【仙台市】見積単価はどう採用されるのか|最低価格・30%ルール・補正率の関係

宮城県 公共建築工事

見積単価はどう採用されるのか
最低価格・30%ルール・補正率の関係

宮城県公共建築工事積算単価・基準等の運用(令和8年3月改定)に基づいて、見積り単価が設計書の単価になるまでの流れを整理します。

このようなお悩みはありませんか。

  • 専門業者から集めた見積りのうち、どれが採用されるのか分からない
  • 一番安い見積りが必ず採用されると思っていたが、実際は違うらしい
  • 「30%以上離れた見積りは除く」という記述の意味が読み取れない
  • 見積金額がそのまま設計書の単価になるのか判断がつかない

見積単価は、積算単価表にも刊行物にも載っていない品目で最後に使われる単価です。採用の手順が決まっているにもかかわらず、根拠資料を読み込む機会が少ないため、発注者側の単価と自社の想定が食い違う原因になりやすい箇所でもあります。

この記事を読むメリット

宮城県の運用に明記されている見積りの採用手順を、条文どおりに把握できます。あわせて、実際の見積金額を10万円と仮定した判定例を2パターン示しますので、自社の見積りが採用されるのかどうかを自分で検算できるようになります。

1結論:最低価格を採り、極端に離れた価格は除外する

運用に書かれている採用ルール

原則として、各者の見積徴収結果における最低の価格および歩掛、賃料等を採用します。ただし、直近上下位との差が30%以上の見積価格等を除いた最低の価格等を採用することとされています。

さらに、採用する見積価格等には、科目ごとに別に定められた補正率を乗じたものが単価として採用されます。

つまり「安いものを採る」という原則は正しいのですが、そのまま単純に最安値が通るわけではありません。他社と極端にかけ離れた価格は、価格としての信頼性に疑問があるものとして判定から外される仕組みになっています。

2見積りを使うのはどの順番か

見積り単価は、他に使える単価がないときに登場します。宮城県の運用では、直接工事費の単価の採用優先順位が次のように定められています。

電気設備工事・機械設備工事の場合

順位単価の種類
1県積算単価表掲載の単価
2刊行物掲載の市場単価
3代価(標準単価積算基準による複合単価、またはそれ以外の公的な歩掛り等による代価)
4刊行物の掲載価格(積算資料、建設物価、建築コスト情報、建築施工単価等)
5専門業者(メーカー、商社)の見積価格、定価表、その他の取引見込み価格を基にした単価
6類似工事における実例単価

建築工事も同様の並びで、第5順位が見積価格等となります(建築工事には第6順位の実例単価の記載はありません)。見積りは最後の手段に位置づけられているため、上位の単価が存在する品目に見積単価を使うこと自体が本来は想定されていません。

3見積りの徴収ルール(社数と諸経費)

採用の判定に入る前に、そもそもの集め方が決められています。

依頼する社数

原則として3者以上です。見積想定額(総金額)の工事費等に占める割合が大きい場合、または依頼先が受注業者になり得る場合は5者以上とされています。ただし、特許工法等で取扱いメーカー・商社数が限定され、依頼先が限られる場合はこの限りではありません。

諸経費の扱い

総合見積りの場合を除き、原則として共通仮設費等の諸経費を含まない金額、すなわち直接工事費で徴収することとされています。専門工事を総合建設業者に発注する場合の専門業者の見積りの諸経費は、下請経費として取付費または製品単価に含めて計上します。

細目の立て方

原則として取付費は別項目で計上します。見積書が材工共で計上されており、按分計算が困難なときは、材工共のまま計上することができます。

ここが実務上の落とし穴になります。見積りを諸経費込みで提出してしまうと、発注者側の積算体系と前提がずれます。依頼が「直接工事費で」という趣旨であれば、その条件で出すのが正しい形です。

