経営事項審査のW点(社会性等)とは?

経審のW点(社会性等)とは何か

経営事項審査(経審)の総合評定値Pは、X1(完成工事高)・X2(自己資本額等)・Z(技術力)・Y(経営状況)・W(社会性等)の5要素で構成されます。このうちW(正式名称:その他の審査項目)は、建設業の担い手育成、営業継続力、防災協定、法令遵守、経理の状況、研究開発、建設機械の保有、ISO認証など、企業の社会的な取組を評価する項目です。国土交通省は令和8年2月6日公布・同年7月1日施行の告示(国土交通省告示第二百六十二号、平成20年国土交通省告示第85号の改正)でこのW点の評価基準を改正しました。

令和8年7月1日改正の全体像(3つの柱)

国土交通省の公表資料によれば、今回の改正は次の3本柱で構成されています。

(1)担い手の育成・確保:「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無を新たな評価項目として追加(5点)。(2)災害対応力の強化:建設機械の保有状況(W7)の加点対象に、令和6年能登半島地震での応急復旧工事での活用実績を踏まえ「不整地運搬車」「アスファルト・フィニッシャ」を追加。(3)建設業許可要件改正への対応:社会保険加入に関する評価項目の削除。

最大の変更点:社会保険加入評価項目の削除

従来のW点には、雇用保険・健康保険・厚生年金保険それぞれの未加入に対し各40点、合計最大120点を減点する項目(記事91で確認済み)がありました。今回の改正でこの3項目は評価項目から削除されました。国土交通省の公表資料は削除理由を次のように説明しています。「令和元年度の建設業法等の一部改正により、令和2年10月1日以降の建設業許可の要件に社会保険(雇用保険・健康保険・厚生年金保険)の加入が追加された」うえで、「建設業許可の更新期間が5年であることから、令和7年10月1日以降に建設業許可を保有する建設業者は社会保険加入を満たしていることとなる」。したがって「経営事項審査の段階において改めて社会保険加入有無を確認する必要性が乏しいことから、建設業者の申請事務効率化の観点も踏まえ、審査対象項目から削除することとした」としています。

そのほかの評価項目の見直し

「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」の配点も見直され、民間工事を含む全ての建設工事は15点から10点へ、全ての公共工事は10点から5点へ、それぞれ引き下げられました。W点の評価項目自体(担い手育成、営業継続、防災協定、法令遵守、経理状況、研究開発、建設機械保有、ISO認証などの大分類)は改正後も維持されています。

結論

経審W点の社会保険未加入減点項目(最大−120点)は、建設業許可要件化(令和2年10月施行)の定着を理由に令和8年7月1日施行の改正で削除されました。同時に、担い手育成の自主宣言制度(新設5点)や災害対応機械の追加など、社会保険以外の項目も見直されています。W点は入札参加資格の格付けに使われるものであり、発注者が予定価格を算出する積算そのものとは別の制度である点も押さえておく必要があります。

加点のチャンスになる点

新設された「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は、宣言書と誓約書を提出すれば5点が加点される項目です。従来は社会保険加入の確認に注力していた企業も、今後はこうした新設・拡大項目への対応で加点余地を検討する価値があります。

注意点

今回の改正は令和8年7月1日以降に受け付ける申請から適用されます。審査基準日(直前決算日)ではなく申請のタイミングが基準になるため、経審の申請時期によって新旧どちらの基準が適用されるか変わる可能性があります。

一次資料で確認できなかった事項

改正前(令和8年7月1日より前)にすでに受理・結果通知されている経審結果が、改正後にどのように扱われるか(遡及的な再計算の有無等)については、参照した国土交通省の公表資料に明記された記載を確認できませんでした。既存の経審結果への影響が気になる場合は、許可行政庁または経営状況分析機関に個別に確認することをおすすめします。

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