工事成績評定とは?評定項目と格付けへの影響も解説
工事成績評定とは何か
工事成績評定とは、発注者(福島県や国など)が、完成した工事の施工体制・施工状況・出来栄えなどを点数化して評価する制度です。積算が発注者の予定価格を積算基準どおりに再現・推定する作業であるのに対し、工事成績評定は施工が終わったあとに発注者が受注者を評価する、まったく別の仕組みです。しかしこの評定結果は、次の入札における格付け(ランク)や総合評価落札方式の加算点に反映されるため、入札戦略を考えるうえで無視できない制度です。
福島県の工事成績評定は「福島県請負工事成績評定要綱」に基づき、請負金額500万円以上の工事について、施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえなど複数の項目で採点されます。評定結果は受注者に通知されたうえで、その後の格付け(客観点+主観点の総合点。主観点の柱の一つが工事成績)や、総合評価落札方式の加算点に反映される仕組みです。
評定の目的と対象工事
福島県請負工事成績評定要綱第1条は、本要綱の目的を「良質な工事を確保し、工事受注者の適正な評価及び指導育成に資する」ことと定めています。対象は農林水産部・土木部が発注する請負工事のうち、1件の請負金額が500万円以上のものです。国土交通省の地方整備局工事成績評定実施要領でも、「請負工事の適正かつ効率的な施工を確保し工事に関する技術水準の向上に資するとともに、請負業者の適正な選定及び指導育成を図る」ことが目的とされており、発注者が違っても制度の狙いは共通しています。
評定項目の概要
福島県の要綱第3条は、評定項目として施工体制、施工状況、出来形及び出来ばえ、工事特性、創意工夫、環境対策、社会性等を挙げています。運用上はこれに加え、法令違反等があった場合の減点評価(法令遵守等)も設けられています。国の要領でも施工体制・施工状況・出来形及び出来ばえ・工事特性・創意工夫・社会性等・法令遵守等(減点のみ)という近い項目構成が採られており、国土交通省の官庁営繕部門が作成した「公共建築工事成績評定要領作成指針」(令和3年8月改定)は、発注者間で評定結果を相互利用しやすくするため、評定項目の標準化を進める方針を示しています。
誰が、いつ評定するのか
福島県の運用では、第1評定者(監督員)と第2評定者(課長級)が工事の竣工時に、第3評定者(工事検査員)が完成検査の実施時に、それぞれ評定を行います。評定結果は所定の様式により受注者に通知されます。
福島県の要綱では、評定点の通知を受けた日から14日以内であれば、受注者は評定内容について説明を請求できると定められています。評定結果に疑問がある場合は、この期間内に確認する必要があります。
評定結果は格付け・入札参加資格にどう影響するか
福島県の有資格業者の格付け(ランク)は、客観点と主観点を合計した総合点によって決定されます。理論上の最高点の比率は客観点70%、主観点30%です。客観点は建設業法第27条の23に基づく経営事項審査(経審)により全国統一基準で算定されますが、主観点は福島県独自の基準で、過去4年間の平均工事成績点(当該点数に65を乗じ20で除した値)のほか、施工状況、下請発注比率、優良工事の有無、ISO認証取得の有無などが加点対象となります。つまり工事成績評定は、経審の点数とは別に、福島県独自の主観点として格付けに直接反映される仕組みです。なお県外業者は客観点のみで格付けされます。
総合評価落札方式における工事成績の使われ方
福島県の総合評価方式では、「企業の技術力」「配置予定技術者の技術力」という評価項目の中に、同種類似工事の工事成績が組み込まれています。一定点数以上(たとえば80点以上)の工事成績を持つことで加算点が付与される仕組みで、配置予定技術者については過去4年以内の実績が対象となります。総合評価落札方式で加算点を積み増したい企業にとって、過去の工事成績は入札前から準備しておくべき実績そのものといえます。
工事成績評定は、施工後に発注者が下す評価であり、経審の点数(客観点)とは別に、福島県独自の主観点として格付けに反映され、総合評価落札方式の加算点にも直結します。1億~3億円規模の入札を目指す企業は、目先の入札だけでなく、日々の施工管理・出来形管理の積み重ねが数年後の格付けや加算点に跳ね返ってくることを意識しておく必要があります。
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