工事費が高いと言われたら、このデータを見せてみよう【番外編】
ちょっと番外編です。民間工事についてです。
建設会社で営業をしていると、
避けて通れない言葉があります。
「高いですね。」
悪気はありません。
お客様としては自然な反応です。
私が家や店舗を建てる立場だったとしても、
きっと同じことを言うと思います。
ただ、その言葉を聞いたときに少し気になることがあります。
それは、
私たちは、その金額を説明できているだろうか。
ということです。
値引きの話の前にやること
「高いですね」と言われた瞬間に、
値引きの話になることがあります。
もちろん、お客様との関係もありますし、競争もあります。
しかし私は思うのです。
その前に、
なぜその金額なのかを説明しただろうか。
と。
見積書の金額には理由があります。
材料費。
労務費。
運搬費。
施工条件。
さまざまな要素が積み重なって最終的な工事費になります。
ところが、お客様に見えているのは最終金額だけです。
あるデータを見て思ったこと
先日、一般財団法人建築コスト管理システム研究所(RIBC)のホームページを見ていました。
そこには「建築コストの経年変化」という資料が公開されています。
材料単価、労務単価、市場単価、施工単価などの推移を時系列で確認できる資料です。 [ribc.or.jp]
本来は積算やコスト分析のための資料です。
でも見ていて思いました。
これは積算担当者だけの資料ではない。
営業担当者にも必要な資料ではないだろうか。
お客様は工事費を見ている
私たちは職人不足を知っています。
資材価格の変動も知っています。
労務単価が上がっていることも知っています。
しかし、お客様は知らないのです。
知らないのが悪いわけではありません。
建設の専門家ではないのですから当然です。
だから、
「最近、いろいろ高いんですよ」
ではなく、
「実は建設業全体でこういう変化が起きています」
と説明するほうが親切なのだと思います。
説明するためには根拠が必要です。
その根拠の一つがデータです。
労務費は10年前のままではない
RIBCでは公共工事設計労務単価の推移も公開しています。 [ribc.or.jp]
グラフを見ると気付くことがあります。
建設業のコスト上昇は材料だけではないということです。
建物をつくるのは人です。
職人さんです。
その人たちの賃金が変化している以上、
工事費だけが昔のままというわけにはいきません。
私たちは普段業界の中にいるので当たり前に感じています。
でも、お客様から見れば当たり前ではないのです。
だからこそ説明が必要になります。
金額ではなく根拠を売る
私は建設会社が本当に売っているものは何だろうと考えることがあります。
施工技術でしょうか。
品質でしょうか。
もちろんそれもあります。
でも見積提出の場面だけを切り取れば、
実は
「金額の根拠」
なのかもしれません。
なぜその価格なのか。
なぜ昨年より高いのか。
なぜこの工法を選んだのか。
そこを説明できる会社は強いと思います。
データで語れる会社は信頼される
これから先、人手不足は簡単には解決しないでしょう。
資材価格も以前のような状態に戻るとは限りません。
そうなると、
工事費について説明する機会はますます増えるはずです。
そのとき、
感覚で語る会社と、
データで語る会社。
どちらが信頼されるでしょうか。
私は後者だと思います。
RIBCの「建築コストの経年変化」は、積算担当者向けの専門資料に見えます。 [ribc.or.jp]
でも実際には、
営業担当者、
経営者、
そしてお客様との対話にも役立つ資料なのではないでしょうか。
おわりに
「工事費が高いですね」
この言葉はこれからもなくならないと思います。
でも、
そのたびに値引きから始める必要はありません。
まずは説明してみる。
その金額になった理由を伝えてみる。
建設業に必要なのは、見積書を作る力だけではなく、
見積書を説明する力
なのかもしれません。
建築コストの経年変化(RIBC)
材料単価・労務単価・市場単価・単位施工単価・施工単価などの推移を時系列で確認できます。
RIBCサイトで確認する出典:一般財団法人建築コスト管理システム研究所(RIBC)「建築コストの経年変化」
URL: https://www.ribc.or.jp/research/research3_1.html

