予定価格とは?
予定価格とは何か
予定価格とは、発注者が契約を締結するにあたって基準とする価格であり、入札金額の上限となる価格です。国の契約では会計法第29条の6および予算決算及び会計令第80条第2項に根拠があり、「取引の実例価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない」とされています。地方公共団体である福島県が発注する工事についても、同様の考え方に基づき発注者側で予定価格が定められます。
誰が、どのように予定価格を決めるのか
予定価格は契約担当官等(発注者側の担当部署)が作成します。国土交通省の資料によれば、適切な設計図書に基づき、労務・資材の最新実勢価格、法定福利費や労災保険料などの通常必要な経費、建設副産物の処分費用などを組み込んで算定するとされています。これは、これまでの記事で解説してきた歩掛・物価本・代価表・共通費といった積算基準の各要素を積み上げて金額を決めていく作業そのものです。
また同資料では、設計金額の一部を予定価格設定の段階で控除する「歩切り」は、公共工事の品質確保の促進に関する法律に違反する行為であり、全地方公共団体が廃止を決定していると明記されています。予定価格は積算基準どおりに積み上げた金額であって、発注者の裁量で恣意的に削られるものではありません。
予定価格の上限拘束性
会計法第29条の6は、競争入札において「予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもつて申込みをした者を契約の相手方とする」と定めています。つまり予定価格を1円でも超える入札は、原則として無効になります。福島県の取扱いにおいても、予定価格を上回る入札は無効とする扱いが定められています。予定価格は「目標額」ではなく「超えてはいけない上限」であるという点を、まず押さえておく必要があります。
事前公表という運用があること
福島県には「建設工事に係る予定価格の事前公表に関する取扱要領」があり、福島県財務規則第254条の規定に基づいて、入札前に予定価格を公表する場合の取扱いを定めています。対象は県が発注する全ての工事ではなく、発注者が「入札前に予定価格を公表することが適当と判断する工事」に限られます。一般競争入札の場合は、予定価格調書を作成したうえで、公告に予定価格を記載して公表する形が取られています。
予定価格が公表されない場合、何をするか
事前公表がされない案件では、入札参加者は予定価格を知らないまま入札金額を決めることになります。このとき手がかりになるのが、発注者が公表する金抜設計書です。金抜設計書には数量・仕様が記載されており、金額欄だけが空欄になっています。ここに発注者と同じ積算基準(歩掛・物価本・代価表・共通費・市場単価・福島県独自単価など)を当てはめて金額を積み上げれば、発注者側が算出したはずの予定価格を再現・推定することができます。これが「積算」という作業であり、自社の原価計算である「見積り」とは目的も手順も異なります。
初心者が誤解しやすいポイント
予定価格は自社の見積りではなく、発注者が積算基準に基づいて算出した上限額です。自社の見積りが安ければ受注できるわけではなく、あくまで予定価格の範囲内で、かつ最低制限価格や調査基準価格を下回らない金額で入札する必要があります。また予定価格そのものは発注者が積算基準どおりに算定するものであり、歩切りのような恣意的な調整は制度上認められていません。この「上限としての予定価格」と「発注者の積算基準に沿った推定」という2つの視点を持つことが、金抜設計書から精度の高い入札金額を導く出発点になります。
SEKISAN-PRO|福島県公共営繕積算情報プラットフォーム
