【初心者向け】積算担当1年目が最初に覚えたい公共営繕積算の基本

積算担当の皆様、お疲れ様です!
「積算初心者シリーズ」として公開してきた5本の記事を、この1本で総まとめします。積算の仕事とは何か、RIBCコードの読み方、歩掛の仕組み、共通費の構成、最低制限価格まで、積算担当になったばかりの方が最初に知っておくべきことを順番に整理しました。各記事へのリンクも掲載しています!

積算って
何をする仕事?
統括情報表
入力項目の解説
歩掛とは?
工事価格のしくみ
共通費3つの
中身を理解する
最低制限価格
の計算方法
この記事
(総まとめ)

①|積算って何をする仕事? ─ まず「数量は役所が出す」と知る

民間工事では図面から材料の数量を自分で「拾い出す」作業が必要ですが、公共営繕の積算は違います。発注者(役所)が数量を算出した設計書を渡してくれるため、積算担当者がやることは「与えられた数量に正しい単価を入れていく」作業です。

POINT
  • 公共営繕の積算 = 発注者が作成した設計書の数量に単価を当てはめる作業
  • 数量を拾うのではなく、正しい単価を正しく入力することが仕事
  • 積算ソフトへの入力が基本の作業。RIBCコードが鍵

積算作業の基本的な流れ

設計書が手元に届く(数量はすでに記載済み)
設計書の各項目にあるRIBCコードを積算ソフトに入力
積算ソフトが対応する単価を引き出して計算
直接工事費が算出される

「積算=数量を拾う仕事」と思っていると、公共営繕の実態とギャップが生じます。正しいコードを入力して正しい単価を引き出すことが、この仕事の核心です。


②|統括情報表の入力項目 ─ ここが共通費計算の土台になる

積算ソフトで最初に入力する「統括情報表」は、その工事全体の計算条件を設定する画面です。ここの設定が共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)の金額に直接影響します。

POINT
  • 統括情報表 = 工事全体の計算条件を最初に設定する画面
  • 設計書の「工事概要」や「特記仕様書」を見ながら入力する
  • 1項目でも間違えると共通費全体がずれる

主要11項目と確認ポイント

番号項目名基本の設定・確認ポイント
適用単価地区工事場所から地区を確認(福島県内はK地区が多い)
単価適用日設計書に明記されている。そのまま転記する
前払率設計書記載の値を入力。35%以下で補正係数が適用される
契約保証補正「金銭的保証」か「役務的保証」かで率が違う
共通仮設費区分公共営繕では「率併用方式」が基本
建改共通仮設費区分⑸と同様「率併用方式」を選択
監理事務所設置福島県の公共工事ではほぼ「なし」
主たる工事区分複合工事では主体となる工種を選択
労務費の比率ほぼすべての工事で「普通」。変更不要
週休2日補正「4週8休(月単位)」を選択。労務費補正1.02を確認
工期[か月]設計書の工期からか月数を算出して入力

⑽週休2日補正で「完全週休2日(週単位)」を誤って選ぶと、共通仮設費・現場管理費の係数がともにずれます。必ず統括情報表の記載と一致させてください。


③|歩掛とは? ─ 積算ソフトが金額を計算する仕組みを理解する

積算ソフトにRIBCコードを入力すると金額が出てきますが、その仕組みの核心が「歩掛(ぶがかり)」です。歩掛を一言で言うと、工事に必要な材料・労務・機械の量を示したレシピです。

POINT
  • 歩掛 = 工事に必要な材料・労務・機械の標準的な使用量(工事のレシピ)
  • 積算ソフトはRIBCコードから歩掛を呼び出して金額を計算している
  • 歩掛 × 単価 = 金額 のくり返しが積算の基本

代価表で見る歩掛の例

例)LED照明器具(LSS9-4-30LN)1台取付の代価表
材料LED照明器具 LSS9-4-30LN 1個 10,885円 ← 値(単価がそのまま入る)
歩掛電工 0.178人 ← どれだけの手間がかかるか
歩掛雑材料 5% ← 付随して必要な材料の割合
歩掛その他 0.26式 ← その他経費の割合

積算ソフトが計算する流れ

RIBCコードを入力
歩掛を呼び出す
材料・労務・機械の数量を算出
単価を掛ける(歩掛 × 単価 = 金額)
工事項目ごとの金額が確定 → 積み上げて直接工事費へ

