公共積算の落とし穴|工期Tが工種ごとに異なる場合が存在する|質疑で必ず確認を
公共積算の共通費計算で使われる「工期T」。通常は統括情報表の工期をそのまま全工種に適用しますが、まれに工種ごとに異なるTが設定されているケースがあります。これは積算担当者には判断できない領域であり、質疑での確認が必須です。共通費計算の仕組みについてもあわせてご確認ください。
そもそも「工期T」とは?
公共工事の積算では、現場管理費や共通仮設費などの共通費を計算する際に「工期T」という係数を使います。工期Tとは、その工種が実質的に現場を占有し、経費が発生する期間のことです。
工期Tの値が変わると共通費の金額が変わるため、積算精度に直結する重要な数値です。「共通費計算の落とし穴」と合わせて確認しておくことをお勧めします。
基本:工期Tは全工種に一律適用が原則
通常の公共工事では、統括情報表に記載された工期をそのまま建築・電気設備・機械設備のすべての工種に一律で適用します。これが基本であり、大多数の工事はこの方法で積算されています。
| 工種 | 工期T | 備考 |
|---|---|---|
| 建築 | 4.0ヶ月 | 統括情報表の工期をそのまま適用 |
| 電気設備 | 4.0ヶ月 | 同上 |
| 機械設備 | 4.0ヶ月 | 同上 |
例外:工種ごとに工期Tが異なるケースがある
ところが、設計書を詳しく確認すると、工種ごとに異なるTが設定されている工事が存在します。
| 工種 | 工期T | 設定の考え方 |
|---|---|---|
| 建築 | 4.0ヶ月 | 最初から最後まで現場を統括するため長め |
| 電気設備 | 3.5ヶ月 | 建築の進捗を待って入場・早期離脱 |
| 機械設備 | 1.0ヶ月 | 付随的な作業で短期集中のみ |
なぜ工種ごとに異なるのか?
「付随的な作業に過大な経費を計上しない」という積算上の合理的な考え方によるものです。現場を長期間占有する主工種は長いT、短期間で完了する付随工種は短いTを設定することで、共通費を実態に合わせて適正化しています。
ここが問題:積算担当者には判断できない
工種ごとに工期Tが異なる場合、その数値は発注者(役所)が設計書の段階で決定しています。積算担当者が金抜き設計書を見ただけでは、どの工種にどのTを適用すべきかを判断することは絶対にできません。
なお、前払率の設定も共通費に影響する重要な項目です。「前払率の設定ミスで経費がズレる」記事もあわせてご確認ください。
こんな工事は要注意
下記のような工事は、工種ごとに工期Tが異なる可能性があります。金抜き設計書を受け取ったら必ず共通費ページを確認してください。
下記のような工事は、工種ごとに工期Tが異なる可能性があります。金抜き設計書を受け取ったら必ず共通費ページを確認してください。
- 複数工種が含まれる複合工事
- ある工種が明らかに早く終わりそうな工事(例:電源の結線のみなど)
- 複数の建物・サイトをまたぐ工事
- 主工種と付随的な工種が明確に分かれている工事
対処法:質疑で必ず確認する
工期Tが工種ごとに異なる可能性がある工事では、入札前の質疑で発注者に確認することが必須です。自己判断で誤ったTを代入してしまうと、共通費の積算額が大きくズレ、落札後に大きな損失につながる危険があります。
質疑での確認文例
「金抜き設計書の共通費計算における各工種の工期Tを教えてください。」
金抜き設計書を受け取る
↓
統括情報表の工期を確認
↓
工種ごとにTが異なる可能性はないか?
↓
質疑で発注者に確認(必須)
↓
確認した値で共通費を積算
まとめ
- 工期Tは共通費計算に直結する重要な係数
- 基本は統括情報表の工期を全工種に一律適用
- 複合工事などでは工種ごとに異なるTが設定されるケースがある
- どのTを使うかは発注者しか知らない=自己判断は不可
- 工種間で工期差が生じそうな工事は、質疑で必ず確認する
「金抜き設計書の共通費計算における各工種の工期Tを教えてください」――この一言が、積算ミスを防ぐ最大の安全策です。

