積算できる人が1人しかいない会社の危険性

先日、
ある会社の話を聞いていて、
少し気になったことがありました。
その会社には、
積算ができる人が1人しかいないそうです。
建設会社では珍しい話ではありません。
むしろ、
よくある話かもしれません。
私もこれまで多くの積算担当者と話をしてきましたが、
積算が実質1人で回っている会社は少なくありません。
でも、
考えてみると不思議です。
会社にとって受注の入り口になる仕事なのに、
その業務を1人だけで担っている。
もし営業担当者が1人しかいなかったら心配になると思います。
もし現場監督が1人しかいなかったら不安になると思います。
それなのに、
積算だけは1人体制が当たり前になっている。
そんな会社もあります。
もちろん、
その担当者が優秀だからです。
図面も読める。
数量も拾える。
見積もまとめられる。
公共工事の積算も分かる。
発注者の考え方も理解している。
長年の経験があります。
だから会社も安心します。
しかし、
その安心感が危ないのかもしれません。
積算担当者が1人しかいない会社では、
仕事が集中します。
入札案件。
見積依頼。
設計変更。
数量確認。
すべてその人のところに集まります。
気が付けば、
会社の誰よりも忙しくなっています。
そして、
忙しいから後輩を育てる時間がありません。
育てる時間が無いので、
いつまで経っても後任が育ちません。
結果として、
ますますその人に仕事が集中します。
悪循環です。
私が怖いと思うのは、
退職ではありません。
退職ももちろん困ります。
でも、
本当に怖いのは突然です。
病気。
事故。
家族の事情。
介護。
人は必ずしも引き継ぎ期間を作って辞めるわけではありません。
昨日まで普通に働いていた人が、
明日から出社できなくなることもあります。
そのとき会社はどうなるでしょう。
積算ソフトは残ります。
設計書も残ります。
データも残ります。
でも、
積算できる人がいません。
案件は待ってくれません。
入札日も待ってくれません。
見積提出期限も変わりません。
実際には、
そこで初めて会社は気付きます。
積算ソフトが動くことと、
積算できることは違う。
ということに。
積算業務というのは、
ソフトを操作する仕事ではありません。
図面を読む。
仕様を理解する。
見積を整理する。
過去案件と比較する。
判断する。
最後は人です。
だから私は、
積算できる人が1人しかいない状態を、
人材不足というより、
経営リスクだと思っています。
もちろん、
簡単に解決できる問題ではありません。
積算経験者の採用は難しい。
若手育成には時間がかかる。
教えたくても教える時間がない。
よく分かります。
だからこそ、
大切なのは完璧を目指さないことかもしれません。
まずは、
過去の積算資料を整理する。
積算根拠を残す。
副担当を決める。
忙しい時だけ外部へ相談する。
できるところから始める。
実は、
積算担当者が1人しかいないこと自体が問題なのではありません。
その人がいなくなったときの準備をしていないこと。
それが本当の問題なのだと思います。
積算担当者は、
会社の売上を直接生み出す仕事ではないかもしれません。
でも、
受注の入口を支える重要な仕事です。
もし今、
積算できる人が1人しかいないのであれば、
一度考えてみても良いかもしれません。
その人が来週休んだら。
その人が来月辞めたら。
その人が定年を迎えたら。
会社は今と同じように動けるだろうか。
最近、
そんなことを考えています。

