営繕積算ソフトを導入しても解決しない問題

営繕積算システムを導入すれば、
積算業務は楽になる。
以前の私はそんなイメージを持っていました。
実際、
手計算の時代と比べれば圧倒的に便利です。
数量を入力すれば金額が出る。
集計もできる。
帳票も作れる。
昔を知っている人ほど、
その便利さを実感していると思います。
だからでしょうか。
営繕積算システムを導入すると、
積算の悩みも解決するような気がしてしまいます。
でも、
実際はそうでもありません。
むしろ、
システムを導入した後に気付く問題もあります。
私も何度かそんな場面を見てきました。
まず、
営繕積算システムは積算をしてくれます。
しかし、
判断まではしてくれません。
どの単価を採用するか。
その数量は妥当なのか。
過去案件と比較して違和感はないか。
その判断は人が行います。
当たり前の話です。
でも、
システムを導入すると、
つい忘れてしまうことがあります。
計算結果が出ると、
正しいように見えてしまうのです。
数字には説得力があります。
きれいに集計されています。
帳票も完成しています。
だから安心してしまいます。
しかし、
入力条件が違えば結果も変わります。
数量が違えば結果も変わります。
元になる考え方が違えば結果も変わります。
営繕積算システムは優秀です。
でも、
積算結果に責任を持つのは人です。
そこは変わりません。
また、
システムを導入しても解決しない問題があります。
人材です。
公共営繕積算ができる担当者がいない。
後継者が育っていない。
積算担当者が一人しかいない。
こうした問題は、
システムだけでは解決できません。
むしろ、
その担当者しか使えない状態になることもあります。
気が付くと、
積算ノウハウとシステム操作の両方が、
一人の担当者に集中している。
そんなケースもあります。
これは少し危険です。
積算業務の属人化は、
システム導入だけでは無くならないからです。
過去案件の整理も同じです。
営繕積算システムの中には、
多くのデータが残っています。
でも、
必要なときに探せない。
比較できない。
活用できない。
そうなると、
せっかくのデータも眠ったままです。
私は過去の設計書を見ることがあります。
昔の案件と比較することがあります。
なぜその積算になったのか考えることがあります。
そういう作業は、
システムだけではできません。
積算担当者自身が、
資料を残し、
整理し、
活用する必要があります。
もう一つあります。
これは意外かもしれません。
営繕積算システムを導入しても、
積算時間が足りない会社があります。
案件が多い。
担当者が少ない。
入札期限が重なる。
そうなると、
どれだけ良いシステムがあっても限界があります。
処理能力以上の仕事が来れば、
忙しいことに変わりはありません。
システムは作業を助けてくれます。
しかし、
代わりに積算してくれるわけではありません。
私は、
営繕積算システムは非常に重要だと思っています。
導入しない方が良いと言いたいわけではありません。
むしろ必要なものです。
ただ、
システムが解決する問題と、
解決しない問題を分けて考える必要があるように思います。
計算は効率化できる。
帳票も作成できる。
作業時間も短縮できる。
それは間違いありません。
一方で、
人材不足。
属人化。
技術継承。
積算判断。
過去案件の活用。
こうした課題は残ります。
だから私は、
営繕積算システムを導入したら終わりではなく、
そこからがスタートなのだと思っています。
システムを活かせる体制があるか。
知識を引き継げる仕組みがあるか。
担当者が休める環境になっているか。
本当に大切なのは、
その部分なのかもしれません。
最近、
そんなことを考えています。

