電気設備工事の撤去歩掛とは?0.2〜0.6の意味と計算方法を解説
積算担当の皆様、お疲れ様です!
改修工事の積算をしているとき、こんな疑問を持ったことはないでしょうか。
「撤去の歩掛って、どうやって出すの?」
「0.2とか0.4って、いったい何の数字?」
今回は、公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)第3編 電気設備工事 第2章 改修工事をもとに、電気設備の撤去歩掛の基本的な考え方をやさしく解説します。
出典:公共建築工事標準単価積算基準 令和8年改定 表E2-1-1(PDF)そもそも「撤去歩掛」とは?
改修工事では、既存の電気設備を取り外す「撤去」作業が発生します。この撤去にかかる労務を積算するための数値が撤去歩掛です。
基準では、撤去歩掛を次のように求めます。
撤去歩掛 = 新営工事の労務歩掛 × 乗率
乗率は「再使用しない(廃棄)」か「再使用する(取外し)」かによって変わります。
つまり、新たに取り付ける場合の歩掛を基準として、撤去はその何割の手間か、という考え方です。
0.2・0.3・0.4の意味
表E2-1-1には、工種ごとの乗率が次のように定められています。
| 工種(名称) | 単位 | 再使用しない | 再使用する(取外し) |
|---|---|---|---|
| 電線・ケーブル | m | 0.2 | 0.4 |
| 電線管 | m | 0.2 | 0.4 |
| 照明器具 | 個 | 0.3 | 0.4 |
| 配線器具 | 個 | 0.3 | 0.4 |
| 分電盤・端子盤 | 面 | 0.2 | 0.4 |
| 変電機器 | 個 | 0.3 | 0.5 |
| 通信用器具 | 個 | 0.3 | 0.4 |
| 電柱 | 本 | 0.3 | 0.6 |
| 架線 | 1条1径間 | 0.2 | 0.4 |
| 地中線ケーブル | m | 0.3 | 0.6 |
| コンクリートトラフ | m | 0.3 | 0.6 |
ポイントをまとめると
再使用しない場合:新営歩掛の20〜30%の手間で撤去できる
再使用する(丁寧な取外し)場合:新営歩掛の40〜60%の手間がかかる
なぜ「再使用する」と乗率が上がるの?
廃棄する場合は、多少乱暴に外しても構いません。でも再使用する場合は、機器を傷つけないよう丁寧に取り外す必要があります。
たとえば照明器具を廃棄するなら乗率0.3ですが、再利用するなら0.4。変電機器なら廃棄0.3に対して再使用は0.5と、より大きく跳ね上がります。重くて精密な機器ほど、取外しに慎重な作業が求められるためです。
具体的な計算例
照明器具(露出形LED)を10個撤去・廃棄する場合。新営歩掛が仮に0.130人/個だとすると――
0.130 × 0.3 × 10個 = 0.39人
同じ10個を再使用目的で取外す場合は――
0.130 × 0.4 × 10個 = 0.52人
注意事項
電線管でコンクリート埋込のものは除くとされています。埋込管の撤去は特殊なはつり作業を伴うため、この乗率方式では対応できません。
また、現場の状況や分解手間の程度によって乗率を増減できると明記されています。実態に応じた積算が認められています。
まとめ
電気設備の撤去歩掛は「新営歩掛 × 乗率(0.2〜0.6)」という非常にシンプルな仕組みです。まずは「廃棄か再使用か」を発注図書や設計図書で確認することが積算の第一歩になります。
基本を押さえたら、あとは工種ごとの個別表を活用して精度を上げていきましょう!
▶ より詳しく知りたい方へ 工種別の個別歩掛表(表E2-1-2〜21)
乗率方式(表E2-1-1)とは別に、工種ごとにサイズ・種別まで踏み込んだ個別歩掛表が用意されています。こちらは電工の歩掛を直接規定したものです。
電線管の撤去(表E2-1-2)
管種・サイズ別に電工の歩掛(人/m)が直接定められています。代表例は以下の通りです。
| 管種 | サイズ | 電工(人/m) |
|---|---|---|
| 厚鋼電線管 | G16 | 0.012 |
| 厚鋼電線管 | G42 | 0.034 |
| 厚鋼電線管 | G104 | 0.080 |
| 薄鋼電線管 | C19 | 0.010 |
| 薄鋼電線管 | C63 | 0.040 |
| ねじなし電線管 | E19 | 0.008 |
| ねじなし電線管 | E75 | 0.037 |
| 硬質ビニル電線管 | VE16 | 0.009 |
| 合成樹脂可とう管(PF・CD) | 14 | 0.006 |
| 合成樹脂可とう管(PF・CD) | 28 | 0.010 |
撤去品を再使用する場合は電工の歩掛りを2.0倍して用います。コンクリート埋込のものは対象外です。
金属トラフの撤去(表E2-1-3)
サイズ(幅×高さ)別に電工の歩掛(人/m)が定められています。例:200×100mmで0.104人/m、800×400mmで0.176人/m。再使用する場合は2.0倍。
線ぴ類の撤去(表E2-1-4)
2種金属線ぴ(MM2)のA〜F型ごとに規定。A型(40×30mm)で0.018人/m、F型(45×45mm)で0.026人/m。再使用する場合は2.0倍。
ケーブルラックの撤去(表E2-1-5)
幅別に規定。100mm幅で0.026人/m、1000mm幅で0.123人/m。再使用する場合は2.0倍。多段積みを同時撤去する場合、1段目(最大幅)以外は0.5倍。
プルボックスの撤去(表E2-1-6)
(縦mm + 横mm + 高さmm)× 0.0001 = 1個あたりの電工歩掛(人)
再使用する場合は2.0倍。
位置ボックスの撤去(表E2-1-7)
一律 0.020人/個。再使用する場合は2.0倍。
600V絶縁電線の撤去(表E2-1-8)
EM-IE・HIV等、導体サイズ別に規定(管内配線の歩掛)。1.0mmで0.0018人/m、325mm²で0.0234人/m。ダクト類配線にも適用可。再使用する場合は2.0倍。
600V絶縁ケーブルの撤去(表E2-1-9)
EM-EEF・VVF等、配線方式(木造サドル止め・コンクリートサドル止め・二重天井内・管内配線)とサイズの組み合わせで細かく規定。再使用する場合は2.0倍、再使用品の再設置は5.0倍。
照明器具の撤去(表E2-1-13〜16)
| 工種 | 細目 | 電工(人/個) | 再使用時 |
|---|---|---|---|
| 白熱灯器具 | シーリングライト | 0.0459 | ×1.3 |
| 白熱灯器具 | 埋込灯 | 0.0627 | ×1.3 |
| 蛍光灯器具 | FL40W×1 露出形 | 0.0627 | ×1.3 |
| 蛍光灯器具 | FL40W×2 埋込形 | 0.117 | ×1.3 |
| 非常用照明(白熱灯) | JE9〜30W・I40W | 0.0390(露出) | ×1.3 |
照明器具の撤去では再使用する場合の乗率が1.3倍(ケーブルラック等の2.0倍とは異なる)です。また、金属線ぴ取付けは0.8倍、システム天井用器具は0.6倍として用います。
地中管路の撤去(表E2-1-20)
コンクリートトラフ(幅別)やポリエチレン被覆鋼管(呼径別)ごとに規定。再使用する場合は2.0倍。掘削・埋戻しは含みません。
テレビ共同受信の撤去(表E2-1-21)
直列ユニット(中間:0.0450人/個、端末:0.0399人/個)。再使用する場合は1.3倍。

