福島県の最低制限価格とは?算定方法と自治体ごとの違いを解説
みらいちゃん
公共営繕部門に配属されたばかりの新人職員。積算経験はほぼゼロで、素朴な疑問をどんどん誠さんにぶつける読者の代表です。
誠さん
公共営繕歴20年以上のベテランおじいちゃん。独特の口調で、後輩に積算のいろはを丁寧に教えてくれます。
まず結論
- 福島県の最低制限価格は「中央公契連モデル式×県独自係数」で算定され、範囲は予定価格の87〜92%
- この県の考え方はあくまでベース。市町村ごとに独自の調整(ランダム係数など)が入る場合がある
- 一番大事なのは「県の算定式を丸暗記すること」ではなく「自社が参加する発注機関の運用を知ること」
- 詳細が非公表の自治体は、過去の入札結果(予定価格・落札価格・落札率)を蓄積して傾向を推測するしかない
みらいちゃん
誠さん、福島県の最低制限価格って、県内どこも同じ計算式なんですか?
誠さん
実はそうではないのじゃ。福島県の考え方をベースにしながらも、市町村ごとに独自の調整が入る場合があるのじゃよ。今日はそこをじっくり整理していこう。
① 最低制限価格とは何か
誠さん
最低制限価格はな、極端に安い金額で受注する「ダンピング受注」を防ぐための制度なのじゃ。安すぎる金額で落札されると、工事の品質が下がったり、下請けや労働者にしわ寄せがいったりする。それを防ぎ、適正な品質と労務費を確保するために設けられておるのじゃよ。
② 福島県の基本的な考え方
みらいちゃん
福島県の基本的な算定式を教えてください!
誠さん
福島県では「中央公契連モデル式」をベースに、県独自係数を掛けて最低制限価格等を算定しておるのじゃ。工事に着工する日が令和4年4月1日以降であれば、この算定式が適用されるのじゃよ。
| 費目 | 乗じる率 |
|---|---|
| 直接工事費 | 0.97 |
| 共通仮設費 | 0.90 |
| 現場管理費 | 0.90 |
| 一般管理費 | 0.68 |
最低制限価格等 = 中央公契連モデル式 × 県独自係数A(100円未満切り捨て)
合計額が工事価格×0.92を上回れば0.92、工事価格×0.87を下回れば0.87を最低制限価格等として計上します。
県独自係数Aの計算式を詳しく見る
A = −0.02 × log(工事価格) + 1.3765(logは自然対数、Aのまるめは行わない)
工事価格が大きくなるほどAは小さくなる、つまり大規模工事ほど最低制限価格の水準がやや下がる方向に働く係数です。実務では積算ソフトが自動計算するため、担当者が手計算する場面は多くありませんが、「規模によって率が変わる」ことは知っておくとよいでしょう。
③ しかし自治体ごとにルールは異なる
みらいちゃん
じゃあ、この式を覚えておけば、県内どこの発注でも通用するんですね!
誠さん
そこが今日一番伝えたいところなのじゃ。これは福島県本庁が発注する工事の話であって、市町村が発注する工事には、それぞれ独自のルールが入ることがあるのじゃよ。
| 発注機関 | 特徴 |
|---|---|
| 福島県本庁 | 中央公契連モデル式×県独自係数(範囲87〜92%) |
| 会津若松市 | 算定基礎額×ランダム係数を導入(令和6年4月改定の新基準あり) |
| いわき市 | 2025年4月1日よりランダム係数を導入 |
| 郡山市 | 原則、県モデル(中央公契連モデル:基本)を利用しつつ独自調整(調整範囲は非公表) |
| 福島市・二本松市 | 最低制限価格・算定係数とも非公表 |
| 磐梯町・北塩原村 | 独自基準や契約特例があり要注意 |
| 須賀川市・伊達市など | 市独自の算定要領を制定・公表 |
上記はあくまで一部です。他にも喜多方地方広域市町村圏組合・石川町・南相馬市・美里町・下郷町・大熊町・西郷村など、市町村ごとに独自の基準を持つケースが多数あります。全自治体分のリンクはこちらのリンク集にまとめています。
注意
この表はあくまで傾向の整理です。制度は改正されることがあるため、実際に入札に参加する際は、必ずその発注機関の最新の入札公告・契約検査課の案内で確認してください。
④ 一番大事なのは「自社が参加する自治体」を知ること
誠さん
最低制限価格を勉強するとき、県の算定式ばかり追いかける人がおるが、それだけでは足りんのじゃ。本当に大事なのは、自社が主に参加する発注機関を知ることじゃよ。
福島県本庁、会津若松市、郡山市、福島市、いわき市…同じ福島県内でも考え方が異なる場合がある。まずは自社が参加する自治体の制度を調べることが実務では一番の近道なのじゃ。
⑤ 非公表自治体はどう考える?
みらいちゃん
算定式を公表していない自治体もあるんですよね?そういうところはどうやって対策すればいいんですか?
誠さん
公式な算定式がわからない以上、正確な予測はできんのじゃ。だからこそ、過去の入札結果を自分で蓄積していくことが実務的な対策になるのじゃよ。
実際に統計を取ってみると、落札率は92%付近に張り付く傾向があってな。そこを基準に上下に振れるが、ほとんどはプラス方向、つまり92%をやや上回る側に動くことが多いのじゃ。
案件ごとに予定価格・落札価格・落札率を記録していく。それが積み重なると、その自治体の最低制限価格帯がおおよそどのあたりにあるか、傾向として見えてくるのじゃ。
| 案件 | 落札率(例) |
|---|---|
| 案件A | 92.1% |
| 案件B | 92.3% |
| 案件C | 92.0% |
| 案件D | 92.4% |
注意
このように92%付近に集中し、ほとんどがプラス側に振れる傾向が続けば、その自治体の実質的な最低制限価格帯を推測できる可能性があります。ただし、これはあくまで過去実績からの推定であり、公式な算定式を示すものではありません。案件ごとに変動する可能性があることを前提に参考程度に活用してください。
業務委託(測量・設計等)の算定式は別建て(詳細を見る)
建設工事とは別に、測量・土木設計・建築設計・地質調査などの業務委託にも最低制限価格等の算定式が定められています。業種区分ごとに①②③の額を組み合わせて算出し、範囲は予定価格の2/3〜85%と、建設工事(87〜92%)とは異なる水準です。
工事の積算と業務委託の積算では算定式そのものが違うので、混同しないよう注意しましょう。
よくある質問
Q. 最低制限価格は公表されていますか?
A. 自治体によります。算定式を公表している自治体もあれば、非公表としている自治体もあります。
Q. 非公表自治体の最低制限価格は予測できますか?
A. 正確な予測はできません。ただし過去の落札結果を蓄積することで、一定の傾向を把握できる場合があります。
まとめ
- 最低制限価格の勉強は、県の算定式を知ることから始まる
- しかし本当に大事なのは、自社が参加する自治体の運用を知ること
- 公表されている自治体は、その発注機関の最新の制度を確認する
- 非公表の自治体は、入札結果を蓄積して傾向を読む
- それが実務的な最低制限価格の研究である
福島県公共営繕積算 SEKISAN-PRO

