一般管理費等とは?公共建築工事積算の利益と本社経費を解説

「一般管理費等は、建設会社の利益のこと?」「現場管理費と何が違うの?」「工事原価に何%を掛ければよいの?」

公共建築工事の積算で見かける一般管理費等は、名前だけでは中身をつかみにくい費目です。特に、一般管理費等率を会社の利益率と同じように考えてしまうと、内訳書の読み方を誤ることがあります。

一般管理費等の全額が、会社の利益になるわけではありません。

一般管理費等は、本店・支店などの運営に必要な「一般管理費」と、法人税・配当・内部留保などの「付加利益等」を合わせた費用です。本社の人件費や事務所の家賃なども含まれます。

この記事では、国土交通省の公共建築工事共通費積算基準をもとに、一般管理費等の内訳、現場管理費との違い、令和8年基準の計算方法を整理します。金入設計書と金額が合わないときに確認したい補正・加算も紹介します。

対象は公共建築・営繕工事です。土木工事や民間工事の見積りでは、適用基準や費目の使い方が異なる場合があります。

一般管理費等とは?「一般管理費」と「付加利益等」の内訳

一般管理費等の「等」には、付加利益等が含まれています。単に本社の経費だけを指す言葉ではありません。

一般管理費等=一般管理費+付加利益等

一般管理費の主な例

  • 本店・支店の従業員の給与や役員報酬
  • 本支店の法定福利費・福利厚生費
  • 事務所の家賃・光熱費・通信費
  • 建物や事務用備品などの減価償却費
  • 研究開発・広告宣伝などの費用

付加利益等の主な例

  • 法人税や住民税など
  • 株主に対する配当
  • 損金算入分を除く役員賞与
  • 会社に蓄える内部留保
  • 借入れの利息などの営業外費用

本社の経理・総務などは、複数の工事や会社全体の運営を支えています。その費用を含めて工事費を構成するのが、公共建築工事の積算における一般管理費等の考え方です。

根拠:公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)表-3・表-4。上記は主な項目を読みやすく整理したものです。

一般管理費等と会社の利益はどう違う?

例えば、内訳書に一般管理費等が300万円と計上されていても、その300万円がそのまま会社の手元に利益として残るわけではありません。本支店の人件費や家賃などを賄う部分も含まれているためです。

また、基準上の「付加利益等」には税負担や支払利息なども含まれます。積算上の一般管理費等と、決算書で確認する純利益は、同じものではありません。

一般管理費等率が17.15%でも、会社の利益率が17.15%という意味にはなりません。

積算基準による算定額と、実際に発生した原価・本支店経費を踏まえた収益は、分けて確認すると分かりやすくなります。

共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の違い

共通費は、主に次の3つに区分されます。何のための費用かと、率を掛ける対象額は何かを分けて見ると、違いが整理できます。

費目主な役割・費用の例率計算の基本となる金額
共通仮設費現場全体で共通して使う仮設。現場事務所、仮囲い、工事用の電気・水道など直接工事費
現場管理費工事現場の運営・管理。現場従業員の給与、施工図作成など純工事費
一般管理費等本店・支店などの運営経費と付加利益等工事原価

表は基本的な関係です。処分費などの扱い、率に含まれない費用の積み上げ、個別の補正は、適用基準に従って確認します。

同じ「給料」でも、工事現場の従業員に係るものと、本店・支店の従業員に係るものでは、積算上の区分が異なります。

工事原価・工事価格・工事費の関係

名称基本的な構成
純工事費直接工事費+共通仮設費
工事原価純工事費+現場管理費
工事価格工事原価+一般管理費等
工事費工事価格+消費税等相当額

基本構成を示しています。工事の一時中止に伴う増加費用などがある場合は、その取扱いも別途確認します。

一般管理費等を加えた段階が工事価格(税抜)、消費税等相当額を加えた段階が工事費(税込)です。名称を区別しておくと、設計書との比較がしやすくなります。

令和8年の一般管理費等率と計算方法

令和8年改定では、建築工事・電気設備工事・機械設備工事・昇降機設備工事の一般管理費等率が、共通の別表-15に整理されています。

一般管理費等率は、すべての工事で一定ではありません。工事原価に応じて、固定率または算定式を使います。

工事原価一般管理費等率 Gp(基本率)
300万円以下20.11%
300万円超~30億円以下Gp=32.597-3.591×log10(Cp)
30億円超9.34%

① 率を求めるとき

Gp=32.597-3.591×log10(Cp)

Gp:一般管理費等率(%)
Cp:工事原価(千円)

300万円超~30億円以下で使用します。log10は常用対数です。Gpは小数第3位を四捨五入して小数第2位までとします。

② 率から金額を求めるとき

一般管理費等の基本額(円)
=工事原価(円)×Gp÷100

%表示の率を使うため、100で割ります。率により算定した金額は、1円未満を切り捨てます。補正・別途加算・工事価格の端数調整は、この後も確認が必要です。

「Cpを千円にする」のは、率を求める対数式に代入するときです。円単位の金額を求めるときは、円単位の工事原価に率を掛けます。この2段階を混同しないようにしましょう。

