紙の金入(きんいり)設計書のAI-OCRをはじめたきっかけ

市場単価や補正市場単価がずれる。
何十円も、ときには何百円も。
もっと高精度に積算するにはどうすればいいか?
そんなことを考えていました。
積算ソフトを使えば金額は出ます。
でも、
その金額をそのまま信じていいのだろうか。
という思いがありました。
市場単価は便利です。
補正市場単価も便利です。
一方で、
中身が見えません。
歩掛なら分解できます。
どんな材料なのか。
どんな労務なのか。
どんな計算でその金額になるのか。
ある程度追いかけることができます。
でも市場単価は違います。
結果は出る。
だけど中身は見えない。
補正市場単価になると、
さらに見えにくくなります。
そんな中でやはり気になることは
積算ソフトによって、
金額が違うことでした。
同じ設計書。
同じ数量。
同じ条件。
それなのに結果が違う。
最初は私の入力ミスかと思いました。
何度も確認しました。
でも違う。
設定も同じ。
条件も同じ。
それでも結果が変わる。
市場単価そのものの差は、数十円~数百円
でも数量が大きくなると話は別です。
気が付くと、
ひとつの項目で何十万円もの差になっていることもありました。
そうなると、
「誤差だから仕方ない」
では済ませられません。
なんとなく気持ちが悪かった。
どちらが正しいのだろう。
どちらが発注者積算に近いのだろう。
なぜ差が出るのだろう。
私はその理由を知りたくなりました。
ただ、
紙の設計書を眺めていても分かりません。
分析もできません。
比較もできません。
蓄積もできません。
設計書はあるのに、
データがない。
そんな状態でした。
だったら、
まずは設計書をデータにしよう。
そう思いました。
情報開示をした金入設計書をExcel化すれば、
市場単価の項目だけを抜き出せます。
補正市場単価だけを集計することもできます。
複数案件を比較することもできます。
年度ごとの傾向を見ることもできます。
ただ問題は、
設計書が紙だったことです。
1件だけなら入力できます。
でも何十件、
何百件となったら現実的ではありません。
そこでOCRを試し始めました。
最初はうまくいきませんでした。
数字が違う。
表が崩れる。
列がずれる。
修正も必要でした。
それでも手入力よりは早い。
少し修正すれば使える。
そう思いながら続けていました。
そしてAI-OCRが出てきました。
従来のOCRよりも精度が高い。
表の認識も良くなった。
設計書をデータ化するハードルが一気に下がりました。
気が付けば、
紙の設計書をAI-OCRで読み込み、
Excelへ変換することが当たり前になっていました。
今では設計書検索にも使っています。
過去案件との比較にも使っています。
傾向分析にも使っています。
でも、
最初から効率化が目的だったわけではありません。
DXがやりたかったわけでもありません。
AIを使いたかったわけでもありません。
市場単価や補正市場単価を、
もっと高精度に積算するにはどうすればいいか?
その答えを探していった結果、
紙の設計書をAI-OCRでExcel化するようになったのです。
今振り返ると、
AI-OCRを使うことが目的だったのではなく、
積算をもっと深く理解したかった。
発注者積算に少しでも近づきたかった。
ただそれだけだったのだと思います。
その答えを探していった結果、
紙の設計書をAI-OCRでExcel化するようになりました。
ただ正直なところ、
今も答えは見つかっていません。
市場単価を見れば見るほど、
補正市場単価を見れば見るほど、
発注者積算の奥深さを感じます。
もしかすると、
高精度に積算するための近道なんて無いのかもしれません。
設計書を読み、
分析し、
比較し、
また設計書を読む。
その繰り返しです。
それでも以前よりは、
少しだけ見えるものが増えました。
だから私は今日も、
紙の設計書をExcelに変換しています。
AIを使うためではなく、
積算をもっと理解するために。
そして、
いつか市場単価や補正市場単価を見ただけで、
「なぜこの金額になるのか」
を説明できるようになりたいと思っています。