4見積金額10万円で考える採用判定

自社の見積金額が10万円だったと仮定して、採用されるかどうかを判定してみます。判定の対象になるのは「直近上下位との差が30%以上かどうか」です。

パターンA:10万円がそのまま採用される場合

見積者見積金額直近との差
A社(自社)100,000円B社との差 20,000円
B社120,000円C社との差 10,000円
C社130,000円-

A社とB社の差は20,000円です。10万円を基準にすれば20%、12万円を基準にすれば約16.7%となり、いずれで計算しても30%に届きません。除外される見積りがないため、最低の価格であるA社の100,000円がそのまま採用価格となります。

パターンB:10万円が除外される場合

見積者見積金額直近との差
A社(自社)100,000円B社との差 80,000円
B社180,000円C社との差 20,000円
C社200,000円-

A社とB社の差は80,000円です。10万円を基準にすれば80%、18万円を基準にしても約44.4%となり、どちらで計算しても30%以上です。A社の見積りは直近上位と30%以上離れているため判定から外れ、残った中での最低価格であるB社の180,000円が採用価格となります。

B社とC社の差は20,000円で、18万円基準なら約11.1%、20万円基準でも10%ですから、こちらは30%未満です。

計算の基準について

運用には「直近上下位との差が30%以上」と記載されていますが、差の割合を算出するときにどちらの金額を分母とするかまでは明記されていません。上の2例は、いずれの金額を分母にしても判定結果が変わらない数値を使っています。境界に近い金額になる場合は、発注者へ確認してください。

5採用価格はそのまま単価にならない

ここが最も重要な点です。

補正率を乗じたものが単価になる

見積価格と実勢価格が乖離している状況を踏まえ、採用する見積価格等に、各科目ごとに別に定めた補正率を乗じたものを単価として採用する、と運用に定められています。

したがって、パターンAで採用価格が100,000円に決まったとしても、設計書に載る単価が100,000円になるとは限りません。

定価表やその他の取引見込み価格を基にした単価についても、この見積りの補正に準じて、科目ごとに別に定めた補正率を乗じたものを単価として採用することとされています。

補正率の数値について

運用本文には「各科目ごとに別に定めた補正率」とあるのみで、具体的な率の数値は記載されていません。そのため本記事では数値を仮定した試算は行いません。

自社の見積金額と金入設計書の単価が一致しない場合、見積りが採用されなかったのか、採用されたうえで補正率が乗じられた結果なのかを切り分けると、原因の特定がしやすくなります。

この切り分けは、1件だけ見ていても判断が難しい部分です。自社の見積金額と開札後に判明した設計書単価を案件ごとに並べて残しておくと、品目ごとの傾向が見えてきます。記録の取り方は【仙台市】公共積算の見積単価データベースを作る【無料Excelあり】で、そのまま使えるExcelとあわせて整理しています。

6まとめ

この記事の要点

  • 見積り単価は採用優先順位の下位に位置し、上位の単価がない品目で使われる
  • 依頼は原則3者以上、金額の割合が大きい場合や依頼先が受注業者になり得る場合は5者以上
  • 原則として諸経費を含まない直接工事費で徴収する
  • 採用は最低価格が原則。ただし直近上下位との差が30%以上のものを除いた最低価格を採用する
  • 採用価格に科目ごとの補正率を乗じたものが単価になるため、見積金額がそのまま単価になるとは限らない

見積り単価は、積算のなかでも発注者と受注者の前提がずれやすい領域です。採用の手順を条文どおりに押さえておけば、設計書の単価を見たときに「なぜこの金額なのか」を自分で説明できるようになります。

出典:宮城県「宮城県公共建築工事積算単価・基準等の運用」令和8年3月改定(宮城県土木部営繕課・設備課)第3編 単価、価格等 第1章・第2章。見積りの徴収は「見積徴収基準」(令和4年10月1日改正)によるものとされています。

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本記事は公開資料に基づき整理したものです。実際の運用は発注者の定めによりますので、個別案件については発注者へご確認ください。

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