機械設備工事の撤去歩掛とは?0.3・0.4・0.7の意味と積算方法をわかりやすく解説
積算担当の皆様、お疲れ様です!
機械設備の改修工事を積算するとき、撤去の歩掛をどう扱えばいいか迷ったことはないでしょうか。
「配管の撤去歩掛って新設の何割で見ればいいの?」
「機器を再使用する場合とそうでない場合で変わるって聞いたけど…」
「重量機器だけ乗率が違うって本当?」
機械設備の撤去歩掛は「新設歩掛 × 乗率」で算出します。
配管・ダクト・保温・軽量機器など大半の工種は、廃棄なら0.3・再使用なら0.4です。
ただし重量機器(100kg以上)だけは廃棄0.4・再使用0.7と別格の扱いになります。まずこの数字を押さえておきましょう!
今回は、公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)第4編 機械設備工事 第2章 改修工事 第4節 撤去工事 表M2-4-1をもとに、くわしく解説します。
出典:公共建築工事標準単価積算基準 令和8年改定 表M2-4-1(PDF)機械設備の撤去歩掛の基本式
電気設備と同じく、機械設備の撤去歩掛も新設歩掛に乗率を掛けて算出します。
撤去歩掛 = 新設歩掛 × 乗率
乗率は「再使用しない(廃棄)」か「再使用する(取外し)」か、さらに機器の重量によって変わります。
また、資機材の施工状況等により乗率を増減することができると明記されています。実態に合わせた積算が認められている点も電気設備と同様です。
機械設備の撤去歩掛の乗率一覧(表M2-4-1)
基準では工種を7つに分類し、それぞれの乗率を定めています。
| 種別 | 再使用しない(廃棄) | 再使用する(取外し) |
|---|---|---|
| 配管類 | 0.3 | 0.4 |
| 配管附属品類 | 0.3 | 0.4 |
| ダクト・同附属品類 | 0.3 | 0.4 |
| 保温 | 0.3 | 0.4 |
| 水栓・排水金具等 | 0.3 | 0.4 |
| 軽量機器 | 0.3 | 0.4 |
| 重量機器 | 0.4 | 0.7 |
大半の工種は「廃棄0.3・再使用0.4」のシンプルな構成です。
ただし重量機器だけは廃棄0.4・再使用0.7と、大きく跳ね上がります。
機械設備積算における「重量機器」とは?
表M2-4-1の備考には、重量機器・軽量機器の定義が明記されています。
重量機器(乗率0.4〜0.7)
ボイラー、冷凍機、冷却塔、タンク、空調機、送風機、ポンプ等のうち、質量100kg以上のもの
軽量機器(乗率0.3〜0.4)
同じく上記機器のうち、質量100kg未満のもの
たとえばポンプでも小型の循環ポンプ(100kg未満)なら軽量機器扱いで乗率0.3。大型の給水ポンプ(100kg以上)なら重量機器扱いで乗率0.4になります。同じ「ポンプ」でも重さで乗率が変わる点に注意が必要です。
なぜ重量機器は再使用で0.7なのか?
