歩掛りと何が違う?市場単価方式の仕組み
積算担当の皆様、お疲れ様です!
設計書や積算基準を読んでいると必ず出てくる「市場単価」という言葉。なんとなく使っているけど、実はよく分かっていない…という方も多いのではないでしょうか。
今回は、公共営繕積算における市場単価の基本的な考え方・歩掛り方式との違い・実務での使い方をまとめて解説します!
参照元:一般財団法人 建築コスト管理システム研究所(コスト研)
※本記事はコスト研ウェブサイトの公開情報をもとに、積算担当者向けにわかりやすく解説したものです。
市場単価とは?
市場単価とは、材料費・労務費・下請経費などをまとめて、実際に市場で取引されている単位工事量あたりの価格のことです。
コスト研(建築コスト管理システム研究所)の解説では、市場単価方式を次のように定義しています。
「材料費、労務費、下請経費等を含む単位工事量当りの市場での取引価格を把握して、その単価を直接、積算価格の算出に利用する方式」
出典:一般財団法人建築コスト管理システム研究所「市場単価:3. 市場単価方式とは」
つまり、現場でどんな工事が実際にいくらで取引されているかを調査・統計分析し、その結果を積算に直接使えるようにしたのが市場単価です。
歩掛り積算方式との違いを整理しよう
市場単価方式が登場する前の主流は「歩掛り積算方式」でした。2つの方式の違いを比較してみましょう。
| 比較項目 | 歩掛り積算方式 | 市場単価方式 |
|---|---|---|
| 単価の構成 | 材料費・労務費・下請経費を個別に積み上げる | 材料費・労務費・下請経費をまとめた取引価格をそのまま使う |
| 価格の根拠 | 国が設定した標準的な「歩掛り」数値 | 実際の元請・下請間の取引価格調査 |
| 施工実態への対応 | 標準値を使うため、実態とズレることがある | 実際の取引価格をベースにするため、実態に近い |
| 積算作業 | 材料・労務を個別に拾い出す必要がある | 工種単位で単価を当てはめるだけで済む |
| 主な適用場面 | 特殊工事・特注品・市場単価未設定工種など | 配線工事・接地工事・塗装工事など設定済み工種 |
ポイント
コスト研の解説でも、従来の歩掛り方式では「新工法・新材料の採用、施工形態の変化等」への対応が難しくなっていたと指摘されています。市場単価方式はそうした状況を打開するために導入された方式です。
市場単価はどうやって決まる?
市場単価方式では、工種ごとの取引価格を把握するために、次の4つの価格形成要因を明示したうえで実際の取引価格を調査します。
品質・仕様
どのグレード・規格の工事かを明示する
標準的な施工条件
どのような条件下での施工かを定める
単価構成要素
材料費・労務費・下請経費など何を含むか
取引条件など
支払い条件・納期・数量などの条件
これらを明確にしたうえで、元請・下請間で実際に取引があった価格を調査し、統計的に分析・設定されたものが市場単価です。
「予決令」第80条が定める「取引の実例価格等を考慮して適正に定める」という予定価格の原則にも沿った方式です。
公共営繕で市場単価が適用されている工種は?
コスト研のウェブサイト「6. 本施行されている市場単価」では、現在公共建築工事の積算に使われている市場単価の工種一覧と各工種の単価構成が公開されています。
電気設備・建築・機械設備のそれぞれで市場単価が設定されており、代表的な工種は以下のとおりです。
注意:全工種に適用されるわけではありません
コスト研の解説でも明記されているとおり、市場単価方式は「市場性など諸要件が満たされていることが前提」のため、すべての工種に適用できるわけではありません。適用されていない工種は引き続き歩掛り方式で積算します。
実務で市場単価を使うときの注意点
① 単価構成(何が含まれているか)を必ず確認する
市場単価には「含まれるもの・含まれないもの」が工種ごとに明示されています。コスト研のページでは各工種の構成内容表(〇印=含む、×印=含まない)が公開されています。例えば電気設備の配線工事なら、「電線材料費」は含まれていても「電線管材料費」は含まれない、といったケースがあります。含まれない項目を別途計上し忘れるとミスになるので要注意です。
② 単価の改定時期を把握する
市場単価は定期的に改定されます(原則年4回)。「建築コスト情報」「建築施工単価」などの物価資料に掲載され、積算ソフトにも随時反映されます。古い単価を使い続けないよう、積算時は最新号の確認が必須です。
③ 地区区分を間違えない
市場単価は地域によって価格が異なります(札幌・仙台・東京など都市別に設定)。福島県の工事では仙台地区の単価が適用されることが多いですが、発注機関の積算基準を必ず確認しましょう。
④ 標準施工条件との差異は補正する
市場単価は「標準的な施工条件」を前提に設定されています。難条件・特殊条件の工事は補正が必要です。補正方法は各工種の積算基準に記載されていますので、条件が標準から外れる場合は必ず確認してください。
まとめ:市場単価は「現場の取引価格」をそのまま積算に活かす仕組み
この記事のポイント
- ・市場単価は材料費・労務費・下請経費をまとめた単位工事量あたりの取引価格
- ・従来の歩掛り方式より施工実態を反映しやすく、積算の効率化にもつながる
- ・電気設備では配線・接地・照明器具取付けなどに適用済み
- ・実務では単価構成・改定時期・地区区分・補正の要否の4点を必ず確認
- ・詳細はコスト研(ribc.or.jp)の公式ページで確認できる
市場単価は「なんとなく使っている」から「仕組みを理解して使う」に変わるだけで、積算ミスをグッと減らすことができます。コスト研の公式ページには各工種の構成内容が詳しく掲載されていますので、担当している工種のページをぜひ一度チェックしてみましょう!
参照・関連リンク(一般財団法人 建築コスト管理システム研究所)

