福島県の金入設計書はなぜ研究材料として優秀なのか|発注者積算を研究して積算精度を高める方法

積算実務コラム

福島県の金入設計書はなぜ研究材料として優秀なのか

こんな方におすすめの記事です

  • 福島県の公共営繕工事を受注したい方
  • 積算精度を向上させたい方
  • 自社の積算ソフトの精度を検証したい方
  • 発注者積算を研究したい方

目次

  1. 1.結論:福島県の金入設計書は研究材料として非常に優秀
  2. 2.金入設計書の価値は金額を見ることではない
  3. 3.福島県は金入設計書を入手しやすい
  4. 4.備考欄の「2文字」が重要
  5. 5.自社の積算ソフトの弱点が見えてくる
  6. 6.発注者積算を研究すると精度は上がる
  7. 7.まとめ

1結論:福島県の金入設計書は研究材料として非常に優秀

福島県の公共営繕工事では、金入設計書を活用することで発注者積算を研究しやすい環境があります。金入設計書というと「予定価格が分かる資料」というイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし実際には、それ以上に価値があります。

福島県の金入設計書では、積算根拠を示す情報が確認できる案件も多く、自社の積算結果と発注者積算との差異分析を行いやすい特徴があります。積算担当者にとっては、単なる資料ではなく研究教材と言っても良いでしょう。

2金入設計書の価値は金額を見ることではない

金入設計書の価値は、工事金額を知ることではありません。本当に重要なのは、「なぜその金額になったのか」を分析できることです。例えば積算結果に差額が発生した場合、次のような点を確認できます。

  • 単価が違うのか
  • 積算基準の選択が違うのか
  • 共通費が違うのか
  • 最低制限価格の考え方が違うのか
  • 積算ソフトの仕様差なのか
  • 入力ミスなどのヒューマンエラーなのか

単純に金額だけを比較しても積算精度は向上しません。差額の原因を分析して初めて積算力につながります。

3福島県は金入設計書を入手しやすい

福島県では比較的金入設計書を入手しやすい環境があります。

  • 福島市はホームページで公表
  • いわき市はホームページで公表
  • 郡山市は市役所で取得可能

といった形で、情報開示請求を行わなくても研究材料を入手できる案件があります。もちろん最も価値が高いのは、自社が実際に応札した案件の金入設計書を取得して検証することです。しかし、公開されている金入設計書だけでも十分に研究を進めることができます。

4備考欄の「2文字」が重要

福島県の設計書を研究するときに注目したいのが備考欄です。例えば、標準・市場・参考・資料・補市・市加・協議・協参・参資・独自といった表示があります。この2文字には大きな意味があります。

表示意味
標準公共建築工事標準単価積算基準(標準歩掛り)
市場公共建築工事標準単価積算基準(市場単価)
参考公共建築工事積算研究会参考歩掛り
資料公共建築工事積算基準等資料
補市補正市場単価
市加市場単価加工(市場単価±材料単価・複合単価)
協議営繕積算システム等開発利用協議会歩掛り
協参営繕積算システム等開発利用協議会参考資料
参資上記単価以外の参考資料(福島県公表・見積り単価等の検討資料)
独自独自作成歩掛り(福島県ではB1・E1・M1コードに該当)

つまり、どの積算基準で積算されたのかを推測できるのです。備考欄のコードごとに自社積算との一致・不一致を確認し、その結果を積み上げていくことで、「どの単価の積算に注意すればよいのか」が見えてきます。さらにその延長で、「どのように積算すれば発注者積算に近付けられるのか」という積算の進め方そのものが分かるようになっていきます。同じ100万円という金額でも、標準歩掛りで算出された100万円と、補正市場単価で算出された100万円では意味が全く異なります。ここが金入設計書を研究する最大の価値です。

5自社の積算ソフトの弱点が見えてくる

金入設計書を分析すると、自社の積算ソフトの特徴や弱点も見えてきます。例えば、標準歩掛りはほぼ一致する・市場単価は少し差が出る・補正市場単価は大きくずれる・独自歩掛りになると差額が大きい、といった傾向が見えることがあります。福島県では主に仙台地区の市場単価を採用しているため、検証もしやすい環境です。

何度も検証していくと、「積算ソフトが苦手な部分なのか」「自分の入力ミスなのか」「積算基準の解釈が違ったのか」が整理されていきます。この作業こそが積算研究です。

6発注者積算を研究すると精度は上がる

公共営繕積算は経験だけの世界ではありません。研究した会社ほど強くなります。設計書を分析し、差額を確認する・原因を調べる・再積算する・検証する、という作業を繰り返すことで、自社の積算精度は徐々に向上していきます。

実際には積算基準の改定や市場単価の変動もあるため、常に完全一致するとは限りません。しかし、金入設計書を用いた検証と分析を繰り返すことで、単価なのか、共通費なのか、積算基準なのか、積算ソフトなのかという誤差要因を一つずつ特定できます。こうした研究を積み重ねていけば、理論上は予定価格との差を数万円程度まで縮めていくことも十分可能です。福島県は、その研究を行うための環境が比較的整っている地域と言えるでしょう。

7まとめ

福島県の金入設計書が研究材料として優秀な理由は、単に金額が公開されているからではありません。備考欄に記載された標準・市場・参考・資料・補市・市加・協議・協参・参資・独自といった積算根拠を確認できる案件があるためです。

これらの情報を利用することで、単価がずれているのか・積算基準が違うのか・共通費なのか・積算ソフトの問題なのか・ヒューマンエラーなのかを分析できます。そして、その分析と検証を繰り返すことで、自社の積算精度を高めることができます。

もちろん最も価値が高いのは、自社が実際に応札した案件の金入設計書を取得して研究することです。しかし福島県では、公開されている金入設計書だけでも多くの研究が可能です。公共営繕積算は経験だけでなく研究の世界でもあります。福島県の金入設計書は、発注者積算を研究するための非常に優秀な教材です。研究を積み重ねることで、自社の積算ソフトの特徴や弱点も見えてきます。そして、その積み重ねが積算精度の向上と落札率の向上につながっていくのです。

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