点在工事(複数敷地の一括発注工事)の共通費計算を解説|共通仮設費・現場管理費・一般管理費等の算定方法
「点在工事」とはどういう工事か
なお、「点在工事」は積算基準上の正式名称ではなく、実務上、敷地が異なる複数の施設を一括発注する工事を指して使われることが多い呼称です。
市内の公民館・学校・庁舎など、複数の施設を同一の工事契約に含めて発注するケースがあります。施設どうしの所在地が異なるため、仮設の拠点も分散し、実態として複数の工事を同時に手がける形となります。
こうした「敷地が複数に点在する一括発注工事」について、共通仮設費と現場管理費をどう算定するかを積算基準で確認します。
積算基準における「複数敷地の一括発注」の規定
根拠となる文書は、国土交通省「公共建築工事積算基準等資料」(令和8年改定)第3編 第1章 第4項「敷地が異なる複数の工事を一括して発注する場合の算定」です。
各費目の算定方法が次のとおり定められています。
| 費目 | 算定方法 |
|---|---|
| 共通仮設費 | それぞれの敷地の工事ごとの直接工事費および工期に対応する共通仮設費率で算定し、合計する。積み上げによる共通仮設費も、敷地ごとに区分して計上する。 |
| 現場管理費 | それぞれの敷地の工事ごとの純工事費および工期に対応する現場管理費率で算定し、合計する。積み上げによる現場管理費も、敷地ごとに区分して計上する。 |
| 一般管理費等 | それぞれの敷地の工事ごとの工事原価の合計額に対する一般管理費等率により算定する。 |
(出典:公共建築工事積算基準等資料 令和8年改定 第3編第1章第4項)
費目ごとの算定方法
共通仮設費・現場管理費は「敷地ごと」に算定する
複数施設をまとめて1つのPで率計算するのではなく、施設Aの直接工事費・工期→施設AのKr、施設Bの直接工事費・工期→施設BのKrと、それぞれ別々に率を求めて合計します。
共通仮設費率は直接工事費(P)と工期(T)の両方で決まる式です。敷地が分散した工事では仮設管理の手間も施設ごとに発生するため、各敷地の規模・工期を独立して評価することが基準の考え方です。
一般管理費等は「合算した工事原価」に対して一括算定する
一方、一般管理費等は本支店の管理コスト(役員報酬・本店従業員給与・減価償却費など)を回収する費用です。これは工事の場所が複数あっても企業全体として一元的に発生するコストであるため、全敷地の工事原価を合算した金額に対してGpを適用します。
まとめると、共通仮設費・現場管理費は「現場」の費用なので敷地ごとに分けて積算し、一般管理費等は「本支店」の費用なので合算してから算定する、という構造です。
なぜ一般管理費等だけ合算して算定するのか
一般管理費等率(Gp)の算定式はLog10(工事原価Cp)を含み、工事原価が大きくなるほど率が低下します。全敷地の工事原価を合算して率を求めると、施設ごとに個別に算定して合計するよりも率が下がります。つまり、施設をまとめて一括発注する側に一般管理費等の節約効果があるという構造になっています。
逆に、共通仮設費・現場管理費を全体合算で一本化して算定してしまうと、複数拠点の実コストが適切に反映されないため、基準は敷地ごとの算定を求めています。
電気・機械設備工事も同じルールか
同基準等資料の第4項は「敷地が異なる複数の工事を一括して発注する場合」として工種を限定していません。共通費積算基準は建築工事・電気設備工事・機械設備工事・昇降機設備工事を対象とするため、電気・機械設備工事でも同様のルールが適用されます。
なお、同一の工事に建築工事と電気設備工事など複数の工種が混在する場合は、別途「主たる工事と主たる工事以外の工事を一括して発注する場合の算定」(同第3項)の定めも重なって適用されることになります。
まとめ
| 確認ポイント | 内容 |
|---|---|
| 根拠文書 | 公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)第3編第1章第4項 |
| 共通仮設費・現場管理費 | 各敷地の工事費・工期で個別に率計算→合計 |
| 一般管理費等 | 全敷地の工事原価の合計額に対して一本で算定 |
| 対象工種 | 建築・電気設備・機械設備・昇降機設備工事 |
複数施設を一括発注する工事では、共通仮設費と現場管理費は各敷地ごとに算定し、一般管理費等のみ全敷地の工事原価を合算して算定します。
つまり、「現場で発生する費用は敷地ごと」「本支店で発生する費用は全体でまとめて」という考え方です。
金入設計書や積算システムの計算結果を確認する際は、この区分を理解していると共通費の計算根拠を正しく読み解けるようになります。
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