積算ソフトは対応済みなのに予定価格と差が出る理由【保存版】

令和8年改定に合わせてソフトを更新した。基準の内容も確認した。それでも開札してみると、予定価格との差が思ったより大きい。

このようなお悩みはありませんか。

  • ソフトは最新版なのに、なぜ差が出るのか分からない
  • どの費目で差が生じているのか特定できない
  • ソフトの出した金額が正しいかどうか、自分で確かめる方法がない

結論からお伝えすると、差が出る原因はソフトが改定に対応していないことではなく、ソフトが出した金額を積算基準まで分解して確認できていないことにあります。

この記事を読むと分かること
  • 改定対応済みのソフトでも差が出る理由
  • 金額の根拠を確認するときに見る5つのポイント
  • 自分で照合できる範囲と、できない範囲の切り分け方

結論|差を分けるのは対応の有無ではなく、根拠を分解できるか

現在流通している積算ソフトは、いずれも積算基準の改定に対応しています。令和8年改定についても同様です。

そのうえで予定価格との差が生じるのは、出てきた金額がどの歩掛と単価の組み合わせでできているのかを、使う側が確認できていないためです。

積算ソフトは入力された条件にもとづいて計算します。条件の選び方が設計図書と違っていれば、ソフトが正しく動作していても結果は変わります。そしてその違いは、総額を眺めているだけでは見えません。

以下、金額の根拠を確認するときに見るポイントを5つに整理します。

見るポイント1|歩掛に分解して積算基準と照合できるか

最初に確認したいのは、複合単価を歩掛まで分解して表示できるかです。

単価だけを見ても、それが正しいかどうかは判断できません。その単価がどの歩掛を使い、どの労務単価と材料単価を掛け合わせて算出されたものかが見えて、はじめて積算基準と突き合わせられます。

確認の手順はこうなります。

  1. 対象の複合単価を選び、歩掛と構成要素に分解する
  2. 使われている歩掛を積算基準の表で確認する

この作業ができるかどうかが前提条件です。分解表示ができないソフトの場合、金額が合わないときに原因を特定する手段がなくなります。

分解できたとしても、どの積算基準の版を参照した歩掛なのかが表示されなければ、照合は途中で止まります。歩掛の数値と出典の両方が確認できる状態が必要です。

見るポイント2|共通費の計算が正しいか

共通費は工事価格全体に影響するため、ここがずれると総額の差も大きくなります。そして共通費は、手元で検算しやすい部分でもあります。

共通仮設費率、現場管理費率、一般管理費等率は、いずれも算定式で求められます。ソフトが出した共通費の金額と、式から計算した金額を突き合わせれば、計算が合っているかはすぐに分かります。

共通費の照合に使えるツール

SEKISAN-PROでは、令和8年改定に対応した共通費計算ツールを無料で公開しています。工事価格を入力すると各費目の率と金額が算出されるため、ソフトの出力と簡易的に照合できます。

共通費計算ツール(令和8年度版)を開く

ここで差が出なければ、原因は共通費ではなく直接工事費の側にあると絞り込めます。逆に共通費でずれていれば、補正条件の設定を見直すことになります。

見るポイント3|仮設でずれやすい項目を個別に確認する

直接工事費のなかでも、金額の差として現れやすいのが仮設の項目です。とくに次の3つは確認しておきたいところです。

  • 仮設足場
  • 養生
  • 整理清掃後片付け

足場の複合単価は、歩掛表を開くと10項目から16項目の積み上げでできています。枠組本足場なら材料と損料が10種類前後並び、そこに労務と諸経費が加わります。つまり歩掛の中でも一番複雑なため、積算がずれやすいという特徴があります。

仮設関係は、ソフトによって精度が大きく変わる項目です。扱う数量も多いため、1項目あたり数百円のずれが積み重なると、結果として数十万円の差になることも珍しくありません。

見るポイント4|市場単価の正確性

ここは、ポイント1で述べた歩掛による検証が使えない領域です。

区分内容自社での検証
市場単価刊行物等に掲載された単価。材工共の形で設定されている歩掛に分解できないため、構成要素までは追えない
補正市場単価市場単価に補正を加えたもの補正の計算が複雑で、同じ結果を再現するのは難しい
市場単価加工補正市場単価をさらに加工したもの算定方法が積算基準に明記されておらず、過程が見えにくい

複合単価であれば歩掛に分解して積算基準と照らし合わせられますが、市場単価はもともと材工共で決められているため、同じ方法が使えません。補正市場単価は補正計算が複雑で、市場単価加工にいたっては算定の根拠が明記されていない部分があります。

つまり、この3つは使う側が結果を検証しにくい領域です。そのため、ソフトによって計算結果に差が生じることがあり、1項目あたり数百円の差が出ているケースも珍しくありません。

数百円と聞くと小さく感じるかもしれません。しかし数量の多い工種で使われる単価であれば、その1項目だけで総額が大きく動きます。

その結果として現れるのが、積算結果が安定しないという状態です。同じやり方で積算しているつもりでも、ある案件では予定価格より高く出て札が届かず、別の案件では低く出てしまう。低く出た場合は、最低制限価格を下回って失格になることもあります。

見るポイント5|住標歩掛に対応しているか

公営住宅等の工事では、官庁営繕の積算基準とは別に、公共住宅事業者等連絡協議会が定める公共住宅建築工事積算基準が用いられる場合があります。積算ソフトの出典区分では「住標」「住市」として扱われます。

この基準の歩掛を収録しているかどうかはソフトによって異なります。収録されていない場合、該当する工事では別の歩掛で代用することになり、設計書との差につながります。

公営住宅を扱う可能性があるなら、対応状況を確認しておきたいところです。

まとめ

令和8年改定後に予定価格との差が出る場合、確認する順番は次のとおりです。

  1. 複合単価を歩掛まで分解し、積算基準と照合できる状態にする
  2. 共通費を算定式で検算し、直接工事費側か共通費側かを切り分ける
  3. 足場は表の選択と構成項目、養生・整理清掃後片付けは数量の取り方を確認する
  4. 市場単価・補正市場単価・市場単価加工は検証が難しい領域と理解したうえで、ソフトの精度を確認する
  5. 住標歩掛(公共住宅建築工事積算基準)への対応状況を確認する

いずれも、ソフトが改定に対応しているかどうかとは別の話です。対応しているソフトを使っていても、根拠を確認できなければ差の原因は特定できません。

積算ソフトは積算業務を支える道具です。その道具が出した数字を自分で検証できる状態にしておくことが、積算精度の土台になります。

SEKISAN-PROからのご案内

令和8年改定に対応した積算ソフトを利用していても、条件設定や単価、共通費の考え方によって積算結果に差が生じることがあります。

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