低入札価格調査制度とは?

低入札価格調査制度とは何か

一般競争入札において、予定価格の範囲内で最低の価格を入札した者がいる場合でも、その価格が「調査基準価格」を下回っているときは、発注者はただちに落札者を決定しません。その価格で契約内容に適合した履行が可能かどうかを発注者が調査したうえで、契約するかどうかを判断する制度です。根拠は地方自治法施行令第167条の10第1項にあります。

ポイントは、価格が低いこと自体が問題視されているのではなく、「その価格で品質を確保した施工が本当にできるのか」を事前に確認する仕組みだという点です。

調査基準価格を下回る入札は、それだけで失格になるわけではありません。発注者の調査を経て「履行可能」と判断されれば、通常どおり落札・契約に進みます。

調査基準価格の考え方

調査基準価格は、直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費等のそれぞれに算入率を掛けて合算する中央公契連モデル方式で算定されます。国土交通省は令和4年4月1日以降に入札公告を行う工事を対象に、一般管理費等の算入率を0.55から0.68へ改定しました。福島県も同じ算入率(直接工事費0.97、共通仮設費0.90、現場管理費0.90、一般管理費等0.68)を採用しており、算定額が予定価格の87%〜92%の範囲に収まるよう定めています(令和6年11月18日改定、福島県「最低制限価格等の算定式について」)。

積算実務では、金抜設計書に示された各費目の金額をこの算入率に当てはめて逆算することで、調査基準価格のおおよその水準を推定することになります。

どの入札が調査の対象になるのか

福島県の「低入札価格調査事務処理要領」(令和5年4月改正)によれば、対象となるのは、地方公共団体の物品等又は特定役務の調達手続の特例を定める政令の適用を受ける一般競争入札に付する工事、および福島県総合評価方式実施要領により実施される工事(施工体制事前提出方式を除く)です。これらの入札で、最低価格を申し込んだ者の価格が調査基準価格に満たない場合に調査が実施されます。

調査の流れ

入札執行の際、調査基準価格を下回る入札があった場合、入札執行権者はその入札者名を読み上げます。該当する入札者は、見積内訳書とあわせて見積内訳総括表(様式第6号)を提出します。発注者は最低価格入札者からの事情聴取や関係機関への照会などにより、入札した理由、共通仮設費・現場管理費・一般管理費といった諸経費の詳細内訳、手持ち工事・資材・機械設備の状況、労務者の配置と単価の妥当性、過去の工事成績などを確認し、結果を低入札価格調査票(様式第1号)にまとめます。

福島県の要領では、資材単価が県の設計単価に比べて著しく安価で、適正な資材調達が可能と判断できない場合は失格とすると定められています。直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費のそれぞれについても個別の失格基準があり、いずれかに該当すると調査の結果として失格になります。

調査の結果、何が起こるのか

調査の結果、その価格で契約内容に適合した履行がなされると認められれば、最低価格入札者がそのまま落札者に決定されます。逆に、失格基準に該当すると判断された場合は入札書が失格となり、発注者は次順位の入札者について同様の確認・調査を行って落札者を決定します。つまり、調査基準価格を下回ること自体は失格の直接の理由ではなく、その後の調査結果が契約できるかどうかを分けます。

初心者が知っておくべきポイント

皆さんが担当する積算業務は、自社の施工費を計算する見積りではなく、発注者が積算基準に従って設定する予定価格や調査基準価格を、公表された金抜設計書から再現・推定する作業です。入札前に金抜設計書から予定価格と調査基準価格のおおよそのレンジを把握しておけば、自社が検討している入札価格がそのレンジのどこに位置し、調査の対象になりうるかを事前に判断しやすくなります。

なお、価格競争入札で調査基準価格を下回ると自動的に失格となる「最低制限価格制度」は、本記事の低入札価格調査制度とは異なる別の制度です。混同しないよう注意してください。

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