共通仮設費の積算方法とは?

共通仮設費は「積み上げ」と「比率」の2通りで算定される

記事7では、共通費(共通仮設費・現場管理費・一般管理費等)の全体像を図解のみで確認しました。今回はそのうち「共通仮設費」に絞り、それが純工事費(直接工事費)に対してどう算定されるのかを、国土交通省大臣官房官庁営繕部『公共建築工事共通費積算基準』(最終改定 令和8年3月11日 国営積第15号)に基づいて確認します。

同基準によれば、共通仮設費は準備費・仮設建物費・工事施設費・環境安全費・動力用水光熱費・屋外整理清掃費・機械器具費・情報システム費・その他という費用項目について、(1)内容を個別に積み上げて算定する方法と、(2)直接工事費に対する比率(共通仮設費率)により算定する方法の2通りが定められています。

一次資料で確認できた算定式(新営建築工事の例)

Kr=Exp(3.346-0.282×loge P+0.625×loge T)

Kr:共通仮設費率(%) P:直接工事費(千円) T:工期(か月)

改修建築工事、電気設備工事、機械設備工事、昇降機設備工事等は、それぞれ別の係数が同基準に定められています。

この式はPの係数が-0.282、Tの係数が+0.625と定められており、数式の構造上、直接工事費Pが大きくなるほど比率Krは小さく、工期Tが長くなるほど比率Krは大きくなる関係になっています。

比率に含まれない費用は別途積み上げで加算する

共通仮設費率は、表に掲げる費用項目のすべてを機械的に網羅しているわけではありません。同基準は「共通仮設費率に含まれない内容については、必要に応じ別途積み上げにより算定して加算する」と定めており、例えば躯体・仕上工事用の揚重機械器具に要する費用は、率分とは別に積み上げで算定し加算するとされています。つまり実務上の共通仮設費は「率分+(必要な場合の)積み上げ分」の合算として算定されるケースがある、という点が重要です。共通仮設費率だけを見て共通仮設費の総額と誤認しないよう注意が必要です。

福島県は独自の算定式を持たず、国の基準を準用している

福島県『建築関係工事積算基準』を確認したところ、「共通費は、次の各項について算定するものとし、具体的な算定については、国土交通省大臣官房官庁営繕部『公共建築工事共通費積算基準』の定めによる」と明記されています。また「共通仮設費は、各工事種目に共通の仮設に要する費用とする」という定義のみが示され、比率計算式そのものは福島県基準には掲載されていません。つまり、福島県発注の建築・電気・機械設備工事における共通仮設費率も、上記の国土交通省基準の算定式がそのまま適用される構造になっています。

結論

共通仮設費は「積み上げ」と「直接工事費に対する比率(共通仮設費率)」の2方式で算定され、実務では比率算定が中心です。ただし比率に含まれない費用(揚重機械器具等)は別途積み上げて加算します。福島県は独自の算定式を持たず、国土交通省の共通費積算基準をそのまま準用しています。積算は発注者の予定価格をこの基準に沿って再現・推定する作業であり、自社施工費の見積りとは前提が異なる点を押さえてください。

一次資料で確認できなかった事項

「役務費」「技術管理費」といった名称の内訳区分は、公共建築工事共通費積算基準(建築・電気設備・機械設備・昇降機設備)の共通仮設費項目としては確認できませんでした。改修建築・電気設備・機械設備・昇降機設備それぞれの係数の全数値、および福島県独自の補正率・地域係数の有無についても、今回参照した一次資料の範囲では確認できませんでした。

SEKISAN-PRO|福島県公共営繕積算情報プラットフォーム

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