根拠:公共建築工事共通費積算基準 別表-15、公共建築工事積算基準等資料 第3編 第1章。

工事原価2,000万円の計算例

ここでは、工事原価が20,000,000円の場合の基本額を確認します。

  1. 工事原価を千円単位に換算
    20,000,000円÷1,000=20,000千円
  2. 算定式で一般管理費等率を計算
    Gp=32.597-3.591×log10(20,000)
    小数第3位を四捨五入すると、17.15%になります。
  3. 円単位の工事原価に率を掛ける
    20,000,000円×17.15÷100=3,430,000円

この条件での一般管理費等の基本額は、
3,430,000円です。

この例には、前払金補正・契約保証費(金銭的保証・役務的保証)・その他の別途加算・工事価格の端数調整を反映していません。

3,430,000円が、すべての案件で最終計上額になるわけではありません。

一般管理費等が金入設計書と合わないときの確認ポイント

算定式が合っているのに金額が違う場合は、率だけを変更する前に、次の順番で確認することをおすすめします。

1.一般管理費等より前の「工事原価」が一致しているか

直接工事費・共通仮設費・現場管理費のいずれかに差があれば、工事原価も変わります。一般管理費等率の確認に入る前に、最初に差が出た費目を探してみましょう。

2.前払金支出割合による補正が必要か

国の積算基準等資料には、前払金支出割合が35%以下の場合に、区分に応じた係数で一般管理費等率を補正する取扱いがあります。ただし、前払金の保証がない工事は補正の対象外とされています。割合だけでなく、適用条件も確認すると良いと思います。

3.契約保証費が加算されているか

契約保証費は、必要に応じて一般管理費等に別途加算します。国の積算基準等資料では、金銭的保証・役務的保証などの条件に応じて取扱いが分かれています。

一般管理費等率から算定した金額だけを比較すると、契約保証費の分だけ差が出る場合があります。設計図書や積算条件の保証方法も確認しましょう。

4.処分費と負担金を、同じ扱いにしていないか

建設発生土処分費や発生材処分費について、国の基準では、共通仮設費・現場管理費の算定で除外する取扱いがあります。一方、工事原価に計上される処分費まで、一般管理費等の対象から一律に差し引くわけではありません。

また、本設のための電力・水道等の各種負担金は、共通費算定における直接工事費から除くものとされています。処分費と負担金をまとめて「共通費の対象外」と考えず、費目ごとのルールを確認することが大切です。

5.金額の端数処理と工事価格の調整を確認したか

国の積算基準等資料では、率による算定金額の1円未満切捨てに加え、算出金額の範囲内で工事価格の桁を整えるために、一般管理費等で調整する取扱いがあります。

そのため、「率を掛けた直後の金額」と「内訳書に最終計上された金額」が異なる場合があります。端数処理と最終調整を分けて確認しましょう。

適用年度・発注者・発注形態の確認も必要です。
自治体の取扱いや設計変更、製造業者・専門工事業者への単独発注などでは、通常の基本率計算だけでは整理できない場合があります。

一般管理費等について、よくある質問

Q.一般管理費等は、すべて会社の利益ですか?

いいえ。本店・支店の人件費や家賃などの一般管理費と、付加利益等を合わせた費用です。計上額の全額が純利益として残るわけではありません。

Q.一般管理費と一般管理費等は同じですか?

公共建築工事の積算基準では区別されています。一般管理費等には、一般管理費に加えて付加利益等が含まれます。

Q.一般管理費等は、何%で計算しますか?

工事原価によって異なります。令和8年の国の基準では、300万円以下は20.11%、30億円超は9.34%です。その間は工事原価を用いた算定式で求め、必要な補正・加算を確認します。

Q.直接工事費に一般管理費等率を掛けてもよいですか?

一般管理費等の基本となるのは工事原価です。通常は、直接工事費に共通仮設費と現場管理費を加えた金額を確認してから、一般管理費等を算定します。

一般管理費等は「内訳」と「計算条件」を分けて確認しましょう

  • 一般管理費等には、本支店の経費と付加利益等が含まれます。
  • 現場管理費との違いは、費用の内容と、率を掛ける対象額です。
  • 基本額は、工事原価(円)×一般管理費等率(%)÷100で求めます。
  • 前払金補正・契約保証費・別途加算・端数調整まで確認して、金入設計書と比較しましょう。

一般管理費等の差が、どこから出ているか分からない方へ

積算ソフトの設定を変えても、金入設計書と合わない。そのようなときは、単価・共通費・補正条件を順番に整理することが役立ちます。

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