【全国版】補市・市加の単価が700円違う…どっちが正しい?答えは金入設計書にあります【全国版】
補正市場単価(補市)や補正市場単価加工(市加)の積算で、こんな経験はないでしょうか?
「積算ソフトAとBで、同じ項目なのに単価が700円も違う…どっちが正しいの?」
補市・市加は計算ロジックが複雑なため、ソフトの解釈の違いで大きくズレることがあります。今回は、そのズレを解消する「金入設計書を使った正解の導き方」を、具体的な実例とともに解説します!
補市・市加はなぜ積算ソフトでズレやすいのか
積算で扱う市場単価には、大きく分けて3種類あります。
| 種別 | 概要 | ズレやすさ |
|---|---|---|
| 市場単価 | 物価本(建設物価・積算資料)に掲載されている単価をそのまま使用 | 低い(物価本で確認できる) |
| 補正市場単価(補市) | 市場単価に補正係数を掛けて算出。地域・条件・工種によって補正内容が異なる | 高い |
| 補正市場単価加工(市加) | 補市をさらに加工・計算する単価。補正の重ね掛けが複雑 | 非常に高い |
通常の市場単価であれば、物価本を手元に開いて「このページのこの数字だ」と確認できます。しかし補市・市加は物価本の単価に補正係数を掛ける計算が必要で、その補正ロジックは積算ソフトのマスタや解釈によって微妙に異なります。
よくある実例:2ソフトで700円の差
たとえば、こんな状況です。
工種:型枠 名称:打放合板型枠B種 壁式構造 基礎部(補市)
| 積算ソフト | 算出単価 |
|---|---|
| 積算ソフトA | 4,690円 |
| 積算ソフトB | 3,990円 |
| 差額 | ▲700円 |
数量が100㎡あれば差額70,000円。200㎡なら140,000円の開きになります。
さて、どちらが正しいのでしょうか?ソフトのサポートに問い合わせると「弊社の計算は正しいです」と両社とも言います(笑)。
結論:正解は「過去の金入設計書」に書いてある
過去の金入設計書から、該当する名称・単価を探して「正解の単価レンジ」を把握する。これが最も確実な方法です。
金入設計書(設計金額入り設計書)は、発注機関が実際に査定・確定した設計単価が記載されている公式文書です。設計者が積算し、発注担当者が確認した「答え合わせ済みの積算書」ですから、そこに記載されている単価は正解と言えます。
単価は毎月変わるが「大幅には変わらない」
「でも過去の金入設計書の単価は、今の単価と違うんじゃないの?」という疑問はもっともです。
確かに市場単価は毎月改定されます。しかし1〜2年程度の変動幅は、数十円程度です。
過去の金入設計書:4,590円
半年後の改定:4,620円(+30円)
1年後の改定:4,650円(+60円)
→「3,990円」や「5,500円」になることはない
つまり、過去の金入設計書で「この項目は4,590円だった」とわかれば、現在の正しい単価はおおむね4,500〜4,700円の範囲にあると予測できます。「3,990円は低すぎる、4,690円のほうが正しい」という判断ができるわけです。
実例で確認:型枠の単価ズレを金入設計書で解決する
金入設計書でこう確認する
過去のいわき市の公開金入設計書を調べると、以下のような記載が見つかりました。
名称:打放合板型枠B種 壁式構造 基礎部
単価:4,590円 × 数量 106㎡ = 486,540円
備考:B0-434411 250715A-8 補市
この備考欄を読み解きます。
| 記載内容 | 意味 |
|---|---|
| B0-434411 | RIBCコード(積算項目の識別コード) |
| 250715 | 単価適用日:2025年7月15日 |
| 8 | 週休2日補正あり |
| 補市 | 補正市場単価 |
| 先頭の「−」 | 全館無人(執務並行なし)の条件 |
この情報から何がわかるか
- 単価適用日:2025年7月15日
- 作業条件:全館無人
- 週休2日補正:あり(コード末尾が8)
- そのときの単価:4,590円
いま積算したい工事が「同じく全館無人・週休2日」の条件で、単価適用日が2025年10月以降だとします。労務費・単価は若干上昇していると仮定しても、4,590円から大幅にズレることはないはずです。
積算ソフトA:4,690円 → 正解の可能性が高い
積算ソフトB:3,990円 → 明らかに低すぎる。誤の可能性が高い
→ 積算ソフトAの4,690円を採用する
