単位施工単価のベース単価は歩掛から算定されるのか?令和8年改定との関係を整理

単位施工単価のベース単価は歩掛から算定されるのか?令和8年歩掛改定との関係を整理

単位施工単価の「ベース単価」について、歩掛表を見ながら「これは複合単価と同じ計算をしているのか、それとも別の仕組みなのか」と迷う方が少なくありません。令和8年改定で歩掛の内部構造そのものが変わったこともあり、余計に整理がつきにくくなっています。今回は、ベース単価と歩掛の関係を、令和8年改定の内容と合わせて整理します。

結論

  • 単位施工単価の「ベース単価」は、複合単価と同じ積み上げ方式(歩掛)で算定されている。歩掛と無関係な別の単価ではない
  • 令和8年改定で歩掛内部の「その他率」が廃止され「専門工事業者等の諸経費率」(労:42〜52%、労以外:9〜13%)に置き換わったため、ベース単価の算定結果も同じ影響を直接受ける
  • 一方の「シフト単価」は、ベース単価に取引調査結果の比率を掛けて求める単価のため、歩掛の計算式そのものは使わない。歩掛改定の影響は、ベース単価が変わることを通じて間接的に反映されるにとどまる

おさらい:単位施工単価は「ベース単価」と「シフト単価」の2層構造

単位施工単価は、細目工種を代表する規格・仕様の単価である「ベース単価」と、それ以外の規格・仕様の単価である「シフト単価」の組み合わせで構成されています。

種別内容算定方法
ベース単価細目工種を代表する規格・仕様の単価材料単価・労務単価を積み上げて算定(複合単価方式)
シフト単価ベース単価以外の規格・仕様の単価ベース単価に取引調査結果の比率を乗じて算定

この2層構造のうち、歩掛と直接関係があるのは「ベース単価」側です。シフト単価は比率計算のみで求めるため、歩掛表そのものは参照しません。

ベース単価の算定方法は「複合単価方式」=歩掛の積み上げ計算

公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)第1編総則では、単位施工単価は「複合単価の算定方法と、元請業者と下請の専門工事業者間の取引調査結果を組み合わせることにより求められる価格」と定義されています。

ここでいう「複合単価の算定方法」とは、材料費・労務費・機械経費などを歩掛(1単位の施工に必要な材料数量・労務数量等)に基づいて積み上げていく、従来からの積算方式そのものです。つまりベース単価は、歩掛表を使って計算した金額をそのまま採用しているということになります。

「ベース単価は歩掛とは別の新しい単価体系」と誤解している方もいますが、実際には歩掛の計算結果=ベース単価という関係です。単位施工単価という名前がついたことで歩掛と切り離された独立の単価だと感じやすいだけで、算定の中身は複合単価と同じ土俵にあります。

歩掛の内部で何が変わったか(令和8年改定)

令和8年改定では、歩掛の内部構造そのものが見直されました。ポイントは2点です。

項目旧基準新基準(令和8年改定)
歩掛内の経費名称「その他」の率(工種ごとに個別設定)専門工事業者等の諸経費の率
経費計算の区分工種ごとに異なる複雑な対象労務費(労)/労務費以外(労以外)の2区分
適用される率工種ごとに個別(例:26%等)労:42〜52%/労以外:9〜13%(全工種共通)

この見直しは、複合単価だけでなく、複合単価方式を採用しているベース単価にも同じように適用されます。歩掛表の中身が変われば、そこから積み上げて算定するベース単価の金額も変わるという、単純だが見落としやすい関係です。

ベース単価は歩掛改定の影響を直接受ける

ベース単価は歩掛の積み上げ計算そのものなので、令和8年改定による「その他率の廃止」「専門工事業者等の諸経費率(労42〜52%・労以外9〜13%)への統一」は、ベース単価の金額にそのまま反映されます。

具体的には、鉄筋・型枠(令和7年12月〜)、電気設備の絶縁ケーブルEM-EEF(令和8年3月〜)といった単位施工単価対象工種のベース単価も、旧基準の「その他率」から新基準の「専門工事業者等の諸経費率」に置き換わった歩掛表をもとに再計算されているはずです。旧基準時代のベース単価と新基準のベース単価を単純比較すると、率の置き換えの分だけ差が出ることになります。

シフト単価は歩掛改定の影響を「間接的」にしか受けない

シフト単価は、ベース単価に「シフト単価の細目工種の取引調査結果に基づく単位施工当たりの価格」と「ベース単価の細目工種の取引調査結果に基づく単位施工当たりの価格」の比率を乗じて算定します。この計算式自体には、歩掛の内訳(労/労以外の区分や率)は登場しません。

そのため、歩掛改定がシフト単価に及ぼす影響は、「ベース単価が変わった結果、それに比率を掛けたシフト単価の金額も変わる」という間接的な経路に限られます。歩掛の区分や率をシフト単価の計算式に直接当てはめる必要はありません。

実務でシフト単価の妥当性を検算する際は、歩掛表の「労」「労以外」区分を個別に追いかける必要はなく、まずベース単価が正しく更新されているかを確認するのが近道です。

実務で確認すべきポイント

  • 対象工種のベース単価が、令和8年改定後の歩掛表(労/労以外の2区分、専門工事業者等の諸経費率)を反映して再計算されているか
  • 積算システムのマスタ上で、ベース単価の歩掛内訳(材料費・労務費・専門工事業者等の諸経費)が新基準の区分で表示されているか
  • シフト単価は、更新後のベース単価に対して比率計算がやり直されているか

特に2点目は見落としやすいポイントです。積算システムのバージョンによっては、歩掛表の表示が新基準に切り替わっていても、単位施工単価対象工種のベース単価側だけ旧基準の歩掛が残っているケースもあり得ます。歩掛と単位施工単価は別画面で管理されているシステムも多いため、両方が確実に新基準へ更新されているか、個別に確認することをおすすめします。

福島県の実務者が注意すべきポイント

福島県では、令和8年改定は国交省の適用日(2026年3月11日)から約半年遅れの2026年10月15日から適用される見込みです。

確認事項内容
適用開始日2026年10月15日(目安)。発注機関の通知で最終確認
それまでの取扱いベース単価も含め、原則として令和7年改定版の歩掛・その他率で積算
適用日をまたぐ案件ベース単価が新旧どちらの歩掛で算定されているか、積算システムの更新タイミングとあわせて確認
対象工種鉄筋・型枠・絶縁ケーブル(EM-EEF)の3工種。他の工種は複合単価・市場単価のまま

適用日の前後は、積算システムのマスタ更新が発注機関の適用日にきちんと連動しているか、ベース単価の歩掛内訳を1件サンプルで検算しておくと安心です。

まとめ

  • 単位施工単価の「ベース単価」は、複合単価と同じ歩掛の積み上げ計算で求められる。歩掛と切り離された別体系ではない
  • 令和8年改定による歩掛内部の変更(その他率廃止→専門工事業者等の諸経費率、労/労以外区分)は、ベース単価に直接反映される
  • シフト単価は比率計算のみのため、歩掛改定の影響はベース単価経由の間接的なものにとどまる
  • 積算システムでは、歩掛表とベース単価のマスタが両方とも新基準に更新されているか、個別に確認する必要がある
  • 福島県での適用は2026年10月15日が目安。適用日をまたぐ案件はベース単価の算定根拠を必ず確認する
【編集メモ】本文中の基準名・条項の引用は公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)第1編総則の記載に基づいていますが、条項番号・ページ番号は一次資料(国土交通省公表版)で公開前に照合してください。
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