重い機器を傷つけずに丁寧に取り外すのは、技術的にも体力的にも非常に大変な作業です。クレーンや揚重機を使う場合も多く、作業時間が大きく増加します。廃棄なら乱暴に外しても構いませんが、再使用となると精度が求められます。
そのため、重量機器の再使用取外しだけ新設歩掛の70%という高い乗率が設定されています。
具体的な計算例
冷凍機(150kg)を廃棄撤去する場合。仮に新設歩掛が8.00人とすると――
8.00 × 0.4 = 3.20人
同じ冷凍機を再使用目的で取り外す場合は――
8.00 × 0.7 = 5.60人
廃棄と再使用で2.4人分もの差が生じます。
電気設備との違い
先に解説した電気設備(表E2-1-1)と比較すると、機械設備の特徴がよくわかります。
| 比較項目 | 機械設備(表M2-4-1) | 電気設備(表E2-1-1) |
|---|---|---|
| 基本乗率(廃棄) | 0.3 | 0.2〜0.3 |
| 基本乗率(再使用) | 0.4 | 0.4〜0.6 |
| 重量物の区分 | あり(100kg基準) | なし |
| 最大乗率 | 0.7(重量機器再使用) | 0.6(電柱・地中ケーブル) |
注意事項
配管類の労務歩掛りは「はつり補修」を除くとされています。コンクリート埋込配管のはつり作業は別途積算が必要です。
また、機器の場外搬出は別途計上する必要があります。撤去歩掛に搬出費は含まれていません。
さらに施工状況等により乗率を増減できると明記されています。現場の条件に応じた増減が認められています。
まとめ
最後に、冒頭の結論をもう一度確認しておきましょう。
機械設備の撤去歩掛 = 新設歩掛 × 乗率
配管・ダクト・保温・軽量機器など大半の工種は、廃棄なら0.3・再使用なら0.4
重量機器(100kg以上)だけは廃棄0.4・再使用0.7
積算の際はまず機器の質量を確認して、軽量(100kg未満)か重量(100kg以上)かを判断することが大切です。同じポンプや空調機でも重さで乗率が変わってくるので、必ず仕様書やカタログで質量を確認する習慣をつけましょう!
よくある質問
撤去歩掛はどのように計算しますか?
新設歩掛に撤去乗率を乗じて算出します。機械設備の場合、配管・ダクト・保温・軽量機器は廃棄なら×0.3、再使用なら×0.4が基本です。重量機器(100kg以上)のみ廃棄×0.4・再使用×0.7となります。
重量機器の基準は何kgですか?
公共建築工事標準単価積算基準(令和8年改定)では、100kg以上を重量機器、100kg未満を軽量機器として扱います。ボイラー・冷凍機・冷却塔・タンク・空調機・送風機・ポンプ等が対象機器です。
ポンプは重量機器になりますか?
ポンプという機種だけでは判断できません。質量が100kg以上かどうかで軽量・重量を区別します。小型の循環ポンプは軽量機器(×0.3)、大型の給水ポンプは重量機器(×0.4)になる場合があります。必ず仕様書やカタログで質量を確認してください。
撤去歩掛に機器の場外搬出費は含まれますか?
含まれません。機器の場外搬出は別途計上する必要があります。表M2-4-1の備考にも明記されています。
乗率は増減できますか?
できます。基準では「資機材の施工状況等により乗率を増減することができる」と明記されています。現場の条件(天井裏の狭小作業・既存配管の錆付き等)に応じた積算が認められています。
▶ より詳しく知りたい方へ 工種別の個別歩掛表(表M2-4-2以降)
表M2-4-1の乗率方式とは別に、配管保温・ダクト・衛生器具などは工種別の個別歩掛表が用意されています。サイズ・保温材種別・施工箇所まで細かく規定したものです。
配管保温撤去(表M2-4-2〜)
ポリスチレンフォーム・ロックウール・グラスウール別に、呼び径・保温厚・施工箇所の組み合わせで保温工の歩掛(人/m)が直接規定されています。取外し(再使用)の場合は個別表内に記載された歩掛を使います。
ダクト類保温撤去
亜鉛鉄板・消音チャンバーなど材種別に規定。取外しの場合は廃棄と異なる歩掛が設定されています。
長方形ダクト撤去
ダクトの板厚と寸法で電工・ダクト工の歩掛(人/m²)が規定されています。取外しの場合は別途歩掛が設定されています。
スパイラルダクト撤去
低圧・高圧1・高圧2ダクト別に、径ごとの歩掛(人/m)が規定されています。
ダクト附属品撤去
風量調節・防火ダンパー(FVD)など附属品ごとに、サイズ別の歩掛が規定されています。取外し(再使用)の場合は廃棄歩掛に所定の乗率を適用します。
衛生器具撤去
大便器・化粧棚など器具種別に個別歩掛が規定されています。取外しの場合は別途乗率が設定されています。なお、大便器用洗浄弁のみ撤去する場合の歩掛も個別に定められています。
個別歩掛表は工種が非常に多岐にわたります。該当工種の個別表がある場合はそちらを優先して使用し、表M2-4-1の乗率方式はそれ以外の工種や概算時に活用するとよいでしょう。

