共通費の積み上げと率の違いとは?揚重機を例に算定方法を解説【令和8年版】

共通費の「積み上げ」と「率」の使い分け|揚重機を例に解説

積算担当の皆様、お疲れ様です。共通費の算定では「率による算定」と「積み上げによる算定」の2つの方法があります。どちらを使うかは費目によって決まっており、混在させる場合もあります。今回は共通仮設費を例に整理します。

この記事のポイント:共通仮設費率に含まれない費用は別途積み上げにより算定して加算する。建築工事では揚重機械器具が率に含まれない代表例。積み上げ分は純工事費(Np)の計算にも影響する。

率による算定と積み上げの基本的な考え方

共通費基準では、共通費を算定する方法として2つが定められています。一般的には、まず率(共通仮設費率)で算定し、率に含まれない内容については必要に応じ別途積み上げにより算定して加算します。

共通仮設費の計算式:

共通仮設費 = 直接工事費 × Kr + 積み上げ分

建築工事の共通仮設費率に含まれる内容(表-5)

基準の表-5では、建築工事の共通仮設費率に含まれる内容が列挙されています。

項目 状態 主な内容
準備費 含む 敷地整理(新営)、道路占有準備・現状復旧等
仮設建物費 含む 監理事務所(敷地内)、現場事務所(敷地内)、倉庫、下小屋等
工事施設費 含む 場内通信設備等の工事用施設
環境安全費 含む 安全標識、消火設備、安全用品(フルハーネス型含む)、隣接物等の養生・補償復旧、台風等一般的な災害防止費用
動力用水光熱費 含む 工事用電気設備・給排水設備、工事用電気・水道料金等
屋外整理清掃費 含む 屋外・敷地周辺の跡片付け、発生材処分、端材処分
機械器具費のうち測量機器・雑機械器具 含む 測量機器、雑機械器具
機械器具費のうち揚重機械器具 含まない 躯体・仕上工事用揚重機など

揚重機は率に含まれない=別途積み上げが必要

建築工事において、共通的に使用する揚重機械器具に要する費用は共通仮設費率に含まれていません。そのため、必要な場合は別途積み上げにより算定して加算します。

算定例(令和8年・国交省):

躯体・仕上工事用揚重機 一式 = 1,292,000円

この金額を共通仮設費率による算定額に加算する。

注意:積み上げ分は純工事費Npの計算に影響します。Np = 直接工事費 + 共通仮設費率による額 + 積み上げ分、となります。積み上げ分を忘れるとNpが過少になり、現場管理費・一般管理費等も連動して過少計上になります。

率に含まれないその他の費用

基準では、共通仮設費率に含まれないものとして設計図書に基づく以下の費用が明示されています。

・現場環境改善費

・工事場所以外の屋外整理清掃費

・新たな施策等の試行による特別な費用

設計変更における共通仮設費の取り扱い

基準では、設計変更における共通仮設費について次のように定めています。積み上げにより算定した場合は設計変更においても積み上げにより算定し、率により算定した場合は設計変更においても率により算定します。設計変更時に算定方法を変えることはできません。

また、設計変更時の共通仮設費は「変更内容を当初発注工事内に含めた場合の共通仮設費を求め、当初発注工事の共通仮設費を控除した額」とします。

率と積み上げの役割を正確に理解することが、共通費全体を正確に算定するための土台になります。しっかり押さえておきましょう。

出典:公共建築工事共通費積算基準(令和8年改定)表-5・第2共通仮設費の算定(2)(3)(5)・「公共建築工事の工事費積算における共通費の算定方法及び算定例」国土交通省大臣官房官庁営繕部

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