する工事については、それぞれの発注機関が定める適用基準を確認してください。工事ごとに設計条件(積算基準の適用年度)を確認する習慣をつけましょう。

実務対応チェックリスト

  • 諸経費率を「工種別表」から「表3(統一表)」に切り替えたか
    旧来の表3-1-1〜3-1-3は令和8年適用案件では使用不可。労:42〜52%、材料等:9〜13%の新表を参照する。
  • 歩掛り表の「率を乗ずる歩掛りの区分(労/労以外)」列を確認しているか
    新基準では各行に区分が明示。率対象は区分列で確認できるが、施工範囲や加算条件などの注記は引き続き確認する。
  • 材料費への諸経費(9〜13%)の計上を忘れていないか
    旧来「労務費のみ」が率対象だった工種でも、材料費(労以外)に諸経費が加わる。計上漏れに注意する。あわせて、鉄筋・コンクリート、空気調和機器等の対象外規定も確認する。
  • 積算ソフトの令和8年対応アップデートを確認したか
    歩掛りデータ・諸経費率がすべて令和8年改定に対応しているかベンダーに確認する。
  • 発注機関の令和8年改定適用開始日を確認したか
    福島県では10月15日頃が目安だが、各工事の設計条件を必ず確認する。

最終まとめ

  • 旧来の「その他(下請経費)」が廃止され「専門工事業者等の諸経費」に全面移行した
  • 一般管理費等率(Gp)が全工種共通1式「32.597 − 3.591 × log₁₀(Cp)」に統一された(工事原価300万円以下は20.11%固定、30億円超は9.34%固定)
  • 共通仮設費率(Kr)・現場管理費率(Jo)は工種別の別表による(令和8年改定で別表番号を確認すること)
  • 表3が工種別3表から統一1表(労:42〜52%、材料等:9〜13%)に大幅簡素化された
  • 全歩掛り表(建築・電気・機械設備)で「その他」→「諸経費」に変更。「労/労以外」区分が全行に明示された
  • 「その他の率対象は○○とする」という率対象の注記は削除され、表中の区分列で確認する形になった(施工範囲等の注記は引き続き存在)
  • 表2の現場管理費内訳に「小器材の損耗費」が明示追加された
  • 見積書の法定福利費記載が第4条に明文化された
  • 福島県は建築関係工事積算基準を改定し、令和8年10月1日以降に起工するものから適用(市町村発注工事は各発注機関に要確認)

令和8年改定は「名前が変わっただけ」ではなく、積算の計算構造が根本から変わる大改定です。特に諸経費率の大幅な変化は、積算額に直結する重要な変更です。この記事でポイントをしっかり押さえて、令和8年度の積算業務を万全の態勢で進めましょう。

そして、改定への対応はもちろん重要ですが、それ以上に大切なのは、発注者の積算に近い考え方で積算できることです。

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