なぜ市場単価は単位施工単価へ移行しているのか?労務費見える化の背景を解説

公共営繕積算・単価改定シリーズ

なぜ市場単価は単位施工単価へ移行しているのか?労務費見える化の背景を解説

こんな方におすすめの記事です

・積算基準で「市場単価」が「単位施工単価」に置き換わっているのを見て戸惑った方

・移行の背景にある課題や狙いを理解したい方

・移行の進み具合と今後の見通しを把握しておきたい方

1単位施工単価とは?

結論

単位施工単価は、公共建築工事標準単価積算基準の令和7年12月改定で新たに導入された単価です。これまで材料費と労務費が一体だった市場単価(材工一式)について、労務費の内訳を把握できるようにしたものです。

従来の市場単価は、元請業者と下請の専門工事業者間の取引調査結果に基づく単位施工当たりの単価でしたが、材料費と労務費が分かれておらず、単価の中に労務費がいくら含まれているかは外からは分かりませんでした。

2なぜ市場単価ではダメだったのか

背景には、建設業の賃金をめぐる構造的な課題があります。国土交通省の資料では、建設業就業者数が平成9年の685万人から令和4年には479万人まで減少し、全就労者に占める割合も10%から7%に低下していることが示されています。あわせて、建設業(生産労働者)の賃金は年間432万円で、全産業平均の508万円を約15%下回っているとされています。

こうした状況を踏まえ、国土交通省の審議会資料では、技能者に適正な労務費を確保し行き渡らせるための新たなルールとして「労務費に関する基準」が示されています。工事費の内訳が発注者・元請・下請の間で不透明だと、適正な労務費の水準が確保されているかどうかを確認しづらいという課題があります。

従来 市場単価 材工一式(材料費+労務費) 労務費の内訳が見えない 令和7年12月改定 改定後 材料費 労務費 機械器具費等 単位施工単価 労務費が見える

単位施工単価は、単価の中の労務費部分を切り出して示すことで、同じ規格・仕様であれば労務費の基準値と一致する形にし、予定価格の中に公共工事設計労務単価水準の労務費が確保されているかどうかを発注者が確認しやすくするために導入されたものです。

3移行の狙いは「労務費の見える化」

ポイント

単位施工単価の労務部分は、同じ規格・仕様であれば「労務費の基準値」と同じ値になります。積算基準を用いて予定価格を算出することで、公共工事設計労務単価水準の労務費(賃金の原資)が確保されていることが、発注者にとって明確になります。

つまり単価の中に埋もれていた労務費を切り出して見せることで、予定価格の中に適正な労務費がきちんと積まれているかを発注者側が確認できるようにする、というのが移行の狙いです。

4算定方法自体は変わっていない

注意

単位施工単価を追記するに当たり、公共建築工事標準単価積算基準の総則の記述が変更されていますが、これは表現の適正化によるもので、従前と算定方法の変更はありません。

ベース単価は工事場所の材料単価・労務単価を用いて算定することを基本とし、シフト単価は物価資料の掲載価格等によることを基本とする、という考え方も従来どおりです。なお物価資料には代表都市のベース単価が掲載される予定ですが、それ以外の都市のベース単価については、工事場所の公共工事設計労務単価を使うことで、より実態に即した価格になるとされています。

5移行はどこまで進んでいるのか

単位施工単価が設定された規格・仕様については、公共建築工事標準単価積算基準から市場単価の規定がなくなりました。物価資料側も、単位施工単価を掲載し、該当する市場単価の掲載は取りやめています。

営繕積算システムRIBCについては、コスト研より令和7年12月18日に対応版がリリースされています。市場単価から単位施工単価に移行した工種でスライド条項を適用する場合は、移行した単位施工単価を用いて変動後の価格を算定することとされています。

6今後すべての市場単価は単位施工単価になるのか

現時点の状況

現時点で全ての市場単価が単位施工単価へ移行したわけではありません。国土交通省のQ&A集によれば、他の市場単価の工種についても、業界団体との協議のもとで単位施工単価移行のための歩掛調査が順次行われており、調査・検討が進んだ工種から基準化を進めていくとされています。

したがって、市場単価と単位施工単価が当面併存する期間はあるものの、今後も対象工種が広がっていく見込みです。積算担当者としては、担当する工種がどちらの単価区分にあるか、改定のたびに確認しておく必要があります。

まとめ

  • 単位施工単価は、材工一式だった市場単価から労務費を見える化するために導入された
  • 背景には、建設業の賃金が全産業平均を下回る状況や、適正な労務費確保という国の政策課題がある
  • 同一規格・仕様であれば、単位施工単価の労務部分は労務費の基準値と一致する
  • 名称と表現は変わったが、単価の算定方法自体に変更はない
  • 未移行の工種は業界団体と協議しながら順次、単位施工単価への移行が進められている
出典:国土交通省「公共建築工事積算基準類の改定~労務費等の見える化へ~ よくある質問・回答集」(令和7年12月18日作成、令和8年3月11日更新)、国土交通省審議会資料「労務費に関する基準(案)の概要」ほか
この記事の内容
  1. 単位施工単価とは?
  2. なぜ市場単価ではダメだったのか
  3. 移行の狙いは「労務費の見える化」
  4. 算定方法自体は変わっていない
  5. 移行はどこまで進んでいるのか
  6. 今後すべての市場単価は単位施工単価になるのか

どの積算ソフトを選べばいいか迷っていませんか?

公共建築・公共土木・設備工事など、工事内容に合わせた積算ソフト選びをお手伝いします。
匿名OK・会社名不要です。

よろず相談箱はこちら →