【図解あり】純工事費とは?直接工事費・共通仮設費・現場管理費との関係を分かりやすく解説
積算の基礎知識
純工事費とは?
純工事費とは?
直接工事費・共通仮設費・現場管理費との関係を分かりやすく解説
設計書に登場する「純工事費」の意味、正確に説明できますか?
算定基準額のステップ構造を図解しながら、積算の連鎖計算をスッキリ整理します。
積算担当の皆様、お疲れ様です!
設計書を開くと必ず登場する「純工事費(Np)」。なんとなく分かっているつもりでも、いざ説明しようとすると「直接工事費と何が違うの?」「共通仮設費はどこに入るの?」と混乱することがあります。
純工事費(Np)とは? 結論からいうと
純工事費(Np)= 直接工事費(P)+ 共通仮設費
現場で工事を行うために直接・間接にかかる費用の合計です。現場管理費・一般管理費等は含みません。また、現場管理費の算定基礎となる重要な中継点でもあります。
算定基準額の連鎖(ステップ構造)で全体像をつかもう
公共工事の積算は「下の段の金額を基礎にして率をかけ、次の段を積み上げる」という連鎖構造になっています。

図の見方:各段の「下の金額 × 率 = 上乗せ額」という計算が連鎖しています。純工事費(Np)はちょうど真ん中のステップに位置し、共通仮設費の算定結果でもあり、現場管理費の算定基礎でもある重要な中継点です。
純工事費(Np)の計算式と数値例
純工事費(Np)= 直接工事費(P)+ 共通仮設費
共通仮設費 = 直接工事費(P)× 共通仮設費率
※直接工事費(P)= 材料費 + 労務費 + 機械経費 + 直接仮設費
※共通仮設費率は工事規模・工種によって異なります。令和7年改定版の基準値を確認してください。
※共通仮設費率は工事規模・工種によって異なります。令和7年改定版の基準値を確認してください。
数値で確認してみると(新営建築工事・直接工事費2,000万円・工期6か月)
共通費積算基準(令和8年改定)の計算式に P=20,000千円・T=6か月を代入すると次のようになります。
共通仮設費率 Kr = Exp(3.346 − 0.282 × logeP + 0.625 × logeT) = 5.33%
共通仮設費 = 2,000万円 × 5.33% = 約107万円
純工事費(Np) = 2,000万円 + 107万円 = 約2,107万円
※共通仮設費率は固定ではありません。工種・P・Tを変数とする計算式で工事ごとに異なります。
※工事規模が大きくなるほど率は下がり、工期が長くなるほど率は上がる傾向があります。
※この純工事費 約2,107万円が次のステップ「現場管理費の算定基礎」になります。
※工事規模が大きくなるほど率は下がり、工期が長くなるほど率は上がる傾向があります。
※この純工事費 約2,107万円が次のステップ「現場管理費の算定基礎」になります。
純工事費から工事価格(税込)までの連鎖
純工事費を起点に、現場管理費・一般管理費等が加わって最終的な工事価格になります。同じ条件で計算すると次のとおりです。
| 費目 | 率・計算 | 金額 | 累計 |
|---|---|---|---|
| 直接工事費(P) | 積み上げ | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 共通仮設費 | P × 5.33% | +107万円 | — |
| 純工事費(Np) | P + 共通仮設費 | 2,107万円 | 2,107万円 |
| 現場管理費 | Np × 18.88% | +398万円 | — |
| 工事原価(Cp) | Np + 現場管理費 | 2,504万円 | 2,504万円 |
| 一般管理費等 | Cp × 16.80% | +421万円 | — |
| 工事費(税抜) | Cp + 一般管理費等 | 2,925万円 | 2,925万円 |
| 消費税 | 工事費 × 10% | +293万円 | — |
| 工事価格(税込) | 最終金額 | 3,217万円 | 3,217万円 |
直接工事費2,000万円が最終的に3,217万円になるということは、共通費だけで約1,217万円上乗せされる計算です。「歩掛改定で労務費が50万円増えた」場合、最終的な工事価格への影響はその約1.6倍規模になります。積み上げの起点である直接工事費の精度が、いかに重要かが分かります。
よくある混乱ポイント:直接工事費(P)は純工事費の一部です。純工事費は直接工事費に共通仮設費を加えた金額なので、必ず直接工事費より大きくなります。
4つの費目を整理する
直接
工事費
工事費
