発注者・監督員・検査員の役割の違いとは?

公共工事には「発注者」「監督員」「検査員」がいる

公共工事の契約図書を読んでいると、「発注者」「監督員」「検査員」という三つの立場が登場します。いずれも受注者(施工会社)側ではなく発注者側の関係者ですが、権限や役割は明確に分かれています。積算の初心者にとっては混同しやすい部分ですが、契約図書全体の構造を理解するうえで押さえておきたい基礎知識です。

結論

発注者は工事を発注し請負代金を支払う契約当事者、監督員は発注者に代わって現場の日常的な指示・確認を行う担当者、検査員は工事完成時に発注者(または発注者が定めた職員)として完成検査を行う担当者です。三者は権限の範囲も関わる場面も異なります。

発注者とは

発注者は、工事を発注し請負代金を支払う契約当事者です。福島県工事請負契約約款では、発注者自身が現場に常駐して指示を行うのではなく、後述する監督員を置いて現場管理を委ねる仕組みになっています。同約款第9条第1項は「発注者は、監督員を置いたときは、その氏名を受注者に通知しなければならない」と定めており、監督員を任命する主体が発注者であることが読み取れます。

監督員とは

監督員は、発注者に代わって現場の日常的な管理を行う担当者です。福島県工事請負契約約款第9条第2項では、監督員は設計図書に定めるところにより次の権限を持つとされています。

(1)契約の履行についての受注者又は現場代理人に対する指示、承諾又は協議
(2)設計図書に基づく工事施工のための詳細図等の作成・交付又は受注者が作成した詳細図等の承諾
(3)設計図書に基づく工程の管理、立会い、工事の施工状況の検査又は工事材料の試験若しくは検査(確認を含む)

つまり監督員は、施工中の指示・承諾・立会いといった、日々発生するやり取りの窓口となる存在です。

検査員とは

検査員は、工事完成時の検査を担当します。福島県工事請負契約約款第32条第2項は、「発注者又は発注者が検査を行う者として定めた職員(以下「検査員」という。)は、(受注者からの完成通知を)受けたときは、通知を受けた日から起算して14日以内に受注者の立会いの上、設計図書に定めるところにより、工事の完成を確認するための検査を完了し、当該検査の結果を受注者に通知しなければならない」と定めています。つまり完成検査は発注者自身が行う場合と、発注者が別途定めた検査員が行う場合があり、いずれにしても施工中に指示を行う監督員とは別の場面・別の役割として位置づけられています。

三者の役割の整理

  • 発注者:契約当事者。監督員を任命し、請負代金を支払う。
  • 監督員:施工中の指示・承諾・協議・立会いなど、日常的な現場管理を担当。
  • 検査員:工事完成時に、発注者又は発注者が定めた職員として完成検査を担当。
実務知識に基づく補足

積算業務では数量計算は行わず、金抜設計書をもとに積算基準どおりの予定価格を推定する作業が中心となります。監督員や検査員が誰であるかは金抜設計書の数値そのものには表れませんが、条件明示や特記仕様書がどの立場の判断で作成されているかを把握しておくと、契約図書全体の読み解きがしやすくなります。

まとめ

発注者・監督員・検査員は、いずれも工事の発注者側に立つ関係者ですが、契約全体の当事者である発注者、施工中の日常管理を担う監督員、完成時の検査を担う検査員というように、関わる場面と権限が異なります。積算は発注者側の予定価格を積算基準どおりに再現・推定する作業であり、見積り(自社の施工費計算)とは異なる前提に立つため、まずはこうした契約図書の登場人物とその役割を正しく整理しておくことが理解の土台になります。

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