みらいちゃんと学ぶ公共営繕積算|前払金・前払率・契約保証費をやさしく解説
みらいちゃん(積算部門に配属されたばかりの新人)が、先輩の誠さんに質問しながら「前払金・前払率・金銭的保証と積算の関係」を学んでいきます。根拠は国土交通省「公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)」に基づいています。
誠さん、契約書に「前払金」って出てくるんですが、これって工事が終わる前にお金をもらえるってこと…ですか?
そのとおりです。公共工事は本来「完成後に代金を払う後払い」が原則なんですが、それだと受注者は材料費や人件費を全額立て替えなければなりません。中小の建設業者には大きな負担になりますね。
そこで契約締結後・工事着手前に発注者が工事代金の一部を先払いする制度が前払金です。着工資金を確保しやすくして、工事の円滑な施工につなげることが目的ですよ。
40%が標準って聞いたんですが、それって積算にどう関係してくるんですか?もっと少なかったらどうなるんでしょう?
ここが実務で一番大事なポイントです。前払率が40%(標準)なら補正なしですが、前払率が35%以下になると一般管理費等率に補正係数がかかって割増しされます。
これは「前払金が少ない=受注者が借入に頼らざるを得ない=金利負担が増える」という考え方から来ています。積算では、その金利相当分を一般管理費等に上乗せして認めるわけです。
| 前払金支出割合 | 補正係数 | 積算への影響 |
|---|---|---|
| 35%超(40%標準など) | 補正なし(1.00) | 一般管理費等率をそのまま使う |
| 25%超35%以下 | 1.01 | 一般管理費等率を1%割増し |
| 15%超25%以下 | 1.03 | 一般管理費等率を3%割増し |
| 5%超15%以下 | 1.04 | 一般管理費等率を4%割増し |
| 0超5%以下 | 1.05 | 一般管理費等率を5%割増し |
つまり40%なら特別な計算は不要で、35%以下になったときだけ一般管理費等率を上げて金利分を補ってあげる、ということですね。
完璧な理解ですよ。だから積算担当者は「この工事の前払率は何%か」を必ず確認しなければなりません。発注機関によって40%ちょうどのところもあれば、それより低く設定しているケースもあります。契約約款・入札説明書で個別に確認するのが鉄則です。
「金銭的保証」という言葉が積算の資料に出てきました。これって前払金とは別の話ですか?
積算でいう「金銭的保証」は、前払金の保証とは別の話です。こちらは契約保証の話ですね。
公共工事の請負契約では、発注者が「受注者がちゃんと工事を完成させてくれるか」を担保するために保証を求めます。その保証の方法が大きく2種類あって、「金銭を差し入れる・保証会社に保証させる方法(金銭的保証)」と「履行を約束する方法(役務的保証)」に分かれます。
それが積算の数字に出てくるんですか?
出てきます。契約保証費は工事原価に一定の率を掛けた金額を一般管理費等に加算して計上します。金銭的保証(役所が金銭的な保証を求める場合、契約書第4条を採用する場合)と役務的保証では率が違います。
| 契約保証の方法 | 契約保証費率 | 備考 |
|---|---|---|
| 保証の方法1:金銭的保証(第4条採用) | 0.04% | 保証会社への保証料など |
| 保証の方法2:役務的保証 | 0.09% | 公共工事履行保証など |
| 保証の方法3:上記以外 | 補正しない | 少額工事など |
例:工事原価5,000万円、金銭的保証(方法1)の場合
契約保証費 = 5,000万円 × 0.04% = 2万円 → 一般管理費等に加算
整理できてきました!実際に積算するときは何を確認すればいいですか?
3点確認してください。
1点目、入札説明書・契約約款で「前払金支出割合(前払率)」を確認。40%なら一般管理費等率の補正は不要。35%以下なら補正係数を乗じる。
2点目、契約保証の方法を確認。発注者が金銭的保証(第4条採用)を求めているなら、工事原価×0.04%を一般管理費等に別途加算する。
3点目、設計変更のときは注意。契約保証費にかかる補正は設計変更では行わないというルールがあります。
- 前払率40%(標準)では一般管理費等率の補正なし。35%以下で補正係数(最大1.05)を乗じる
- 「金銭的保証」=契約保証の一形態。工事原価×0.04%を一般管理費等に加算する
- 根拠は「公共建築工事積算基準等資料(令和8年改定)」第3編第4章
- 前払率・保証の方法は発注機関ごとに異なるため、必ず入札書類で個別確認

