見積り徴収とは?
見積り徴収とは
積算は、積算基準(歩掛)・代価表・市場単価といった公表資料をもとに、発注者が予定価格を計算する作業です。しかし、工事に使う資材や機材の中には、これらの資料のどこにも単価が載っていないものがあります。そのようなとき発注者が用いるのが「見積り徴収」です。
結論:見積り徴収とは、積算基準・代価表・市場単価のいずれにも単価の記載がない資材・機材について、発注者が複数の業者から見積りを取り寄せ、それをもとに設計単価(積算に使う単価)を決定する仕組みです。他の方法で単価を決められない場合の、最終的な手段として位置づけられています。
代価表・市場単価との違い
代価表は、積算基準にない工種について、労務・材料・機械経費などを積み上げて単価を算出したものです。市場単価は、実際の取引実勢価格を発注者が調査し、定期的に公表する単価です。これに対し見積り徴収は、代価表のような積み上げ計算も、市場単価のような定期調査もできないほど特殊・少量の資材や機材について、その都度個別に業者から見積りを取って単価を決める方法です。3つはいずれも「積算基準に単価がない場合の補完手段」ですが、単価を導き出す方法が異なります。
単価決定の優先順位(国土交通省の考え方)
国土交通省の土木工事積算基準の運用に関する通知では、材料単価は次の優先順位で決定するとされています。
- 局(地方整備局)設定単価(最優先)
- 物価資料(「建設物価」「積算資料」に掲載された実勢価格の平均)
- 局特別調査単価(年2回の定期調査で決定)
- 局特別調査(臨時調査)または見積り
見積りは、調達価格が100万円未満かつ1資材の単価が10万円未満の場合などに活用され、原則として3社以上から徴収します。単価は異常値を除いた平均価格を採用し、見積書が多数集まった場合は最頻度価格を採用するとされています。これは国土交通省直轄工事における運用であり、地方整備局ごとに定めた基準に基づくものです。
福島県における見積り徴収の仕組み
福島県の資料「見積設計単価等の公表について」によれば、県の標準積算基準に定めのない資材単価・歩掛については、見積りの徴取等により単価を決定するとされています。決定した見積設計単価等は、平成22年4月12日以降に実施決定する工事から、入札閲覧時に原則公表されます。ただし、見積りを提出した業者名や各業者の見積り金額そのものは非公表です。また、次のものは公表の対象外とされています。
- 産業廃棄物処分料
- 借地料
- 物価資料により決定した単価
- 機械損料
- 単独見積りにより決定した単価
- 見積りの提出者が非公表を条件とした単価
注意点:見積り徴収で決まる単価は、代価表や市場単価のようにあらかじめ一覧で公表されているものではなく、案件ごとに個別に決定されます。入札前の段階で金額を正確に予測することは難しく、公表される場合も入札閲覧時に確認するのが基本になります。
実務上のポイント
見積り徴収は「発注者が業者から相見積りを取る」という形式が、民間の相見積りと似ているため誤解されがちです。しかし目的は発注者の調達コストを下げることではなく、積算基準に基づいて予定価格を公正に再現することにあります。国土交通省の資料でも、見積りの価格は実勢取引価格であることの確認が求められており、単に安い価格を提示すればよいという性質のものではありません。
まとめ
見積り徴収は、代価表・市場単価では対応できない資材・機材の単価を、発注者が個別に業者へ見積りを依頼して決める仕組みです。福島県では、決定した単価が入札閲覧時に公表される一方、提出業者名や金額そのものは非公表とされています。自社が取り扱う資材が積算基準・代価表・市場単価のいずれにも載らない特殊なものである場合、見積り徴収の対象になり得ることを理解しておきましょう。
