低入札価格調査の失格基準とは?

結論
福島県の低入札価格調査では、落札候補者の見積り内訳総括表を「失格基準」と照らし合わせ、コスト項目のいずれか一つでも基準を下回れば、その時点で自動的に失格となります。基準は直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費の4項目それぞれに設定されており、特に一般管理費は設計額の50%未満、現場管理費は入札額の規模によって90%・85%・80%未満と区分されています。失格となった場合は事情聴取を経ずに次順位の候補者へ進むため、価格調査の結果を待つ前に、この基準を上回る内訳を組めるかどうかが実質的な合否ラインになります。

失格基準とは何を判定する仕組みか

低入札価格調査制度そのものの仕組みは既存記事で解説済みのため、ここでは「失格基準」に絞って掘り下げます。福島県の低入札価格調査事務処理要領(令和5年3月31日最終改正)第5条では、落札候補者の入札金額が調査基準価格を下回った場合、入札執行権者が当該候補者から提出された見積り内訳総括表について、別記3に定める失格基準に該当するかどうかを確認すると定められています。この確認は、事情聴取や特別重点調査に進む前段階で行われる、機械的なスクリーニングです。

コスト項目別の下限比率(別記3)

別記3「低入札価格調査失格基準」では、設計額(発注者側の積算額)における各項目の相当額に対し、以下の比率を下回った場合に失格と定めています。

項目 入札額(税込)の区分 失格となる基準
直接工事費 5,000万円以下 設計額の直接工事費相当額×0.95未満
5,000万円超 設計額の直接工事費相当額×0.9未満
共通仮設費 区分なし 設計額の共通仮設費相当額×0.9未満
現場管理費 5,000万円以下 設計額の現場管理費相当額×0.90未満
5,000万円超〜5億円以下 設計額の現場管理費相当額×0.85未満
5億円超 設計額の現場管理費相当額×0.8未満
一般管理費 区分なし 設計額の一般管理費相当額×0.5未満

いずれの項目も「千円未満切り捨て」で算定額を比較します。既存記事で扱った調査基準価格の算入率(直接工事費0.97、共通仮設費0.90、現場管理費0.90、一般管理費等0.68)とは別の基準であり、調査基準価格を計算する率と、失格を判定する率は数値が異なる点に注意が必要です。

ポイント
一般管理費の失格ラインは設計額の50%未満と、4項目の中で最も低く設定されています。逆に言えば、一般管理費相当額を極端に削って総額を調整するような内訳では失格を免れやすいということではなく、直接工事費・共通仮設費・現場管理費のいずれか一つでも基準を下回れば、その時点で失格が確定します。全項目を基準以上に収める内訳の整合性が問われます。

失格基準に該当した場合の取扱い

要領第5条では、入札執行権者が失格基準への該当を確認した結果、該当する場合はその落札候補者を失格とし、順次、次順位の候補者について同様の確認(調査基準価格を下回っているかどうかの確認、及び失格基準の該当確認)を行うと定められています。つまり、失格基準に一つでも該当すれば、事情聴取や積算内容の精査を待たずに、その時点で機械的に失格が確定し、契約の相手方にはなりません。特別重点調査に相当する扱いは、福島県の要領では別建てで規定されておらず、失格基準への該当確認と、その後の事情聴取(失格基準に該当しなかった場合の調査)で運用されています。

注意
失格基準は発注者側の「設計額」における各項目の相当額を基準とするため、入札参加者が自社の見積りだけから正確な下限額を逆算することはできません。金抜設計書や積算基準に基づいて設計額の内訳(直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)をどこまで推定できるかが、この基準を意識した価格設定の前提になります。
一次資料で確認できなかった点
国土交通省の中央公契連モデル等、他の発注者における失格基準の一般的な考え方との比較については、本記事作成時点の調査で該当する一次資料を確認できなかったため、記載していません。他都道府県・国の基準との異同を知りたい場合は、各発注者の要領を個別に確認してください。

まとめ

福島県の低入札価格調査における失格基準は、直接工事費(入札額5,000万円以下で0.95未満、超で0.9未満)、共通仮設費(0.9未満)、現場管理費(5,000万円以下で0.90未満、5,000万円超5億円以下で0.85未満、5億円超で0.8未満)、一般管理費(0.5未満)という4項目の下限比率で構成されています。いずれか一項目でも下回れば、事情聴取を経ずに自動的に失格となり、契約締結には至りません。見積り内訳を組む際は、設計額の推定精度とあわせて、この4項目それぞれが基準を上回っているかを個別に確認する視点が欠かせません。

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