「設計書と金額が合わない」というトラブルの多くは、歩掛や単価の設定ミスが原因です。歩掛の考え方を理解しておくと、原因の特定が速くなります。


④|共通費3つの中身 ─「何のお金か」を理解すると設計書が読みやすくなる

直接工事費を積み上げたあと、さらに3種類の共通費を加えて工事価格が決まります。3つとも積算ソフトが自動計算しますが、「何のお金か」を理解しておくと内訳書の読み方が変わります。

POINT
  • 共通仮設費 = 現場を整えるためのお金(仮囲い・仮設電力・警備費など)
  • 現場管理費 = 現場を動かすためのお金(施工管理者の人件費・安全費など)
  • 一般管理費等 = 会社を維持するためのお金(本社経費・付加利益)
① 共通仮設費 — 現場を整えるためのお金

工事期間中に必要な仮設費用。工事が終われば不要になるものがほとんどです。

  • 現場事務所・仮設トイレ・材料置き場・仮囲い・仮設道路
  • 工事看板・保安照明・安全設備・警備費・クレーン など
② 現場管理費 — 現場を動かすためのお金

工事を円滑に進めるための管理コスト。「人の管理」にかかる費用がメインです。

  • 現場代理人・施工管理者の人件費・労務管理費・安全費
  • 地域社会対応費(近隣挨拶・苦情対応など) など
③ 一般管理費等 — 会社を維持するためのお金

現場ではなく、会社(本店・支店)の運営にかかる間接経費と付加利益です。

  • 本社の家賃・人件費・通信費・営業活動にかかる経費
  • 付加利益(会社の利益) など

工事価格ができるまでの流れ

直接工事費
↓ +共通仮設費
純工事費
↓ +現場管理費
工事原価
↓ +一般管理費等
工事費
↓ +消費税等相当額
工事価格(税込)

3つの共通費はすべて積算ソフトが自動計算します。積算担当者がやることは、統括情報表の各項目を正確に入力するだけです。入力条件が変わると共通費の金額も変わります。


⑤|最低制限価格 ─ これを下回ると1円でも失格

入札に参加するとき必ず登場するのが「最低制限価格」です。この金額を1円でも下回ると、予定価格以内でも失格になります。公共工事の品質確保のために設けられた下限ラインです。

POINT
  • 最低制限価格 =「この金額より安く入札したら失格」という下限価格
  • 直接工事費・共通仮設費・現場管理費・一般管理費にそれぞれ係数を掛けて算出
  • 福島県は予定価格の87%〜92%の範囲で設定される
  • 市区町村ごとに独自の基準があるため、発注者ごとに確認が必須

福島県の計算方法(中央公契連モデル式×県独自係数)

中央公契連モデル式(税抜)
  • 直接工事費 × 0.97
  • 共通仮設費 × 0.90
  • 現場管理費 × 0.90
  • 一般管理費 × 0.68

↑ これらの合計額 × 県独自係数(A) = 最低制限価格

設定される範囲:算出額が予定価格の87%〜92%の範囲に収まるよう調整されます。上回った場合は92%、下回った場合は87%が最低制限価格になります。

最低制限価格の計算式は発注者(県・市・町・村)ごとに異なります。市区町村によっては最低制限価格を設定していないケースもあります。入札公告や特記仕様書で「あり・なし」と算定方式を必ず確認しましょう。

総まとめ:積算初心者が最初に覚えること5つ

  1. 公共営繕の積算は「単価を入れる仕事」。数量は発注者が用意した設計書にある
  2. 統括情報表が共通費計算の土台。11項目を設計書と照らし合わせて正確に入力する
  3. 積算ソフトはRIBCコード → 歩掛 → 単価の順で計算している。この流れを知ると金額のズレ原因が特定しやすくなる
  4. 共通費は「共通仮設費・現場管理費・一般管理費等」の3つ。それぞれ「現場を整える・動かす・会社を維持する」お金
  5. 最低制限価格は1円でも下回ると失格。発注者ごとに基準が異なるため、入札前に必ず確認する
まずはこの5つを頭に入れて、実際の設計書を手元に置きながら積算ソフトを動かしてみましょう。繰り返すうちに必ず身についてきます!

※本記事は公共建築工事積算(令和7年度基準)の考え方をもとに解説しています。実際の積算にあたっては発注者の指示・設計図書をご確認ください。

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