積算の労務費・材料費・機械経費とは?
直接工事費は「材料費・労務費・直接経費」の3要素でできている
これまでの記事では、歩掛(記事2)、物価本(記事3)、代価表(記事4)、市場単価(記事10)など、積算を構成する個々の要素を取り上げてきました。また記事18では、工事費が「直接工事費+共通費+消費税等相当額」で構成されることを確認しました。今回は、その直接工事費そのものが何でできているのかを、国土交通省および福島県の公式資料に基づいて整理します。
福島県の土木工事標準積算基準書は、直接工事費について「材料費,労務費及び直接経費の3要素について積算するものとする」と定めています。直接経費の主な内容が機械経費(機械損料等)です。積算実務でよく言われる「労務費・材料費・機械経費」という整理は、正式には「材料費・労務費・直接経費(主に機械経費)」という3要素に基づいています。
福島県は国土交通省の基準に準じている
福島県土木部が公表する令和7年度土木工事標準積算基準書(公表用)には、次のように明記されています。
同基準書は、直接工事費を次のように定義しています。
材料費・労務費・直接経費(機械経費)とは何か
同基準書は、それぞれを次のように定義しています。
- 材料費:「工事を施工するために必要な材料の費用とし、その算定は数量と価格により計算する」
- 労務費:「工事を施工するに必要な労務の費用とし、所要人員と労務賃金により積算」
- 機械経費:「工事を施工するために直接必要とする経費で、請負工事機械経費積算要領に基づいて積算」
国土交通省「土木工事工事費積算要領及び基準の運用」では、直接経費の内訳として(1)特許使用料(2)水道光熱電力料(3)機械経費の3項目が挙げられ、機械経費は「工事を施工するために必要な機械の使用に要する経費(材料費、労務費を除く。)」と定義されています。機械経費は、直接経費というグループの中の主要な一項目という位置づけです。
機械経費の中身「機械損料」
機械経費の中心が機械損料です。国土交通省は建設機械等損料について、「建設業者が所有する建設機械等の償却費、維持修理費、管理費等」を「ライフサイクルコストを1時間当たり又は1日当たりの金額で表示した経費」であり、「施工に要する標準的な機械経費算出のために設定」されるものと説明しています。
歩掛・物価本・代価表・市場単価とのつながり
直接工事費は「数量×単価」で積み上げます。歩掛(記事2)は、単位施工量あたりに必要な労務・材料・機械の数量を示すものでした。その数量に、物価本(記事3)や公共工事設計労務単価から得た材料単価・労務単価を掛け合わせ、代価表(記事4)で機械経費まで含めた単価を組み立てます。市場単価(記事10)が設定されている工種では、この積み上げ計算を経ずに単価が直接与えられます。3要素は、積算の全過程を貫く共通の物差しです。
電気設備工事・機械設備工事に特化した「直接工事費の3要素」の定義を示す福島県公式一次資料は確認できませんでした。土木・建築の基準に準じる可能性はありますが、断定はできません。
積算とは、こうした基準に沿って発注者の予定価格の構造を再現・推定する作業であり、自社の施工費見積りとは目的が異なります。3要素それぞれの単価を正しく積み上げる感覚を持つことが、金抜設計書から予定価格を推定する第一歩になります。