材料費・労務費・機械経費・直接仮設費の合計。工種ごとに積み上げる費用です。歩掛×労務単価で求める労務費、数量×単価の材料費などが含まれます。令和8年度の歩掛改定はここ(労務費)に直接影響します。
共通
仮設費
仮設費
現場全体にかかる仮設・準備費用。運搬費・安全費・準備費・役務費などが含まれます。直接工事費(P)に率をかけて計上します。工種に直接ひもづく「直接仮設費」とは別物です。
現場
管理費
管理費
現場の運営・管理にかかる費用。現場代理人の給与・保険料・労務管理費などが含まれます。純工事費(Np)に率をかけて計上します。直接工事費ではなく純工事費が基礎額になる点がポイントです。
一般
管理費等
管理費等
会社全体の管理費・利潤。本社経費・役員報酬・利潤などが含まれます。工事原価(Cp)に率をかけて計上します。令和8年度改定では一般管理費等率も見直されています。
費目ごとの「算定基礎額」一覧
どの金額を基礎にして率をかけるか――ここを取り違えると金額が大きくズレます。
| 費目 | 算定基礎額 | 計上方法 |
|---|---|---|
| 直接工事費(P) | — | 工種ごとに積み上げ |
| 共通仮設費 | 直接工事費(P) | P × 共通仮設費率 |
| 純工事費(Np) | 直接工事費+共通仮設費 | P + 共通仮設費 |
| 現場管理費 | 純工事費(Np) | Np × 現場管理費率 |
| 工事原価(Cp) | 純工事費+現場管理費 | Np + 現場管理費 |
| 一般管理費等 | 工事原価(Cp) | Cp × 一般管理費等率 |
実務チェック:積算ソフトでは自動計算されますが、手計算でチェックするときは「どの金額が基礎額になっているか」を確認しておくと安心です。純工事費と直接工事費を取り違えると、現場管理費の金額が変わります。
純工事費が変わると設計書全体が変わる
純工事費(Np)は現場管理費の算定基礎になっています。そのため純工事費が変わると、それより上のすべての費目が連鎖して変動します。
直接工事費(P)が変わる(例:歩掛改定で労務費が増加)
↓
共通仮設費(P × 率)が変わる
↓
純工事費 Np(= P + 共通仮設費)が変わる
↓
現場管理費(Np × 率)が変わる
↓
工事原価 Cp(= Np + 現場管理費)が変わる
↓
一般管理費等(Cp × 率)が変わる → 工事価格(税込)が変わる
↓
共通仮設費(P × 率)が変わる
↓
純工事費 Np(= P + 共通仮設費)が変わる
↓
現場管理費(Np × 率)が変わる
↓
工事原価 Cp(= Np + 現場管理費)が変わる
↓
一般管理費等(Cp × 率)が変わる → 工事価格(税込)が変わる
令和8年度改定との関係:歩掛の見直しは「労務費」=直接工事費(P)への変化です。Pが動くと共通仮設費→純工事費→現場管理費→工事原価→一般管理費等まで全段が連鎖します。「歩掛が変わっただけ」ではなく、設計書の最終金額まで動くのはこのためです。
よくある質問(FAQ)
Q純工事費とは何ですか?
A直接工事費(材料費・労務費・機械経費・直接仮設費の合計)に共通仮設費を加えた金額です。現場で工事を行うために直接・間接にかかる費用の合計を指し、現場管理費や一般管理費等は含みません。
Q純工事費と直接工事費は同じですか?
A同じではありません。直接工事費(P)は純工事費の一部です。純工事費は直接工事費に共通仮設費を加えた金額になるため、必ず直接工事費より大きくなります。
Q現場管理費の算定基礎は何ですか?
A純工事費(Np)です。直接工事費ではなく純工事費に現場管理費率をかけて計上します。ここを取り違えると現場管理費の金額が変わります。
Q純工事費と工事原価の違いは何ですか?
A純工事費(Np)に現場管理費を加えたものが工事原価(Cp)です。純工事費は「現場で工事を行うための費用」、工事原価はそこに「現場の管理・運営費用」を加えた金額です。
Q共通仮設費と直接仮設費の違いは何ですか?
A直接仮設費は特定の工種に直接ひもづく仮設費用(足場・型枠など)で直接工事費の一部です。共通仮設費は現場全体にかかる費用(運搬費・安全費・準備費など)で、直接工事費に率をかけて別途計上します。
まとめ
- 純工事費(Np)= 直接工事費(P)+ 共通仮設費
- 直接工事費は「材料費・労務費・機械経費・直接仮設費」の積み上げ
- 共通仮設費は直接工事費(P)に率をかけて計上(現場全体の仮設費)
- 現場管理費は純工事費(Np)に率をかけて計上(直接工事費ではない)
- 純工事費はステップ構造の中継点。ここが動くと設計書全体が連鎖して変動する
ステップ構造のイメージをつかんでおくと、設計書を見たときに「どの段が変わったから最終金額が動いたのか」が追いやすくなります。積算の連鎖計算、ぜひ自分のものにしてください!