このように、金入設計書という「公式の答え合わせ済み積算書」を参照することで、どちらのソフトが正しいかを合理的に判断できます。
この方法が使えるシーン:補市・市加以外にも応用できる
このアプローチは、補市・市加に限った話ではありません。以下の項目でも同じように使えます。
数量が多くてズレると損失が大きい項目
数量が大きく、単価のズレが積算総額に直結します。足場の市場単価も金入設計書で確認すれば、「1㎡あたり数百円のズレ」を事前に検出できます。
養生関係も補市・市加が絡むことが多く、ソフトによって計算方法が異なる場合があります。過去の金入で相場観をつかんでおきましょう。
物価本で確認できる通常の市場単価でも、「自社の積算が合っているか不安」なときに金入設計書で答え合わせができます。
積算ソフトが1本しかなくても使える
「うちは積算ソフト1本しかないから関係ない」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。積算ソフトが1本でも、単価の「絶対値が合っているか」の確認に金入設計書は使えます。
特に、普段あまり扱わない工種(不慣れな補市項目、特殊な仕上げ材など)を積算するとき、過去の金入設計書で「この程度の単価感」を把握しておくことで、大きなミスを防げます。
いわき市の金入設計書はここで公開されています
福島県いわき市では、発注した工事の設計書(金額入り)をホームページで公開しています。
設計書閲覧ページ:
https://www.city.iwaki.lg.jp/www/genre/1710311665789/index.html
工種別・年度別に設計書が公開されており、補市・市加の実際の単価を確認できます。
いわき市の金入設計書が特に参考になる理由
いわき市の金入設計書が全国的に見ても参考になる理由は3つあります。
備考欄にRIBCコードが記載されている
RIBCコードとは、積算システムで使われる項目識別コードです。このコードが書いてあることで、「どの積算項目の単価か」を正確に紐づけることができます。福島県はこの記載が全国でも特殊で、積算照合の精度が上がります。
作業条件(執務並行/全館無人)が「+/−」で一目でわかる
補市の単価は「執務並行」か「全館無人」かで変わります。いわき市の設計書には備考欄の冒頭に「+」か「−」が記載されており、どの条件で算出された単価なのかが即座に判断できます。
単価適用日がわかる
備考欄の数字(例:250715 = 2025年7月15日)から、その単価がいつ時点のものかがわかります。これにより「今の単価とどれぐらいの時間差があるか」を把握した上で、単価のズレ幅を予測できます。
実践的な活用ステップ
まとめると、補市・市加のズレを解消する手順はこうなります。
ズレが発生している項目のRIBCコード・名称を確認する
積算ソフトの出力から、問題になっている補市・市加の正式名称とRIBCコードを確認します。
いわき市の公開金入設計書から同じ項目を探す
公開されている設計書PDFを検索し、同一名称・同一RIBCコードの項目を見つけます。備考欄のコードで条件(作業環境・週休2日の有無)も確認します。
条件を合わせて単価を比較する
積算したい工事の条件(全館無人/執務並行、週休2日の有無)と金入設計書の条件を合わせた上で単価を比較します。同条件なら、大幅な乖離がある方のソフトが誤っていると判断できます。
正しい単価を採用して積算を完了する
根拠が整理できたら、正しいと判断した単価を採用して積算を進めます。「なぜこの単価を採用したか」の根拠として金入設計書の情報をメモしておくと、後で説明が求められたときに安心です。
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詳しくはこちら データベースイメージはこちらまとめ
- 補市・市加はソフトの計算ロジックの違いにより、数百〜数千円のズレが生じやすい
- どちらのソフトが正しいかは、過去の金入設計書を参照することで判断できる
- 単価は毎月変動するが、大幅には変わらないため、過去の単価は有効な参考値になる
- いわき市の公開金入設計書はRIBCコード・作業条件・単価適用日まで読み取れる優れた参考資料
- 補市・市加だけでなく、足場・養生など数量の大きな項目にも同じアプローチが使える
補市・市加のズレで悩んだら、まず金入設計書で答え合わせをしましょう!積算の精度が上がれば、自信をもって単価を採用できるようになります。皆様の積算業務が少しでもラクになれば幸いです!

